「一品一様」の奥深い世界〜ブリヂストン品質の免震ゴムをお客様へ〜
前回、ブリヂストンの免震ゴムが九段会館テラスに採用された記事を紹介しました。今回は、免震ゴムの生産を一手に担う横浜工場を訪問。ブリヂストンの技術がどのように生かされているのか、またモノづくりのこだわりについて、開発・生産に携わる皆さんにお話を伺いました!

(株)ブリヂストン
免制震開発第1課
脇島 健二さん
新規開発担当。お客様のニーズから必要な構造やゴムの材質を検討し、免震ゴムを設計している。

(株)ブリヂストン
横浜工場 産業資材製造技術課
石河 延之さん
製造技術担当。開発と製造現場の間に立って、最適な製造条件をまとめ上げ、安定稼働に貢献している。

(株)ブリヂストン
横浜工場 製造第2課 免震製造係
大石 武夫さん
工場技能員。免震ゴムの仕上げ担当として、はみ出しゴムの除去や仕立て直しなどの業務を通じて、品質に目を光らせる。

(株)ブリヂストン
横浜工場 製造第2課 免震製造係
古賀 輝康さん
工場技能員。成型担当を経て、職長補佐として製造現場を一通り経験。現在は標準書作成や安全管理を担当。
安心と信頼、横浜工場謹製の免震ゴム
——免震ゴム製造における横浜工場の役割についてまず教えてください。
脇島さん 横浜工場は化工品のマザー工場で、ブリヂストンの免震ゴムは全て横浜工場で生産されています。
石河さん 地震大国である日本のお客様の要望に応えるべく、競合よりもいち早く1990年代から免震ゴムの製造に取り組んできました。現在は国内のお客様が中心ですが、海外からも注目されています。
脇島さん 長年の製造実績から得た知見や、時代の流れに伴う建物の構造の変化やシミュレーション解析技術の高度化なども踏まえて、配合を工夫することでゴム材料自体に高いエネルギー吸収性能を与えた高減衰ゴムの開発や製品の大型化を推し進めています。
大石さん 免震ゴム導入施設の数は年々増えており、昨年度は多くの受注をいただきその対応に追われてきました。現在も4班3交代制で生産しています。
石河さん 地震大国である日本のお客様の要望に応えるべく、競合よりもいち早く1990年代から免震ゴムの製造に取り組んできました。現在は国内のお客様が中心ですが、海外からも注目されています。
脇島さん 長年の製造実績から得た知見や、時代の流れに伴う建物の構造の変化やシミュレーション解析技術の高度化なども踏まえて、配合を工夫することでゴム材料自体に高いエネルギー吸収性能を与えた高減衰ゴムの開発や製品の大型化を推し進めています。
大石さん 免震ゴム導入施設の数は年々増えており、昨年度は多くの受注をいただきその対応に追われてきました。現在も4班3交代制で生産しています。
——生産におけるタイヤと免震ゴムの違いはどんなところにあるのでしょうか。またブリヂストンの免震ゴムの特長は何でしょうか。
脇島さん タイヤと免震ゴムの大きな違いは、免震ゴムがより大きく変形する点にあります。大きな製品だと地震時に80cmくらい変形することもあります。ゴムの材質として、横(水平)方向のバネの性能と、エネルギーを吸収する性能の2つを満たすことが重要です。
また、東京アクアティクスセンターや有明アリーナのように屋根免震(※)で設置される製品については、日中と夜間の温度の大きな変化に伴う構造物の変形に対応できる機能も求められます。
※屋根免震とは、スポーツ施設などのホール・ドーム型施設で大空間の屋根を設ける場合に、建物と屋根の間に免震ゴムを設置する工法
石河さん ゴムが大きく変形しても鋼板としっかりと接着されていることが重要で、万一壊れる時も、接着部の界面ではなくゴムそのものが壊れなければいけません。
金属とゴムの接着剤は、それぞれに相性の良い接着剤を組み合わせて作られます。この接着剤の配合こそが、免震ゴムの性能を大きく左右するといっても過言ではありません。免震ゴムを長年開発してきたノウハウと、接着剤メーカーさんとの協業によるイノベーションによる絶え間ない技術革新。それこそが当社の強みです。
古賀さん 製造の中でも、接着は特に神経を使う工程の一つです。もし、抜け漏れやミスがあれば人の生命に直結しますから。塗装機で均一に接着剤を塗布されているか、技能員が目視で確認します。厚く塗布すればいいと思われるかもしれませんが、横に立てて塗布するため、接着剤を多く塗りすぎると下に垂れて塗り溜まりができてしまい、中に空気が入ってしまいます。また厚くなることでその部分が硬く、壊れやすくなり性能の劣化につながります。規定の量で決められた基準を満たすことが厳しく求められるのです。
また、東京アクアティクスセンターや有明アリーナのように屋根免震(※)で設置される製品については、日中と夜間の温度の大きな変化に伴う構造物の変形に対応できる機能も求められます。
※屋根免震とは、スポーツ施設などのホール・ドーム型施設で大空間の屋根を設ける場合に、建物と屋根の間に免震ゴムを設置する工法
石河さん ゴムが大きく変形しても鋼板としっかりと接着されていることが重要で、万一壊れる時も、接着部の界面ではなくゴムそのものが壊れなければいけません。
金属とゴムの接着剤は、それぞれに相性の良い接着剤を組み合わせて作られます。この接着剤の配合こそが、免震ゴムの性能を大きく左右するといっても過言ではありません。免震ゴムを長年開発してきたノウハウと、接着剤メーカーさんとの協業によるイノベーションによる絶え間ない技術革新。それこそが当社の強みです。
古賀さん 製造の中でも、接着は特に神経を使う工程の一つです。もし、抜け漏れやミスがあれば人の生命に直結しますから。塗装機で均一に接着剤を塗布されているか、技能員が目視で確認します。厚く塗布すればいいと思われるかもしれませんが、横に立てて塗布するため、接着剤を多く塗りすぎると下に垂れて塗り溜まりができてしまい、中に空気が入ってしまいます。また厚くなることでその部分が硬く、壊れやすくなり性能の劣化につながります。規定の量で決められた基準を満たすことが厳しく求められるのです。
大型の製品を均一に加硫する
——接着剤以外で特に難しい工程はありますか?
石河さん もう一つポイントとなるのが加硫ですね。免震ゴムは、乗用車用タイヤなどと比べて外径が大きく、熱源からの距離が長いため、大きいものですと加硫に半日くらいかかることもあります。分厚いステーキの中まで均一に火を通すのが難しいように、いかに偏りなく火を通すか。偏ると接着部分の性能が損なわれてしまいます。
大石さん そのため、加硫条件が決められた仕様に沿っているかを確認するとともに、加硫開始の6分後に、各部分が均一に温度上昇しているかを計測しています。
脇島さん 免震ゴムで培ってきた加硫技術は、タイヤのゴム製造においても共有できる部分があると考えています。これまで、タイヤ側の研究部門の皆さんとのコラボレーションで新しいゴムの開発にも取り組んできましたが、加硫についても、情報交換など交流の機会を増やしていければいいですね。
古賀さん 前工程で難しいのは圧延ですね。圧延の品質チェックはゴムのゲージで管理しているのですが、それ以降は重量での管理になるため、頭の中で変換して対応していく必要があるんです。
大石さん そのため、加硫条件が決められた仕様に沿っているかを確認するとともに、加硫開始の6分後に、各部分が均一に温度上昇しているかを計測しています。
脇島さん 免震ゴムで培ってきた加硫技術は、タイヤのゴム製造においても共有できる部分があると考えています。これまで、タイヤ側の研究部門の皆さんとのコラボレーションで新しいゴムの開発にも取り組んできましたが、加硫についても、情報交換など交流の機会を増やしていければいいですね。
古賀さん 前工程で難しいのは圧延ですね。圧延の品質チェックはゴムのゲージで管理しているのですが、それ以降は重量での管理になるため、頭の中で変換して対応していく必要があるんです。
唯一無二の製品づくりの面白さと大変さ
——タイヤのように免震ゴムにもブランドはあるのでしょうか。
古賀さん 実は免震ゴムは、案件ごとに仕様が全て異なる「一品一様」の世界なんです。サイズが同じでもゴムの材質や質量が違うことも少なくありません。
石河さん 同じ案件でも一基目と二基目で条件が違うこともあります。指定通りのものを指定通りに作ることが、当たり前ではありますが難しく、なかなか予測した性能にならないことも。
大石さん オートメーション化できない部分が多く、その分、関わる私たちの責任も大きくなります。私が担当している仕上げの外観検査でも、ゴムの出っ張りや傷など。測れる尺度はありますが、測れない尺度もゼロではありません。はみ出しゴムを切る際や外観を指で一周触ってみての感覚の違和感の有無を大切にしています。
例えば、同じように作っていてもゴムのはみ出し量が多くて、調べてみたらゴムの原材料の比重が違ったり、鋼板の厚みが微妙に違っていたりすることがあります。少しでも違和感があると製造技術課や開発に相談し、コミュニケーションを大事にしています。
石河さん その日の室温の違いなども、全て仕上げに現れてくるんですよね。材料や各工程での小さなばらつきが大きな差になります。
大石さん もちろんしっかりとした基準はありますが、基準だけでは語れない奥深い世界なんです。
石河さん 同じ案件でも一基目と二基目で条件が違うこともあります。指定通りのものを指定通りに作ることが、当たり前ではありますが難しく、なかなか予測した性能にならないことも。
大石さん オートメーション化できない部分が多く、その分、関わる私たちの責任も大きくなります。私が担当している仕上げの外観検査でも、ゴムの出っ張りや傷など。測れる尺度はありますが、測れない尺度もゼロではありません。はみ出しゴムを切る際や外観を指で一周触ってみての感覚の違和感の有無を大切にしています。
例えば、同じように作っていてもゴムのはみ出し量が多くて、調べてみたらゴムの原材料の比重が違ったり、鋼板の厚みが微妙に違っていたりすることがあります。少しでも違和感があると製造技術課や開発に相談し、コミュニケーションを大事にしています。
石河さん その日の室温の違いなども、全て仕上げに現れてくるんですよね。材料や各工程での小さなばらつきが大きな差になります。
大石さん もちろんしっかりとした基準はありますが、基準だけでは語れない奥深い世界なんです。
免震でも一番に選ばれる存在に
——現在、皆さんが取り組んでいる挑戦について教えてください。
脇島さん 局部的にかかる負荷を分散させることで、より大きな変形にも耐えうる新しい形状の作り込みを進めています。また、加硫の際のゴムの充填では、素材によってばらつきがあります。こちらも関連部署と連携して解決していきたいと思います。
大石さん 一品一様だからこそ、安定した工場の稼働をどう実現していくか。みんなで知恵を絞ってハードルを乗り越えていきたいです。
古賀さん 大型の製品を扱うことから、工場での作業はほぼクレーンを利用しています。引き続き、一つひとつの作業を確実に行い、無事故の継続に努めていきたいと思います。
大石さん 今後、製品の大型化が一層進んでいくなかで、安全はより意識していく必要がありますね。
石河さん そうですね。クレーン作業で、運搬物が落下したら重大事故は必至です。決して気を緩めることなく、些細なことでも気付いたことをしっかりと共有していきます。
大石さん 一品一様だからこそ、安定した工場の稼働をどう実現していくか。みんなで知恵を絞ってハードルを乗り越えていきたいです。
古賀さん 大型の製品を扱うことから、工場での作業はほぼクレーンを利用しています。引き続き、一つひとつの作業を確実に行い、無事故の継続に努めていきたいと思います。
大石さん 今後、製品の大型化が一層進んでいくなかで、安全はより意識していく必要がありますね。
石河さん そうですね。クレーン作業で、運搬物が落下したら重大事故は必至です。決して気を緩めることなく、些細なことでも気付いたことをしっかりと共有していきます。
——最後に、グループの皆さんへのメッセージをお願いします。
脇島さん 大きな地震の発生が危惧されるなかで、社会からの免震ゴムの期待も更に高くなってきています。一方で、免震ゴムは複数のメーカーが生産を手がけており、更に免震ゴム以外の免震システムや制震や耐震など異なる発想の製品も存在します。その中でいかに免震の利点をアピールし、かつブリヂストンの免震ゴムを採用していただくか。2段階での訴求が求められています。皆さんにもブリヂストンが社会のインフラをこうした形で支えていることをぜひ知っていただければ幸いです。
石河さん そうですね。「免震もブリヂストン」を、従業員の皆さんにもご理解いただき、「これ、ウチの製品なんだ」と自信を持ってお話しいただけるよう、開発、製造が一体となって盛り上げていきたいです。
ゼネコンさんに対してのブランドはある程度浸透してきていると思いますが、これからは、マンションを買うお客様、病院に通う患者さんといった施設を使う方々にも、「免震=ブリヂストン」の認識を持っていただくことが一つの到達点だと思います。自信を持ってPRできるよう、安心・安全を追求していきます。
古賀さん ケガや事故の多い工場で作られた免震装置を使いたいというお客様はいません。安全を第一に、そして品質をしっかりと守りつつ、現場の技能員がより作業しやすい標準書作りを通じて貢献していきたいです。
大石さん 開発や製造技術のメンバーとも自由に意見を述べあい、きちんとすり合わせ、決まったことは確実に実行していくことが大切かなと。今やっている仕事が明日は正解ではなくなるかもしれません。常により良いやり方はないか。アイデアが浮かんだらすぐに共有し、試していく、そんなスタンスを大事にしていきたいですね。
石河さん そうですね。「免震もブリヂストン」を、従業員の皆さんにもご理解いただき、「これ、ウチの製品なんだ」と自信を持ってお話しいただけるよう、開発、製造が一体となって盛り上げていきたいです。
ゼネコンさんに対してのブランドはある程度浸透してきていると思いますが、これからは、マンションを買うお客様、病院に通う患者さんといった施設を使う方々にも、「免震=ブリヂストン」の認識を持っていただくことが一つの到達点だと思います。自信を持ってPRできるよう、安心・安全を追求していきます。
古賀さん ケガや事故の多い工場で作られた免震装置を使いたいというお客様はいません。安全を第一に、そして品質をしっかりと守りつつ、現場の技能員がより作業しやすい標準書作りを通じて貢献していきたいです。
大石さん 開発や製造技術のメンバーとも自由に意見を述べあい、きちんとすり合わせ、決まったことは確実に実行していくことが大切かなと。今やっている仕事が明日は正解ではなくなるかもしれません。常により良いやり方はないか。アイデアが浮かんだらすぐに共有し、試していく、そんなスタンスを大事にしていきたいですね。
編集後記
横浜工場に伺って、改めてブリヂストンの免震ゴムにはコア技術であるゴムの技術や、モノづくりの匠の技が生きていることが分かりました。災害から人々の安心・安全な暮らしを守ることに貢献していく仲間を、これからも応援していきましょう!
※新サイトへの移行に伴い、いいね、コメント数はリセットされています。
旧サイトでの6月末時点いいね数:194 コメント数:4
旧サイトでの6月末時点いいね数:194 コメント数:4
※「コメントする」を押してもすぐにはコメントは反映されません。
管理者にて確認の上、反映されます。コメント掲載基準については こちら をご覧ください。
尚、投稿者につきましては、管理者でも特定できない仕様になっております。