今回は、10月末に発表された二輪車用タイヤの新商品「BATTLAX SPORT TOURING T33（以下、T33）」をご紹介します。従来品から摩耗ライフを47％も向上している他、ドライ路面でのハンドリング性能も向上させているというT33について、開発に関わった（株）ブリヂストン MCタイヤ設計第2課の上野さんと林さん、そして実車試験第3課の西村さんにお話を伺いました。

Arrow編集部　今回の新商品は、どんなシーンで活躍するタイヤですか？

林さん　T33は、スポーツツーリング向けのタイヤです。天候や季節を問わず、長距離や日帰りでも、ツーリングを楽しめるよう、足元を支えるタイヤに仕上がっています。

Arrow編集部　そうなんですね。そして、今回の新商品の特徴は何といっても摩耗ライフ47％向上で「驚きのロングライフ」ですね！ここまで大幅に向上できたのは、なにか秘策があったのでしょうか。

上野さん　そうですね。詳しいことは秘密なのですが、新しく開発されたコンパウンドの効果も大きかったと思います。この点は、材料開発を担当してくれたトレッド配合第5課の白石さんにも感謝です。また、新コンパウンドだけでなく、パタンデザインやタイヤ内部の構造も刷新したことで、摩耗ライフとハンドリング性能を高次元でバランスさせることができました。

Arrow編集部　摩耗ライフがこれだけ向上していると、長距離ライディングも安心ですね。

上野さん　もちろん、47％という数値は運転の仕方によって変わりますが、実地摩耗試験では、試験のバラつきが出ないよう工夫しています。従来品と新商品それぞれをはいた車両を用意し、２名のライダーに1日数百キロずつ車両を交換しながら、合わせて数千キロを走行してもらった結果、摩耗ライフの向上を確認できました。また、摩耗ライフ以外にも、栃木やイタリアのプルービンググラウンドはじめ、ドイツの公道でも操縦安定性を評価しています。実車試験部の皆さんには、開発段階からもご協力いただいています。

西村さん　実車試験部では、プロトタイプの段階から実車評価を行い、設計チームにフィードバックしています。例えば、バイクを傾けたときのハンドルの手応えやフィーリングから、パタンデザインの変更をアドバイスするなど、狙った性能が出るよう、設計チームの皆さんと一緒に議論しながら開発を進めてきました。

上野さん　西村さんには、特に操縦安定性を中心にしっかり評価していただきました。モニターとして、私もこの新商品を自分のバイクに装着しているのですが、安心してツーリングを楽しめる商品に仕上がっていると感じます。発売は来年の2月なので、多くのライダーの皆さんにも使っていただけるとうれしいですね。

Arrow編集部　自ら開発したタイヤでツーリングを楽しむなんて、うらやましいです！より多くのライダーに装着してもらえるといいですね。ありがとうございました！