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産業を支える重要パーツ「油圧ホース」のビジネスに迫る! Part.02 後編

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ブリヂストンの化工品・多角化の中核事業として位置づけられる油圧ホースビジネス。
建設機械や工場設備などさまざまなシーンで重要な役割を果たしている油圧ホースの概要と、ブリヂストンの取り組みについて、担当する皆さんや製品をご利用いただいているお客様にお話を伺いました!

油圧ホース製造の現場に潜入! 熊本工場

熊本工場ではワイヤーブレード(W/B)構造の油圧ホースを製造しています。関工場との生産とどんな違いがあるのでしょうか?
ワイヤーブレード構造の油圧ホースの製造工程

マンドレル製造
油圧ホースを製造する際、欠かせないのがマンドレル(通称、マンドル)という芯材。ワイヤーブレード構造の油圧ホースのマンドレルはゴムと芯に配置したスチールコードを複合させることで伸びずに柔軟なものを実現しており、ホースを巻き取りながら生産することが可能になります。これにより、お客様が使用しやすい長尺ホースを提供でき、かつ工程の省スペース化も実現できています。マンドレルは、熊本工場で製造され、リールに巻き取られて保管されています。
内管ゴムの押出
熊本工場で練ったゴムをマンドレルの上に押出します。
ワイヤーの準備(リーリング)
ボビン(糸巻き)一つひとつにワイヤーを束にして巻き付けていきます。

ワイヤーの長さと太さと本数は、製品によって異なります

ワイヤー編上げ
ワイヤーが巻き付けられたボビンをいくつも編上げ機にセットし、ワイヤーを編上げていく工程です。それぞれのボビンが高速で周回し、ワイヤー1本1本が凄いスピードで編上げられていきます。内管ゴムが変形しないように凍結させ、内管ゴムの外側を編み上げていきます。
外被ゴムの押出と樹脂モールドの押出
外被肉厚を調整した後、外被ゴムを押出し、さらにモールドの役割となる樹脂を押出し被覆します。

編み上げられたワイヤーの管(左)の外側に外被ゴムを押出し(右)

加硫
熊本工場にある加硫機では600~800m程度の長さのホースを加硫できます。ホースの外側に樹脂モールドを取り付けて、1〜2時間程度加硫します。
モールドの取り外しとマンドレルの抜き取り
樹脂モールドにカッターで切れ目を入れて取り外した後、ホースの内側に水を注入し水圧をかけると、逆側からマンドレルが排出されます。
検査工程を経て出荷
外被ゴムの偏肉量の許容誤差はわずか0.3mm。厳しいチェックを経てブリヂストンフローテック(株)へ!

お話いただいた皆さん

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製造第1課 ホース係

沖 泰之介さん

入社以来、各工程を経験し、現在は押出工程を担当していますが、ホースの品質を左右する重要な工程だと自覚しています。前工程の編上げや後工程の加硫、検査や出荷、マンドレルの回収まで、一連のサイクルの業務で何か一つミスがあると全体の稼働に影響が出てしまいます。押出しの作業の一つひとつを確実に行うことが、工場の生産性を高め、ひいては過酷な現場で使われる建設機械や工場機械の耐久性、信頼性につながっていくと考えています。

工事現場のショベルカーを見ると、自分たちの商品が使われているか気になってしまいます。皆さんも身の回りで油圧ホースが使われていないか、ぜひチェックしてみてください!
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製造第1課 ホース係

古賀 拓実さん

編上げ工程から昨年8月に押出工程に異動しました。押出しはチームワークが求められる仕事で、メンバー同士の息の合ったコミュニケーションが欠かせません。自分から積極的に仲間に声掛けして、団結力を高めていけるように心がけています。
できる仕事が増え、職長の指示を確実に実行し、トラブルなく後工程に引き継げた時に達成感を感じています。

油圧ホース製造の現場に潜入!ブリヂストンフローテック(株) 埼玉工場

(株)ブリヂストン関工場、熊本工場で生産された油圧ホースは、両端に接続部材をつける「加締(かし)め」という工程を経て初めて、お客様の元へ出荷されます。ブリヂストンフローテック(株) 埼玉工場はその加締め作業や、金具の切削・製造も担う、ホース製造の肝となる重要な拠点です。
加締めとは?
加締めとは、油圧ホースの端に口金具(くちかなぐ)と呼ばれる接続部材を隙間なく合体させる作業です。
口金具は大きく分けると芯金具と締金具から成り立っています。それぞれ中と外からホースを挟み込むように設置し、専用の機械を使って強い力で締め付けて合体させます。

加締め作業のポイントは、油圧ホースと口金具を強く噛み合わせること。少しでも隙間や緩みができると、油漏れといった、ユーザーにとって致命的な事態につながってしまいます。口金具の内部には段差やツメがついていて、噛み合わせを強くする工夫が施されています。

作業フロー

芯金具と締金具を組み立て、口金具をつくる
裁断機を使って油圧ホースを注文通りの長さにカット
種類によっては、口金具の取り付け口を削り取る(スカイブ)
油圧ホースの先端に口金具を取り付け、専用の機械で締め付け
ブリヂストンフローテックでは太さや長さの異なる800種類の油圧ホースと、接続部の形状などが異なる数万種類の口金具を組み合わせて製造します。作業ミスをなくすため、全自動の部品ピックアップシステムや、全工程に渡るバーコード管理など、数十年前からデジタル技術を活用したものづくりをしています。

また、加締め後の仕上げ工程ではお客様が希望される納品形態に合わせた加工を施しています。例えば、「ホースの向きが一目でわかるように片側にだけ色付きのテープを貼って欲しい」、「ホースの周りに保護材(スプリングやチューブ)を巻いて欲しい」、「結束バンドで束ねて欲しい」など、リクエストはさまざま。こうした数多くのニーズへの対応力はお客様から選ばれるブリヂストンフローテックの大きな強みとなっています。

現場の声

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ブリヂストンフローテック(株)埼玉工場
工程リーダー

植杉 幸弘さん

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裁断担当

儘田(ままだ) 泰広さん

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加締め担当

伊東 大地さん

加締め工程は、油圧ホースが出荷される前の最後のプロセス。多品種・少ロット生産の埼玉工場では日々異なる種類の油圧ホースを加締めているため、作業ミスをなくし、納期や作業量を見越して効率良く進めることを心掛けています。扱う油圧ホースの重さや長さによっては、複数人が協力して作業にあたらなければなりません。その点、私たちは担当業務が違ってもアイコンタクトだけでフォローし合えるほどメンバー間の理解が深いところが強みです。円滑な生産体制が土台となって、1日25,000本という生産スピードと高い品質を実現しています。

私たちが携わった油圧ホースが “血管”として建設機械や工作機械を支え、普段の社会インフラのみならず、緊急時の災害復旧の場面でも活躍しています。日々の仕事が社会を支えているという誇りを胸に、目の前の業務に取り組んでいます。

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コメント(2)

ホース応援団さん

ホースの製造方法や設備が紹介されていますが、技術情報のリスクは検討されたのでしょうか?少々心配です。

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Arrow編集部さん

コメントありがとうございます。Arrowでは、記事に載せる情報はすべて、事業部署および開発部署に開示可否の確認を取った上で掲載しています。今後ともArrowをよろしくお願いいたします。

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