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“今日来た身体で家族の元へ帰ろう” 15年間 無災害を継続@タイヤ・モールド タイランド(TMOT)

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「安全はすべてに優先する」というブリヂストンの安全宣言にもある通り、安全は企業経営の基盤です。その共通認識のもと、各現場では従業員の皆さんの工夫とアイデアにあふれたさまざまな安全活動が推進されています。

ブリヂストンのグループ会社の1つであり、タイにあるモールド製造工場「タイヤ・モールド タイランド(以下TMOT)」は休業災害ZD活動(Zero Defectsの略で、欠点がないこと、ミスがないこと)に活発に取り組んでいます。その結果、業務に起因したケガや病気を発生させることなく、15年間無災害を継続しています。長い間すばらしい成果を残しているTMOTの休業災害ZD活動について伺います。
TMOTについてご紹介
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2004年創業、2005年生産開始。乗用車タイヤの中でも「REGNO」などのプレミアム商品のモールドを主力製品とする。生産したモールドのうち、6割弱は日本、約3割は東南アジアにあるタイヤ工場へ、約1割は小平技術センターのタイヤ開発部門へと出荷されている。2023年12月1日現在、従業員数は348名。

教えてくれた方

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TMOT Managing Director
(マネージング・ダイレクター)

森 正志さん

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TMOT
安全防災課長

チャヤニサさん


現場に即した、“全員参加”の活動を

――休業災害ZD活動を始めた背景について教えてください。

 タイでは社内に「安全委員会」を設置することが法律で義務づけられています。各工程のリーダーや部署、経営幹部のメンバーから組織されたこのチームは、工場内の安全について従業員へアドバイスをする役割を担い、創業と同時に組織されました。

チャヤニサ しかし、創業当時はまだ安全に対する意識が十分とは言えず、年に一度、全員で安全意識啓発動画を試聴するなどの活動にとどまっていました。そして2006年6月、検査工程で使用するノギスと呼ばれる測定器が技能員の⽬に当たって負傷するという、大きなアクシデントが発生しました。この一件を受け、TMOTは「⼆度と労働災害事故を発⽣させない」という強い決意で改めて安全意識の啓発に取り組み始めました。

幅や長さを精密に測るための測定器「ノギス」

――具体的にはどのような取り組みを実施したのでしょうか。

チャヤニサ まず、活動のキーワードを“全員参加”と設定しました。安全委員会が全体をリードしますが、実行する従業員の意識が変化しなくては、またアクシデントを繰り返してしまいます。全員のマインドセットを図り、多くの従業員を巻き込んだ活動にしようと考えました。

また、活動の土台づくりとして従業員たちへヒアリングを実施。作業環境の中で気になることはないか、改善の余地がある箇所はどこか、丁寧に聞き取りました。その上で、全員参加のZD活動や小グループによる改善活動のテーマにつなげていきました。具体的な取り組みを3つご紹介します。

活動1 毎月の安全キャンペーン+動画を持ち回りで作成


全員参加の意識を高めるための活動として、安全キャンペーンを毎月異なるテーマで取り組んでいます。

全工程の班が持ち回りで活動を進めるもので、担当となった班は自分たちでテーマを設定し、そのテーマに合った啓発動画を協力して作成します。完成した動画は毎月朝礼で全員で視聴します。例えばある班は定められた作業時の足の疲労を軽減するストレッチ動画を作ってくれました。


安全キャンペーンは今年で4年目。狙い通り、“自分たちで安全を守る意識を作るんだ”という風土が生まれています。これまで作成したビデオは36本となり、新人研修の場面などでも活用しています。

活動2 無災害の継続は人間工学に用いた地道な改善から


従業員や医務室の保健師へヒアリングした結果、医務室の利用者の大半は仕上げ工程の技能員であるということがわかりました。

その理由として挙げられたのは、使用しているイスが作業内容や作業台に合っていないことでした。仕上げ工程は長時間同じ姿勢を保つ必要があります。体型に合っていない、また作業に向いていないイスによって首や肘に負荷がかかり、それが炎症やこわばりにつながっていました。疲れがたまると集中力の散漫につながり、アクシデントに繋がりかねません。少しでもそうしたリスクを減らすために、人間が可能な限り自然な動きや状態で使えるように物や環境を設計していく「人間工学」の考え方に基づき、体に負担がかかりにくいイスに変更。医務室の利用者を削減することができました。

活動3 通勤時の交通マナーを再確認


タイは交通渋滞が激しい国として世界でも有名で、通勤中の事故は問題となっていました。

そこで、交通安全にまつわる動画を週に一度、全員で視聴することにしました。タイ交通局が出している動画など社内外にあるさまざまな啓発動画を視聴しながら、交通ルールや運転マナーを周知徹底しました。
現在、通勤時の交通事故ゼロを3年間継続しています。300名を超える従業員全員が、3年間事故に合わず、事故を起こさず、安全に自宅に帰れているということです。

タイ労働局から栄誉ある賞を受賞

 3つのCase Studyをご紹介しましたが、このほかにもマネジメントメンバーによる定期安全パトロールによる徹底フォローや、⼩グループでのカイゼン活動の実施と年間MVP表彰など、さまざまな活動に従業員全員が取り組んでいます。

チャヤニサ こうした多岐にわたる活動の結果、2006年6⽉から2021年まで、休業無災害 1,000万時間以上を達成し、2021年6⽉にはタイ労働省より、継続的に労働災害及び傷害を減少させている企業に贈られる「ゼロ災害キャンペーン」⾦賞を授与されました。タイ国内にある企業のうち、金賞を受賞したのはたった0.1%(7万社中80社)と非常に栄誉ある賞です。これまでの活動が身を結んだことを非常にうれしく思いました。現在は更に上のプラチナ賞を目指して、引き続き休業災害ZD活動に取り組んでいます。
――安全意識向上のための活動を継続する秘訣を教えてください!

チャヤニサ 現場の実態に即した活動とし、常に従業員の声に耳を傾けたことが大きかったと感じています。また、安全委員会のメンバーは従業員に対して、「全ての労働災害は防止できるもの」と伝え続けました。共通認識を持てたことで、途中で弛むことなく継続できたのだと思います。

 私は2022年からマネージング・ダイレクターを務めています。実はTMOTへの赴任は2回目で、最初に赴任した2009年と現在では、工場内の安全意識が大幅に向上し、正直びっくりしましたよ。
チャヤニサさんを筆頭に、従業員全員がボトムアップで休業災害ZD活動に取り組んだことで、一つのムーブメントが生まれたのだと思います。毎日、元気に家族の元に帰るという当たり前の日々を、今後も積み重ねていきます。

ありがとうございました!

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