【ブリヂストンの現場力】国内唯一のスチールコード工場~佐賀工場~
開発チームに聞く!
スチールコードの役割と内製する意義
スチールコードは、タイヤの骨格となるベルト部分やカーカス部分に使われる重要な補強材です。高強度で伸びにくいスチールコードがしっかりとタイヤの形状を保持することで車両の安定性を保つと共に、釘踏みなどの外傷からも保護することでタイヤの耐久性が得られます。タイヤの製造に必要な部材を内製することで開発のPDCAを速く回し、製品工場のタイヤ工場と三位一体となることで、「MasterCore」に使われる革新的な補強材もスピード感を持って開発できます。その結果、お客様に「断トツ商品」をお届けすることができます。


製造工程は原材料を
細く伸ばすことからスタート。
現場には1次伸線、2次伸線、3次伸線と
どんどんワイヤーを細く伸ばすための機械が
並んでいました。
教えてくれた皆さん
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技術課
3次伸線工程担当
主務者坂井 重和さん
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製造第1課
HP係
主任末次 義弘さん
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製造第1課 HP工程 PL
(熱処理・メッキライン)
リーダー豊増 雅丞さん

坂井さん
佐賀工場へようこそ! スチールコードは鉄鋼材が原材料で、直径は5.5㎜。
鉛筆と同じくらいの太さのものを使います。潤滑剤をつけながら原材料のワイヤーの太さより細い工具の穴に通して、少しずつ伸ばしていくんです!



なんだか糸巻きみたいですね!

坂井さん
1次伸線工程、2次伸線工程と、徐々に細く伸ばしていき、直径1〜2㎜まで細くなったワイヤーは熱処理・メッキ処理工程へと運ばれます。伸線で硬くなったワイヤーを柔らかくして更に伸ばすために約1000℃の高温で熱処理してから、タイヤのゴムと接着しやすくするために化学反応を用いて表面に銅や亜鉛の膜を作ります。

豊増さん
熱処理・メッキ処理工程は約200mの8つのラインを3名で監視しています。密に連携を取りながら、機械音や目視により異常がないかを製造規格に合わせて管理しています。24時間機械が止まることがないため、規定巻量となったら適切なタイミングで瞬時にワイヤーをカットして次の巻取り機への切り替えを実施しなければなりません。流れるような作業ができるようになるまでには数年かかりました。

適切なタイミングでワイヤーをカットしながら次の巻取り機へ準備をするのは、まさに匠の技ですね!


末次さん
3次伸線工程ではメッキ処理後のワイヤーを直径0.3㎜以下に細くしていきます。髪の毛と同じくらいの細さですね。ワイヤーは細くなればなるほど、強度としなやかさが増すんです。 その後、小さな糸巻き器に巻き分けていきます。その種類は100種類以上あり、全てのサイズで条件が異なりますから、覚えるのが大変です。現場に設置しているPCですぐに確認できるようにしています。佐賀工場は世界3カ国にあるスチールコード工場のマザー工場です。私たちの技術を若手やグローバルに伝えていくため、標準をベースに伝承を行っています。


細く伸ばされたワイヤーは
いよいよ撚り合わせる工程へ。
「MasterCore」の強さの秘訣も
教えてもらいました!
教えてくれた皆さん
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技術課
撚り線工程 主務者神 利浩さん
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製造第2課
第2SC係 主任中牟田 哲宏さん
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製造第2課
日勤プロジェクトメンバー井上 英さん

井上さん
突然ですが、手袋をつけたまま髪の毛を結えたこと、ありますか?

ないですね……。手袋をつけたら上手に結べないのでは?

井上さん
大多数の方は簡単に結べないでしょう。でも私たちは撚線機(よりせんき)に小さな糸巻き器を設置する際、髪の毛ほどの細さのワイヤーを手袋をつけたまま結び、しかも触った感覚でワイヤーの異常まで発見できるんですよ。

ええっ! 指先の感覚、どうやって鍛えたのですか︎⁉︎


中牟田さん
長年の経験で分かるようになるんです。撚線機に小さな糸巻き器をセットしたら、いよいよ撚り合わせます。製品にもよりますが、スチールコードはワイヤーをロープのように2 ~ 200本程を撚り合わせてできています。撚り合わせることで更に強度が高まるんです。

撚り合わせる直前のワイヤーはくねくねしていますね。

中牟田さん
いいところに気付きましたね! 撚りのミソは、このウェーブなんですよ。絶妙な間隔で波打たせることで、コードをより強固に撚り合わせられるんです!



最後に訪れたのは試験室。
そこでは、佐賀工場の“最後の砦”として
さまざまな検査が行われていました。
教えてくれた皆さん
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品質保証課
試験室 主務者栁 博志さん
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品質保証課
横尾 美保子さん

栁さん
試験室では出荷前のコードからサンプリングし、太さや重さ、メッキの量など、10種類以上の検査をします。錆(さび)の影響で検査精度に差が出ないよう、試験室の環境を通年して一定に保ち、試験員のテストも定期的に行っているんですよ。

今、向こうでドンって音がしましたよ⁉︎

横尾さん
コード強力の検査ですね。専用の機械でコードを引っ張り数トンの負荷をかけ、コードの強さをチェックしているんです。耐えられなくなって切れた瞬間の音や衝撃は、毎回びっくりしますよ。


栁さん
特に「MasterCore」などの大型タイヤ用スチールコードを検査するときは、試験室全体に振動が伝わります。それだけ強いということです。他にも、スチールコードとゴムがしっかり接着するか実際に加硫して確かめられる設備があります。タイヤ工場でも接着試験が行われていて、ダブルチェックで品質を守っているんです!



横尾さん
お客様に安心してタイヤを使っていただくためにも、責任を持って丁寧に検査し、タイヤ工場へ送り出しています!
編集後記
タイヤの製造に欠かせないスチールコード。各工程に光る匠の技があり、従業員の皆さんの高い技術力の結晶であることがわかりました! また、佐賀工場では独自のQC 活動「QMK」( QC的(Q)問題(M)解決(K))を掲げていて、問題の根本的な原因を突き止め、製造時のムリ・ムダ・ムラを省く活動に取り組み続けています。長年の品質へのこだわりが、今日のお客様の笑顔につながっているのですね。
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今回の「ブリヂストンの現場力」は、国内唯一のスチールコード工場である佐賀工場にフォーカス。鉱山ソリューションのカギとなる鉱山・建設車両用タイヤ「MasterCore」のスチールコードを含め、100種類以上のスチールコードを1日に約8万㎞も生産している佐賀工場の現場力に迫ります。