「断トツ商品」×タイヤの知見×データ解析で実現した鉱山ソリューション

ブリヂストンが誇る「断トツ商品」と、センサーやソフトウェアなどのツールから得られるデータから最適なメンテナンスタイミングや走行ルートを提案するソリューションサービス。リアル×デジタルによるソリューションビジネスは、24MBPのビジネス具体化シナリオにおける「良い種まきを実施し、新たなビジネスを創る」において重要な戦略です。今回は、BGA2023の受賞テーマでもある新たな鉱山ソリューションモデルを創り上げた皆さんにお話を伺いました!

(株)ブリヂストン
鉱山・産業・建設タイヤ・ソリューション推進部 ソリューション企画課
大川 美咲さん
役割:鉱山ソリューション全体の企画立案とビジネススキームの策定などを担当

(株)ブリヂストン
鉱山・産業・建設タイヤ・ソリューション推進部 ソリューション推進課 主幹
佐藤 紘大さん
役割:技術面からソリューションの策定に従事。デジタルチームが制作したアルゴリズムのプロトタイプをお客様に接続し、改善サイクルを回す役割を担当

(株)ブリヂストン
鉱山・産業・建設タイヤ・ソリューション商品企画・デジタルソリューション推進部 商品企画課 主任部員
西宮 安広さん
役割:19年末から23年末までの4年間、Bridgestone Mining Solutions Latin America S.A.(ブリヂストンマイニングソリューションズラテンアメリカ)に出向。現地で技術サービスを担当

(株)ブリヂストン
デジタルソリューションAI・IoT企画開発部門 デジタルAI・IoT企画課
本田 恭平さん
役割:お客様が使用しているタイヤから得られたデータを解析し、タイヤの故障時期を予測するアルゴリズムを開発
「Bridgestone MASTERCORE」で得た信頼が新たなビジネスの種に
Arrow編集部 本プロジェクトの概要について教えてください。
大川 世界最大手の鉱山会社、BHP様が南米のチリに「Pampa Norte Spence鉱山(以下、Spence鉱山)」という銅鉱山を保有しています。こちらの鉱山で、2023年7月から、ブリヂストンが開発したタイヤ耐久予測システムを活用し、最適なメンテナンス時期や運用方法を提案するソリューションサービスを開始しました。
佐藤 このソリューションサービスの導入により、Spence鉱山で稼働しているダンプトラックのタイヤの早期故障について、ほぼ100%の未然防止を実現しました。「断トツ商品」である鉱山用タイヤ「Bridgestone MASTERCORE(以下、マスターコア)」と、私たちが長年培ってきたタイヤに関する知見、そしてデータサイエンスを掛け合わせることでこのサービスを実現できました。「Bridgestone E8 Commitment」で掲げる「Efficiency モビリティを支え、オペレーションの生産性を最大化することにコミットすること」を体現する取り組みです。
大川 世界最大手の鉱山会社、BHP様が南米のチリに「Pampa Norte Spence鉱山(以下、Spence鉱山)」という銅鉱山を保有しています。こちらの鉱山で、2023年7月から、ブリヂストンが開発したタイヤ耐久予測システムを活用し、最適なメンテナンス時期や運用方法を提案するソリューションサービスを開始しました。
佐藤 このソリューションサービスの導入により、Spence鉱山で稼働しているダンプトラックのタイヤの早期故障について、ほぼ100%の未然防止を実現しました。「断トツ商品」である鉱山用タイヤ「Bridgestone MASTERCORE(以下、マスターコア)」と、私たちが長年培ってきたタイヤに関する知見、そしてデータサイエンスを掛け合わせることでこのサービスを実現できました。「Bridgestone E8 Commitment」で掲げる「Efficiency モビリティを支え、オペレーションの生産性を最大化することにコミットすること」を体現する取り組みです。
Arrow編集部 プロジェクトが始まった経緯を教えてください。
西宮 銅鉱山なので、お客様としてはいかにたくさんの銅鉱石を安全に早く掘り、運び出すかがビジネスに直結します。そのため、とにかく車両の稼働を止めないことが求められます。一方で、鉱山で稼働するダンプトラックの積載量は400トン程になるものもあり、タイヤ1本にかかる荷重は100トンを超えることもあります。タイヤが予期せず故障すると、お客様の鉱山オペレーションがストップしてしまい、多大な機会損失につながります。タイヤが壊れる前に事前検知できるとお客様の鉱山オペレーションを止めずに済むのです。
西宮 銅鉱山なので、お客様としてはいかにたくさんの銅鉱石を安全に早く掘り、運び出すかがビジネスに直結します。そのため、とにかく車両の稼働を止めないことが求められます。一方で、鉱山で稼働するダンプトラックの積載量は400トン程になるものもあり、タイヤ1本にかかる荷重は100トンを超えることもあります。タイヤが予期せず故障すると、お客様の鉱山オペレーションがストップしてしまい、多大な機会損失につながります。タイヤが壊れる前に事前検知できるとお客様の鉱山オペレーションを止めずに済むのです。
大川 Spence鉱山では、車体に取り付けたGPSと加速度センサー、そしてタイヤに取り付けたセンサーで内圧と温度などを測定できるモニタリングシステム「Bridgestone iTrack」(以下、iTrack)が以前から導入されていて、そのデータをうまくお客様の困りごと解決に活用できないかと考えました。
西宮 従来、蓄積されたiTrackのデータは、空気圧の確認といった限られた用途にしか活用できていませんでしたが、ブリヂストンが持つタイヤの知見と、本田さんたちのデータ解析の技術を生かすことで、故障時期の正確な予測ができないかを考えました。
西宮 従来、蓄積されたiTrackのデータは、空気圧の確認といった限られた用途にしか活用できていませんでしたが、ブリヂストンが持つタイヤの知見と、本田さんたちのデータ解析の技術を生かすことで、故障時期の正確な予測ができないかを考えました。
佐藤 お客様に日々寄り添う技術サービスの活動と「断トツ商品」のマスターコアにより、ブリヂストンに対する信頼を勝ち得ていたからこそ、足元のタイヤビジネスだけではなく、将来のソリューションに関するコミュニケーションをお客様と開始することができました。
「検視官」から「かかりつけ医」へジョブチェンジ お客様のビジネスを止めないために
Arrow編集部 お客様の困りごとを、どのように解決しようと考えたのですか?
本田 Spence鉱山特有のタイヤの故障状況に着目しつつ、タイヤの内圧や温度、車両のスピードや移動距離など、iTrackから得られたデータを解析。原因を分析し、故障を防ぐための運用方法を提案しました。
佐藤 荷重による負荷が大きい状況が続くと、タイヤの特定の箇所で故障が起きやすくなることは、タイヤ開発部門による机上予測や室内試験、技術サービス部門による実車評価などからも知見がありました。タイヤ毎の故障リスクを見極められれば、お客様の鉱山オペレーションが想定外に止まることを防げます。
大川 本田さんのチームで「故障の状況とタイヤの使われ方の因果関係」に着目し、データ解析によってそれらを定量的に明らかにできたのが大きなポイントです。例えるなら、タイヤが壊れてから原因を探る「検視官」ではなく、タイヤの健康診断を通じて、長くパフォーマンスを発揮してもらう「かかりつけ医」にジョブチェンジ。iTrackデータの活用をステップアップした取り組みです。
佐藤 具体的には、iTrackで収集していたデータに加え、お客様のオペレーションに関するデータも頂き、一つのシステム基盤に集約。ブリヂストンが持つタイヤの知見も取り入れた解析により、タイヤ1本1本の故障リスクを見える化することができました。より良い使い方を提案するタイヤの健康診断システムと、タイヤの故障につながる車両の挙動を可視化するシステム、更に、経験や勘に頼らない内圧充填をサポートするツールを開発し、適切なタイミングでメンテナンスを提案したり、車両走行ルートを提案したりすることでタイヤを長くお使いいただけるようになりました。お客様のオペレーションの生産性が改善し、コスト最適化にも貢献できました。
本田 Spence鉱山特有のタイヤの故障状況に着目しつつ、タイヤの内圧や温度、車両のスピードや移動距離など、iTrackから得られたデータを解析。原因を分析し、故障を防ぐための運用方法を提案しました。
佐藤 荷重による負荷が大きい状況が続くと、タイヤの特定の箇所で故障が起きやすくなることは、タイヤ開発部門による机上予測や室内試験、技術サービス部門による実車評価などからも知見がありました。タイヤ毎の故障リスクを見極められれば、お客様の鉱山オペレーションが想定外に止まることを防げます。
大川 本田さんのチームで「故障の状況とタイヤの使われ方の因果関係」に着目し、データ解析によってそれらを定量的に明らかにできたのが大きなポイントです。例えるなら、タイヤが壊れてから原因を探る「検視官」ではなく、タイヤの健康診断を通じて、長くパフォーマンスを発揮してもらう「かかりつけ医」にジョブチェンジ。iTrackデータの活用をステップアップした取り組みです。
佐藤 具体的には、iTrackで収集していたデータに加え、お客様のオペレーションに関するデータも頂き、一つのシステム基盤に集約。ブリヂストンが持つタイヤの知見も取り入れた解析により、タイヤ1本1本の故障リスクを見える化することができました。より良い使い方を提案するタイヤの健康診断システムと、タイヤの故障につながる車両の挙動を可視化するシステム、更に、経験や勘に頼らない内圧充填をサポートするツールを開発し、適切なタイミングでメンテナンスを提案したり、車両走行ルートを提案したりすることでタイヤを長くお使いいただけるようになりました。お客様のオペレーションの生産性が改善し、コスト最適化にも貢献できました。
ブリヂストンの強さの秘訣 “タイヤを知っている”プロ達がデータを解析
Arrow編集部 これらのシステムやツールを開発する上で、苦労した点などを教えてください。
西宮 佐藤さん、大川さんたちに現地に足を運んでいただき、システムやツールのプロトタイプをチリの現場へ持ち込んで検証を行いました。本田さんのデジタルチームと、鉱山ソリューション部隊のデジタルシステムチーム、更に、イギリスとスロバキアにいるiTrackの開発チームも含めた、地球上の各拠点を結ぶ24時間体制でPoC(Proof of Concept、概念実証)を行いました。チリの現場で昼に出てきた改善点や要望については、チリが夜の間に日本や欧州で改良し、また現場で実証する。現場に出張している数日間でこのサイクルを回すことで、短期間で現場が期待するソリューション・システムを創り上げることができました。
西宮 佐藤さん、大川さんたちに現地に足を運んでいただき、システムやツールのプロトタイプをチリの現場へ持ち込んで検証を行いました。本田さんのデジタルチームと、鉱山ソリューション部隊のデジタルシステムチーム、更に、イギリスとスロバキアにいるiTrackの開発チームも含めた、地球上の各拠点を結ぶ24時間体制でPoC(Proof of Concept、概念実証)を行いました。チリの現場で昼に出てきた改善点や要望については、チリが夜の間に日本や欧州で改良し、また現場で実証する。現場に出張している数日間でこのサイクルを回すことで、短期間で現場が期待するソリューション・システムを創り上げることができました。
本田 我々のチームにとって、内圧や温度、速度などのデータの解析自体は難しい仕事ではありません。問題は、ラボと違って無線で飛んでくるフィールドのデータは「抜け」が発生することです。特にマスターコアのような超大型のタイヤはスチールコードもゴムの厚みも通常の乗用車用タイヤとは異なるため、データを拾いにくい。本来のデータ送受信頻度で定常的に得られるはずのデータが、間が抜けて10分後に飛んでくることも起こる。その間の挙動をどう判断すべきか、その対応には苦労しましたね。
大川 本田さんのように、データ解析手法だけではなく、タイヤのこともよくご存知のデータサイエンティストの皆さんがいるからこそ適切なデータの見方や判断ができた。それもブリヂストンの大きな強みです。
佐藤 複雑で計算時間がかかるアルゴリズムで終わらずに、お客様が求めるタイムリーさでサービスを提供できるアルゴリズムに昇華してくれたことも本田さんチームのすごいところです。どのタイヤメーカーも簡単に出来ることではないと思います。
本田 私としては、ブリヂストンにはタイヤ開発の長年の蓄積から得られたラボベースの豊富なデータと知見があったこと、それらに基づいて「こういう方法であれば予測できるのではないか」「お客様が実際に活用出来るものになるのではないか」という仮説を皆さんに立てていただいたことで、お客様視点でのソリューションに必要な解析ができたのだと考えています。
大川 本田さんのように、データ解析手法だけではなく、タイヤのこともよくご存知のデータサイエンティストの皆さんがいるからこそ適切なデータの見方や判断ができた。それもブリヂストンの大きな強みです。
佐藤 複雑で計算時間がかかるアルゴリズムで終わらずに、お客様が求めるタイムリーさでサービスを提供できるアルゴリズムに昇華してくれたことも本田さんチームのすごいところです。どのタイヤメーカーも簡単に出来ることではないと思います。
本田 私としては、ブリヂストンにはタイヤ開発の長年の蓄積から得られたラボベースの豊富なデータと知見があったこと、それらに基づいて「こういう方法であれば予測できるのではないか」「お客様が実際に活用出来るものになるのではないか」という仮説を皆さんに立てていただいたことで、お客様視点でのソリューションに必要な解析ができたのだと考えています。
ブリヂストンを支える大きなビジネスへ これからも続く挑戦
Arrow編集部 昨年の7月からソリューションサービスを提供していますが、その成果は。
佐藤 早期の故障については、ほぼ100%未然防止をすることができ、ライフサイクルを全うできるタイヤが増え、ドライバーの安全面にも貢献できたと考えています。更に、先ほど触れた、内圧充填のサポートツールを通じて、現場のメンテナンス担当の皆さんに、タイヤの空気圧を適正に保つ大切さを理解・浸透できたことも、機会損失の減少につながりました。
西宮 車両の稼働が止まると、どれくらいの機会損失が生じるのか、ソリューションでどれくらいの効果が出るのかをご理解いただくワークショップも実践しています。お客様の理解が得られていると実感しています。
大川 今回の取り組みがブリヂストンを支えるタイヤセントリックソリューションビジネスとして大きく成長・拡大していくことを期待しています。他の鉱山への展開についても、検討を進めているところです。
佐藤 早期の故障については、ほぼ100%未然防止をすることができ、ライフサイクルを全うできるタイヤが増え、ドライバーの安全面にも貢献できたと考えています。更に、先ほど触れた、内圧充填のサポートツールを通じて、現場のメンテナンス担当の皆さんに、タイヤの空気圧を適正に保つ大切さを理解・浸透できたことも、機会損失の減少につながりました。
西宮 車両の稼働が止まると、どれくらいの機会損失が生じるのか、ソリューションでどれくらいの効果が出るのかをご理解いただくワークショップも実践しています。お客様の理解が得られていると実感しています。
大川 今回の取り組みがブリヂストンを支えるタイヤセントリックソリューションビジネスとして大きく成長・拡大していくことを期待しています。他の鉱山への展開についても、検討を進めているところです。
Arrow編集部 最後に、ブリヂストンの仲間達にメッセージをお願いします。
本田 皆さんのお客様の課題解決にぜひDXをご活用いただければと思います。ご相談をお待ちしております!
佐藤 これまで鉱山・建設車両用タイヤの事業に携わってくださった皆さんあってこそのビジネスです。この土俵を築き上げてくださった方々に感謝しています。また、一つひとつの鉱山現場でお客様が抱えている困りごとに対して、最適なソリューションをカスタマイズしながら提供していく挑戦が始まっています。成功事例を積み重ねていくことに注力していきます。
西宮 鉱山用タイヤをはじめ生産財タイヤの事業は、良い商品とソリューションでお客様に喜んでいただける上に、社会を動かす力にもなれる。素晴らしいビジネスだなと改めて思います。これに携わる一員としてこれからも盛り上げていきたいです。
大川 私は産休のため一時的にチームを離れますが、皆さんがもっと事業を拡大してくれると確信しています。お客様の身近にいる現地スタッフの方々含め、また皆さんと一緒に仕事をする日が来るのを楽しみにしています!
本田 皆さんのお客様の課題解決にぜひDXをご活用いただければと思います。ご相談をお待ちしております!
佐藤 これまで鉱山・建設車両用タイヤの事業に携わってくださった皆さんあってこそのビジネスです。この土俵を築き上げてくださった方々に感謝しています。また、一つひとつの鉱山現場でお客様が抱えている困りごとに対して、最適なソリューションをカスタマイズしながら提供していく挑戦が始まっています。成功事例を積み重ねていくことに注力していきます。
西宮 鉱山用タイヤをはじめ生産財タイヤの事業は、良い商品とソリューションでお客様に喜んでいただける上に、社会を動かす力にもなれる。素晴らしいビジネスだなと改めて思います。これに携わる一員としてこれからも盛り上げていきたいです。
大川 私は産休のため一時的にチームを離れますが、皆さんがもっと事業を拡大してくれると確信しています。お客様の身近にいる現地スタッフの方々含め、また皆さんと一緒に仕事をする日が来るのを楽しみにしています!
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