創業者の歩み

ブリヂストンの基盤を創りあげた創業者 石橋正二郎はどのような人だったのでしょうか? 私たちブリヂストングループの全員に受け継がれる「ブリヂストンらしさ」の源は創業者の人柄や考え方などにあるはずです。このコンテンツでは、創業者 石橋正二郎のエピソードを連載で紹介していきます。

Vol.5 妻昌子と正二郎

 正二郎の妻 昌子は、責任感と忍耐心が強く、謙虚で親切な性格の持ち主でした。昌子との相性について正二郎は、「私は気が短い一方、昌子は何事も綿密細心で慎重。長短、相補うことができた」と振り返っています。

 一方、昌子は、自身が記した「主人のこと」という一節において、「世界中で私の主人ほど偉い人、修養のある人はない」と述べており、正二郎を心の底から敬愛していた様子がわかります。また、この手記には、夫婦の興味深いエピソードも紹介されています。書斎の窓を開けず、薄暗い中で執務する正二郎に「なぜ、窓を開けないのか」と昌子が尋ねたところ、「開ければ、また閉めなければならないから。今度つくるときは、窓のない家をつくる」と正二郎。また、ある日の洗面所では「なぜ、浴衣帯をしないのか」と聞く昌子に、正二郎は「締めてもまた、すぐ解かねばならないから」と返答したそうです。日常生活における正二郎の合理主義的な性格と、それを、微笑みながらやさしい眼差しで見守る昌子の様子が目に映るようです。

 正二郎に絶対の信頼と尊敬の念を抱き、懸命に支えてきた昌子は、病気を患い57歳の若さで永い眠りに就きました。正二郎は、「この上もないよい妻であった。運命とはいえ、意外に早く生涯を閉じたのは、かえすがえすも残念」と、慟哭の思いを述べています。さらに、「私を支えてくれた昌子の内助の功は大きい。真心を込めて至れり尽くせり努めてくれた」と最大の謝辞を贈りました。

 夫婦として互いに支え合う理想的な関係は、正二郎が事業を成功へと導くことに大きな役割を果たしたのでしょう。

Vol.5 妻昌子と正二郎

*本文中は敬称略

参考文献:「私の歩み」(石橋正二郎著)
「石橋正二郎」(小島直記著・ブリヂストンタイヤ(株)刊)


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