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子ども達がゴムを配合してタイヤをつくる!?雲雀丘学園サマー合宿「ラジコンカータイヤ設計」編

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8月1日(火)~3日(水)の三日間、東京・小平にあるBridgestone Innovation Park(以下、BIP)にて、雲雀丘学園中学校・高等学校(兵庫県宝塚市)の皆さんと(株)ブリヂストンの従業員による「サマー合宿」が実施されました。この合宿は、雲雀丘学園の課外活動への協力要請にブリヂストンが応える形で実施されたもので、生徒の皆さんが、社会課題やそれらに対する解決策などを考え、成果物としてまとめていく過程を通じて、思考力・判断力・表現力を培う目的で開催されました。

合宿期間中は、生徒の皆さんが「ラジコンカータイヤ設計」と「商品・サービスコンセプトワーク」の二つのグループに分かれ、活動を行いましたが、今回は「ラジコンカータイヤ設計」グループの模様をお伝えします!

社会課題とモビリティとの関わり合いを学ぶ

合宿初日は、今の世の中の環境問題やそれに対する社会要請に関する座学から始まりました。モビリティやブリヂストンの事業とも関連付けて、(株)ブリヂストン サステナブル技術戦略・研究部 リサイクル技術研究課の田原さんが説明します。タイヤ原材料の約75%は石油由来であること、ブリヂストンはサステナビリティ材料の開発を進めていることなど、皆さんにとっては新鮮な話が多かったようで、背筋を伸ばして、集中して講義を受ける様子が印象的でした。
その後、(株)ブリヂストン 事業開発戦略企画部 事業開発共創戦略課の山本さんから、タイヤの構造や原材料についての講義を受けました。従業員が入社後に勉強するような内容ですが、生徒の皆さんは興味津々です。また、引率の道北教頭先生(水色のシャツの方)、岩下先生(写真中央)も、生徒の皆さん以上に目を輝かせて説明に耳を傾けています。

サステナブルなタイヤって一体なんだろう?

しっかりと勉強を終えた皆さんが次に取り組んだのは「10年後、自分が乗っている車についているサステナブルなタイヤ」について考えること。誰も正解を知らないこの難題に、若い感性や先入観の無い柔軟な頭をフルに使って挑みます。もちろん、悩んでいる生徒にはブリヂストンのメンバーが適宜サポートをします。
生徒の皆さんの数だけ答えがあるこのテーマ、「すり減ったトレッドを部分的に剥がすと、溝が復活するタイヤ」、「外側のトレッド部分だけで回転するキャタピラみたいな省資源タイヤ」など、固定観念にとらわれないさまざまなアイデアが飛び出しました。その場にいた従業員からは「知財部門の人も連れてくればよかった。特許出願できるものもあったかも」という声が出るほど、興味深い内容ばかりでした。こうした柔軟な発想から新たに何かが生まれるかもしれませんね。

生まれて初めてのゴム配合!性能、コスト、サステナビリティ…どれを重視すべき?

そしていよいよ、「ラジコンカータイヤ設計」のスタートです。タイヤの性能を決める大きな要因となるのが材料選び。生徒の皆さんには、タイヤを構成する代表的な原材料である「ポリマー」、「フィラー」、「オイル」の3つについて、複数種類の中から一つを選んでもらいます。例えば、ポリマーでは、「天然ゴム」、「合成ゴム」、「サステナブル合成ゴム」のどれかを選び、またフィラーやオイルでも同様に、複数のものから配合するものを決めていきます。

ここで材料選びの判断基準になるのが、性能やコスト、その材料がサステナブルなものかどうかといった情報になります。これらをわかりやすく生徒の皆さんに理解いただくために、ブリヂストンのサポートメンバーが、一つの材料を一枚のカードで表現しました。例えばコストについては「合成ゴム」が優れているのですが、「サステナブル合成ゴム」の方が、よりサステナブルな材料であることが、★の数でわかるように工夫がされています。材料に詳しくない人でも、カードゲームをするような感覚で、材料の組み合わせを決めることができますね。
タイヤの材料選びを終え、合宿初日は終了。一方で、ブリヂストンのサポートチームにとってはここからが腕の見せ所。生徒の皆さんが組み合わせた材料によるゴムを製作するための、配合に関するシミュレーションをしています。まるで通常の業務ミーティングのように、全員で議論をしています。

加硫工程へ!狙い通りの仕上がり? 出来上がったゴムの物性を確認

前日に皆さんが選んだ材料によって配合されたゴムとご対面です。選んだ材料によって、見た目の色や臭いが異なるゴムが出来ることに驚く生徒の皆さんと、我先にとゴムの臭いをかぐ岩下先生。この日も真剣です。
それぞれ配合したゴムでタイヤを作るため、ラジコンタイヤ用の特注モールドで加硫していきます。当たり前ですが、実際のモールドに比べればとてもコンパクト。ですが、手に持ってみるとズッシリとした重さを感じることができました。
ここからは物性試験。狙った物性が出ているのか確認です。
まずはゴムの引張試験。ゴムを測定機にセッティングし、上下から引っ張って伸縮性や強度を測定していきます。必死に耐える(?)ゴムの姿を見て、思わず「頑張れー!」という声を出してしまう人も。
続いてはゴムの跳ね返り試験。球体のゴムを一定の高さから落とし、弾んだ後の高さを図って、ゴムの弾性力を確認します。ボールが弾んだ高さを正確に読み取るべく、かがんで集中する皆さん。
最後に牽引力の測定です。これは実際にタイヤを装着したラジコンを測定機(バネ計り)につないで数値を測定します。まずはオリジナルゴムによるラジコンタイヤの装着を行います。小さいラジコンに更に小さいタイヤを取りつけていく皆さん。皆さんワクワクしながら細かい作業にも集中しています。
全て組み立て終わったら、ラジコンカーを測定機につないでスイッチオン。配合の異なるゴムタイヤを装着したそれぞれのラジコンの牽引力を測定します。さまざまな物性を測るために、いろいろな試験方法があるんですね。
一連の試験を終え、それぞれのゴムの物性などを全員でおさらい。選んだ材料の組み合わせに対して、「サステナビリティ」と「経済性」、そして物性試験の結果を基にした、「燃費性」、「安全性」、「耐久性」という5つの指標について点数をつけていきます。どの材料を使うことでどの指標が伸びたか、事前のイメージ通りだったかを振り返ります。
レーダーチャートによるわかりやすい比較です。今回の検討では、ポリマーに「天然ゴム」を選んだタイヤがチャートの面積が大きめに出る傾向が見られました。また、岩下先生と曽根さんチームのタイヤが「経済性」重視になっているのも大人ならではで興味深いですね。

白熱!オリジナルゴムタイヤを用いたラジコンレース

合宿最終日は、実際にオリジナルゴムでできたタイヤを装着したラジコンをコースで走らせます。実際の走行ラップタイムを計ると同時に、ラジコン操縦時のグリップ感覚なども体感することを目的としたこのレース。どんなドラマが待っているのか、大人も子どももテンションは最高潮です。
いよいよスタート。コースを計60周する過酷なレース、皆さんの想いを乗せたマシンがサーキットを走行します。なぜか、ラジコン操作者以外の方もコースの外側を周回していますが、マシンが変な方向を向いてしまったり、ひっくり返ってしまったりした際のフォローを全力で行っています。まさに全員参加の熱い戦いです。
岩下先生と曽根さんのチームも生徒たちに負けないよう必死です。既に成人しているこの二人、大人のプライドをかけて勝利を目指します。
激しい耐久レースを制したのはこちらのチーム。(株)ブリヂストン サステナブル技術戦略・研究部 リサイクル技術研究課の森下さんから、記念の優勝キャップが贈られます。
自分たちの配合ゴムによるラジコンタイヤでレースを制した皆さん、おめでとうございます!

レース後の振り返りもしっかりと 合宿の最後を締めくくる発表会

熱いレースが終わると、いよいよ合宿も大詰め。事前に考えたゴムの配合に対して、レース中に測定したラップタイムや、操縦して感じたグリップ感なども振り返りながら、自分たちなりの考察をまとめます。「性能のバランスの良いタイヤを目指したけど、物性試験の結果ではそうならなかった。材料ごとの含有比率を考えるべきだったか?」など、今回の検討で得た気づきについて、自分たちの言葉で説明します。
三日間という限られた時間の中でも多くのことを吸収し、また逆に多くの気づきをブリヂストンのメンバーに与えてくれた皆さん。このサマー合宿で体験したことが、皆さんのこれからの人生に何らかの形で活きてくれれば嬉しいですね。ひょっとしたら将来、モビリティ業界で一緒に働くことになるかもしれません。そんな未来が来るのが楽しみですね!

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コメント(2)

中途社員さん

自分の子どもにも参加させたい!何なら自分も参加したい!と思ってしまいました。
なかなか自分たちだけでは体験の難しいしかけに子どもたちも楽しそうで、サステナブルを目指すタイヤメーカーだからこそできる、素晴らしい企画だと思います。
趣旨は変わってしまうかもしれませんが、叶うならパッケージ化して一般の方や、従業員の家族向けにも開催があればなと思いました。
昨今コロナや機密の関連でなかなか家族に職場・現場を見てもらう機会がない中、BSに愛着や誇りを持ってもらういいきっかけになるかなと思います。

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タロにゃんさん

素晴らしい!!

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