• TOP
  • 記事
  • 先を走り続けることでサステナブルな企業へ 第1回BSJPサステナビリティデイ(後編)

先を走り続けることでサステナブルな企業へ 第1回BSJPサステナビリティデイ(後編)

画像
9月28日(木)、小平にあるBridgestone Innovation Parkにおいて、「第1回BSJPサステナビリティデイ」が開催されました。この催しは、従業員一人ひとりが「サステナビリティ」への理解を深め、更なる意識向上につなげることを目的としたものです。BSJPの各部署の従業員参加によるパネルディスカッションなどが行われ、リモートで接続された方も含め、国内のブリヂストングループ従業員およそ2,000人が参加しました。今回は前編記事に引き続き、パネルディスカッションの様子をご紹介します。

パネラーとしてディスカッションに参加いただいた皆さん

社会の変化が急激に速まっているなか、どうアプローチしているか?

社会の動きを先読みし、天然ゴムに新たな価値を付加していきたい

竹内さん: 社会要求の変化や新たな法律の制定など、サステナビリティに関する活動や動向は自動車・タイヤ業界のみならず他業種でも凄いスピードで日々変化しています。特に欧州ではその動きが活発で、森林破壊を防ぐ法律も制定され、天然ゴム農家もこれらの影響を受けていますが、ブリヂストンの天然ゴム内製拠点では、これらの法律に対応する管理はしっかりと実施できています。ただ、社会の動きはとても速まっており、従来のアプローチでは追いつかない部分も出てくると思います。今後はデジタルツール技術を活用し、天然ゴムのトレーサビリティ確保などに取り組んでいくことで、天然ゴム自体に価値を創出しつつ、社会やOEメーカーの要求にも応えていけると考えています。

稲継さん: 社会の要求の変化を先読みして動くことがより求められてきますね。こういった取り組みをする上でも、ブリヂストンが内製事業を行っているという強みや競争優位性は活かすことができますね。

タイヤのリサイクルを推進することで社会の要求に応えていく

薮本さん: サステナビリティに関する社会要求の変化は、私も日々感じています。実際に、使い終わったタイヤの廃棄を生産者に一定の責任を求めていく政策なども議論されています。リサイクルを推進していくことは、そういった社会要求に応える一つのアプローチです。ブリヂストンとしては、「グリーンイノベーション基金」という国の助成制度も活用しつつ、技術部隊や共創パートナーの方々と協力しながら、一歩一歩確実に取り組みを進めています。

稲継さん: リサイクルをすること自体、生産者である私たちの責任であるという考えが広がっていくなかで、着実に取り組んでいる姿勢を示すことや、実際にリサイクル技術を確立していく過程は重要になりますね。

薮本さん(写真右)、ディスカッションのモデレーターは(株)ブリヂストン Gサステナビリティ統括部門長の稲継さん(写真左)が務めました

「ブリヂストンと一緒にやっていきたい」 社外パートナーからも多くの関心

田口さん: 社外パートナーと再生可能エネルギー活用についてコミュニケーションをすることがあります。彼らも持続可能な社会の実現を目指していますが、「ブリヂストンと一緒にやっていきたい」と言っていただけることが増えてきました。さまざまな方がブリヂストンの取り組みに関心を持っていただいていると感じるので、当社の良い施策を出来る限り発信していただきたいと思っています。

稲継さん: 「ブリヂストンと一緒にやっていきたい」という言葉には非常に勇気づけられますね。サステナビリティの取り組みについては、自分たちのため、もしくは社会のために行っているということもありますが、パートナーの方から「信頼」を得る、ということにもつながっているのかと思いました。

お客様のオペレーションで生まれるメリットをしっかりと訴求していく

阿部さん: 低ロス・低燃費の高性能なゴムクローラを購入いただくことで、お客様にどういったメリットが発生するかについて、しっかりと訴求していくことが課題だと感じています。今、取り組もうとしていることの一つとして、製品試験でデータとして現れる機能優位性だけでなく、実際のお客様のオペレーションのなかで、どれくらいコストメリットが生まれるのかという点をアピールできないかと考えています。栃木にあるタイヤのテストコース、プルービンググラウンドでお客様の機体を模して行った試験の結果に対して、実際の現場ではどういう効果が得られるのか、こういう点を深掘りできないかと考えています。

稲継さん: 商品の使用段階におけるエネルギーやCO2の削減効果などは、ブリヂストンだけではなかなか評価しきれないこともあるので、お客様と一緒に価値を見出していくことが重要ですね。そうやって見出だした価値をシェアして、利益につなげていく、それは今後の課題のように感じました。

阿部さん(写真右)

多くの方の生活を支える物流業者の方々の思いに応えたい

原田さん: サステナビリティについて、お客様の意識の変化をひしひしと感じます。日本の産業界におけるCO2排出量の2割くらいは物流業界から発生しているといわれていますので、業界全体でも意識が高まっていると思います。例えば、荷物の配送を依頼する荷主側でも、「CO2排出に関する対策をしていること」を物流業者の選定基準にするケースもみられたり、産業界全体としても力を入れていることを感じます。他にも、物流業界における特に大きな課題として”人手不足”があります。新しいビジネスを取りたくても人手の問題で取れず、そこに物価高などの逆風も影響し、事業として厳しい状況に追いやられている業者様も多いです。ただ、彼らは多くの方の生活を支えている物流に誇りを持っており、何とか事業を継続させたいという強い思いを持っています。そういった彼らの思いに応える形で、ソリューションを通じて当社が何かお手伝いができないか、コミュニケーションを取るようにしています。

稲継さん: お話を伺って、まさに社会の変化がソリューションビジネスの提案にも直結することを、改めて実感することができました。我々のお客様である物流業者様の、更にその先の荷主様からプレッシャーが発生しているという状況にもなってきていますので、時代を先読みしながら、どうビジネスにつなげていくかは重要な観点ですね。

原田さん

BSJPとしてサステビリティを推進する上での強みや弱みは?

原田さん: ソリューションの軸は「商品」「サービス」また、それを支える「ネットワーク」です。これらの要素について、他社に対して優位であることはブリヂストンの競争力の源泉だと思っています。例えば「商品」については「ENLITEN®」技術を採用したタイヤや、過去から築いてきたスタッドレスタイヤの高い性能・ブランド力も活かしながらお客様に優れた商品を訴求することができています。これに加えて、私個人として最大の強みは「ネットワーク」だと思っています。国内でこれだけの規模の販売店を持っているというのは非常に大きいと思います。いくら良い商品やサービスを開発しても、パートナーである販売店と一緒にやっていかないとお客様に価値を届けることができませんし、良いビジネスを体現できないので、「商品」「サービス」「ネットワーク」の3つの力をバランスよく強化していくことが非常に重要だと思っています。

阿部さん: 強みは「技術力」だと思います。低ロス・低燃費といった商品については、競合他社に対して一段上にいると感じています。実際にお客様からも「ブリヂストンのクローラじゃないとうまく走れない」という声をいただくこともあります。50年以上かけて培ってきた技術力の差は確かにあると思っています。

欧米と日本、サステナビリティに対する温度差はある?

稲継さん: 薮本さん、リサイクルの観点で国内と海外の違いは感じていますか?

薮本さん: タイヤのリサイクルに関するアプローチはいろいろありますが、欧米では、使用済タイヤを細かく砕いてアスファルトやグラウンドに混ぜるなどマテリアルリサイクルの取り組みが進んでいます。一方、日本国内は資源としてのサーマルリカバリーが主流であり、このような点が、欧米に比べて「遅れている」と見られるのかもしれません。またサステナビリティに関する具体的な要求についても、海外では具体的に指針が出ていることも多いので、こういう所でも差があると感じています。

稲継さん: 竹内さん、天然ゴム農家への支援について、ブリヂストンと海外競合他社とのアプローチの差はありますか?

竹内さん: ブリヂストンが自社の天然ゴム農園を保有している点は大きいと思います。支援をする農家さんの数という点では、他社とそこまで大きな差は無いのかもしれませんが、支援する内容は、天然ゴム農園を保有している当社だからこそ技術的なレクチャーができる、というメリットもあります。こういった点は他社比での優位性に繋がっていると思います。

竹内さん(写真右)

稲継さん: 田口さん、日本と海外で、省エネに関する違いは何か感じていますか?

田口さん: 省エネというよりは、エネルギー消費量の観点で違いがあると感じています。日本では省エネ法などの法律があったことの影響かもしれませんが、他極の生産拠点と比べて、エネルギー消費量の規模はかなり小さいです。ただ、最近では特に欧州の工場が努力をしていて、消費量の抑制を進めていると感じています。

コストメリットが出にくいサステナビリティの活動をどう推進していくか?

稲継さん: 竹内さん、天然ゴム農家への支援について、取り組みの必要性をどのように訴求していけると思いますか?

竹内さん: 彼らへの支援を通じて、生産者の顔が見えるようなトレーサブルな天然ゴムが持続的に調達できるようになれば、それはブリヂストンにもとても大きな価値になると考えています。競合他社に対する優位性確保や、OEメーカーへのアピールにもつながっていくものと思いますので、こういったプレミアムな価値につながる活動であることを訴求していくべきかと思います。

稲継さん: 薮本さん、リサイクルにおいてはコストというのは大きな課題と思いますが、事業を進める上で、どのようなポイントをベースに推進しようと考えていますか?

薮本さん: 仰る通り、リサイクルをするということは、それなりのプロセスが必要になってきますので、結果的につくられた商品の性能が、非リサイクル品と同等だったとしても価格は高くなってしまいます。そのため、技術の進歩によるコストのミニマム化はとても重要です。加えて、リサイクルされた商品の価値をわかりやすく伝えていくことが必要になってきます。ブリヂストンが進めているケミカルリサイクルについては、廃タイヤを燃料として利用するサーマルリカバリーに対して、CO2排出の削減効果が見込めるので、ライフサイクル観点でのCO2削減において価値があると思っています。リサイクルプロセスのコスト抑制と並行して、こういった価値を訴求していくことが必要なのかと思います。

稲継さん: 田口さん、省エネの活動は環境にもコストにもプラスの効果がありますが、一方で、再生可能エネルギーの導入などについては難しい面もあると思います。訴求をしている点はありますか?

田口さん: 太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを積極的に導入することで、いずれは「CO2フリー」のタイヤをつくることができるようになるかもしれません。現在、自動車業界でもCO2フリーを訴求する電気自動車などが出てきていますが、そういった自動車に装着する上で相応しいタイヤとして、プレミアムな価値のアピールにつながるなど、訴求できることはあるのかなと思っています。

田口さん

先を走り続けることによってサステナブルなブリヂストンへ

大盛況に終わったパネルディスカッション、パネラーの皆さんが日頃から自分たちの業務とサステナビリティの関連性を意識して、共創パートナーを巻き込んで、取り組みを進めている様子がよく伝わってきました。ディスカッションの後は、BSJP CQO・品質経営管掌の渡邉さんによるクロージングスピーチが行われました。

渡邉さん:
「サステナビリティ」という言葉を思い浮かべたときに、皆さんがどのようなことを考えるかが重要です。「何かを節約しよう」、「ものを大切にしよう」、「CO2削減について考えてみよう」 ――こういったことを、どうやって自分の生活や会社での仕事に落とし込んでいくか、意識を持って行動に移すことが大切です。行動に移すためには、実践例を学ぶことや知識を身につけることが必要です。その上で、本日のサステナビリティデイを通じて聞いた事例や、普段、皆さんが吸収している知識が役立ってくれればいいなと思います。

ブリヂストンが存続をしていくための必要な前提条件の一つが、「先を走り続ける企業」であり続けることだと思います。皆さんが自分の仕事に対して、サステナブルな意識を持ってトライしていくこと。それが大きな活動の源になり、皆さんにとっての達成感や会社の存続につながっていきます。またブリヂストンは、サステナビリティに対して、しっかりと方針を示し、リソースをかけていくという決意表明をし、取り組みを進めようとしています。これからも「先を走り続ける企業」として、皆さんと一緒に頑張っていけたらと思います。
「第1回BSJPサステナビリティデイ」、いかがだったでしょうか。これまでは「サステナビリティ」について、なんとなく具体的なイメージが出来なかった方にとっても、ご自身の業務との関わり合いを見出だすきっかけになったのではないかと思います。一人ひとりがサステナビリティの意識を持ち、日々の業務に折り込んでいくことが、サステナブルで強いブリヂストンへの変革を後押ししていくことにつながっていきます。「先を走り続ける企業」の一員として、皆さん頑張っていきましょう!

みんなからのコメント待ってるよ!
コメントする

※「コメントする」を押してもすぐにはコメントは反映されません。
管理者にて確認の上、反映されます。コメント掲載基準については こちら をご覧ください。
尚、投稿者につきましては、管理者でも特定できない仕様になっております。

コメント(0)

ページトップへ戻る