【ブリヂストンの現場力】真円をつくる匠の技術! タイヤモールドの製造現場 後編

山口県下関市にある日本モールド工業(株)はブリヂストンのグループ会社で、鉱山・建設車両用の大型・超大型タイヤ(ORタイヤ)のモールドを生産しています。
教えてくれた方
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日本モールド工業(株)
代表取締役社長小塚 真吾さん
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日本モールド工業(株)
工場長宮崎 孝明さん

小塚さん
ORタイヤ用のモールド工場へようこそ! ORタイヤのモールドもサイドとトレッドの部分に分けて作ります。ただ、 乗用車用タイヤのモールドとはまた違った製法なので、面白いと思いますよ〜!

製法も違うんですね! ORタイヤのモールドも、乗用車用と同じアルミニウムでできているんですか?

小塚さん
ORタイヤのモールドは加硫機のプレス圧に耐えられる構造が必要で、強度を確保するため鉄を使います。原材料を注文してから入荷するまで数カ月、製作に半年以上かかるので、生産計画の立案がとても難しい製品なんです。

宮崎さん
サイドモールドはフリスビーのように平べったい塊の状態で入荷されます。まず旋盤加工専用機で旋削加工を行い、パタン彫刻加工専用機に乗せ換えて、タイヤ溝部分となる形状を削り出していきます。

大きいですね!


宮崎さん
サイドモールドの旋盤加工は、約30t、4mのサイドモールド材料を1分間に最高40回転のスピードで加工しています。


宮崎さん
仕上げの工程は手作業です。細部の磨き上げに加えて、工場で加硫をするときにモールドとゴムを密着させるための空気穴をトレッド部分に約4000個開けていきます。

この小さい穴を全部手作業で開けるんですね!

宮崎さん
そう、全部です。穴の直径は2㎜、深さは最大で60㎝。10種類のキリを使い分けながら、平均15分かけて1つの穴を開けています。切粉が詰まったり、力の掛け具合が強すぎるとキリが折れてしまいますから、熟練の技が必要なんです。

それを4000個も……。途方もない作業ですね。

宮崎さん
仕上げが終わったサイドモールドと、18分割して作り上げたトレッド部、他にも2300個近くの部品を組み合わせて、ようやく完成です。原材料の入荷から完成まで、半年以上かかっているんですよ。

今つくっているモールドが出荷されるのは、来年になるってことですね。

小塚さん
この製作納期を短縮し、タイヤの開発・販売計画に迅速に対応することが、いま日本モールドの最大のテーマです。現在、タイヤ生産技術開発部、モールド技術開発部の協力を得ながら、製作納期短縮に取り組んでいます。

気付いたのですが、乗用車用タイヤのモールドと比べて部品がたくさんついていますよね?

宮崎さん
タイヤサイズが大きくなればなるほど、密着している表面積が大きいため、加硫後はモールドから剥がしづらくなります。そのため、ORタイヤのモールドは特別な構造となっているので、たくさんの部品が必要なんです。

小塚さん
特別な構造、寸法許容差はコンマ数㎜という厳密さ、そして複雑化するパタンをモールドでしっかり具現化できるよう、日本モールドの製造技術も進化を遂げています。まだまだ知られていませんが、タイヤを作るためのモールドにもブリヂストンの高い技術力が詰まっているんです!
隣接する下関工場を含む国内外5つの工場へ出荷していますが、タイヤ工場をはじめ、タイヤ生産技術開発部、モールド技術開発部へ貢献できるよう日本モールドは日々努力をしています!
編集後記
モールド作りには、匠の繊細な手作業と機械での作業の組み合わせが欠かせないことがわかりました。
また、若手技能員への技術継承に注力し、切磋琢磨を続けているそう。こうした取り組みがコア事業を支えているんですね。
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今回の「ブリヂストンの現場力」では「つくる」現場の最前線、タイヤを作るために欠かせない金型(モールド)の製造現場に潜入しました。対応サイズの異なる2つのモールド工場で、ブリヂストンを支える匠の技を探ります!
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