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【Part2】走るわくわくを支えるブリヂストンの団結力 〜スーパー耐久シリーズ、タイヤ供給の裏側〜

ブリヂストンは、これまでもモータースポーツに限りない情熱を注いできました。モータースポーツの文化の発展に貢献し、10年後、20年後も「走るわくわく」を提供し続けることを目指していきます。

2024年からは、「スーパー耐久シリーズ」(以下、S耐)のオフィシャルタイヤサプライヤーを務めますが、運営元のスーパー耐久機構からの要請を受けて、昨年5月のシリーズ2023第2戦から前倒しでタイヤを供給しています。

なぜS耐に参画したのか、そこにはどのような挑戦があったのか。関わる皆さんにお話を伺いました。
東京都小平市にあるブリヂストンの開発工場は、製品開発時の試作タイヤと、レース用タイヤの試作・製造を担っています。多品種・小ロット生産が特徴の工場で、その名の通り開発者の新たなアイデアをタイヤの形にして開発に貢献しています。誇りと責任を持って、磨き上げた経験をもとに一本一本丁寧に製造しています。
――開発工場における生産立ち上げの準備はどのように進められましたか?
2023年からのタイヤ供給が急きょ決まりましたが、2024年の参入に向けて各工程の準備が進んでいたため、供給の前倒しは不可能ではありませんでした。ただ、供給まで2カ月足らずだったので、他のレースのタイヤと並行して生産することになり、もともと組んでいた生産スケジュールは一気に吹き飛びました。現場の工夫で毎日の生産本数を増やすと共に、他のレースに供給するタイヤで生産を急がない分をS耐の生産に割り当てるなど、スケジュールを調整し、ストックを増やしていきました。
――特に工夫した点、苦労した点を教えてください。
特に苦労したのは、ウェット用タイヤの製造です。開発工場は多品種・小ロット生産に特化しているためゴム練りなどの製造設備が小さく、開発工場でのゴム練りだけでは必要な量が確保できませんでした。そこで、久留米工場で練ったゴムも使うことになりました。開発工場と久留米工場では練ったゴムの特性が微妙に異なり、両工場のゴムの違いを考慮した押出機の設定条件を決める必要がありました。また、レース用タイヤのゴムは熱が入りにくいため、押し出し工程での形状にバラつきが出るなど、扱いに難がありました。そこで、久留米工場やS耐のタイヤを一部作っている鳥栖工場にゴムデータの共有やゴムの扱いのアドバイスをいただきました。

また、S耐はさまざまな車種が混走することから、供給するタイヤのサイズもさまざまです。サイズが変わると押出機の設定切替えの時間が必要になり、生産に当てられる時間が少なくなってしまいます。なるべく切替えが発生しないよう、工夫して計画を組むことで、効率的に必要な部材を準備できました。
――今後のレース用タイヤの生産に向けての意気込みをお願いします。
押出工程では、設計から依頼された狙いの寸法で押出すことに匠の技が必要です。最初から全力疾走でつまずくことが許されない状況のなかで、現場の皆さんと押出機の口金の調整や温度調節のかけ方など細かい部分も一緒に作り上げていきました。考えうる最高のスタートを切れたと思っています。

現在の供給は安定していますが、常にレース用タイヤ生産のスケジュールは一杯ですし、2024年から鳥栖工場への生産移管を段階的に開始し、2025年中に完了させるための準備も始めなければいけません。オフィシャルタイヤサプライヤーになる2024年は、開発工場にとっても勝負の年です。

レース用タイヤも求められる性能がどんどん高くなり、短いリードタイムでの供給要請もあります。こうした期待に応えていくことが、開発工場の使命です。これからもレース用タイヤに携わることに誇りを持って業務に取り組んでいきます。
――急きょ、3,000本のタイヤを供給することになり、現場ではどのように乗り越えたのでしょうか。
多様なタイヤサイズを供給することから、さまざまな部材をそれぞれ決められた寸法にカットする必要があります。その役割を担う才断工程が止まってしまうと、後工程に響きます。つくるタイヤによって種類やカット幅、角度が異なるため、瞬時に見分けながら才断しています。

昨年4月に緊急供給が決まった際はうろたえることなくすぐに作業に取り掛かり、残業時間もほとんどなく乗り切ることができました。なぜなら、2021年から取り組んできた改善活動によって作業の効率化が進んでいたからです。
――どのような改善活動に取り組んできたのでしょうか。
取り組んだ活動は大きく分けて2つあり、1つはゴムのスクラップをカットする手間を無くしたこと。これまでは“耳”と呼ばれる端にある不要なゴムを手作業でカットしていました。久留米工場での研修で自動でカットする装置の存在を知り、それを参考にしながら自分たちで機械を改修し、作業時間と部材のロスを最小限にすることができました。

もう1つは、才断機の停止時間を減らすことです。才断機は1人で作業するため、部材を機械に掛け替えている間は稼働を停止せざるを得ませんでした。そこで別工程、別の班の人にもご協力いただき、手が空いたタイミングで部材の掛け替えを先まわりして済ませてもらい、停止時間を短縮させる体制を築きました。班、工程間の壁を取り払い、多能工化することで、才断工程の稼働時間を大幅にアップすることができたのです。
2つの改善活動の結果、才断機の稼働時間を1日4時間増加させることができました。また、前後の工程での待ち時間も減り、結果的に工場全体の残業時間を削減することができました。こうした日々の改善活動が土台となり、生産量が急激に増える事態にも無理なく対応できたのだと思います。

工程の垣根を越えた協力によって、開発工場は生産量の波にも柔軟に対応できる強いチームへ進歩しつつあります。今後も全員がワンチームとなって、モータースポーツ活動を盛り上げていきたいです!

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