• TOP
  • 記事
  • 白銀の世界でタイヤをテスト 北海道士別市のプルーピンググラウンド

白銀の世界でタイヤをテスト 北海道士別市のプルーピンググラウンド

画像
ブリヂストンは、さまざまな路面状況を想定して造り上げられたプルーピンググラウンド(テストコース)の走行路で、実車を使った評価を行い、タイヤの開発を進めています。プルービンググラウンドは世界8カ国、計10カ所に存在しますが、日本国内では栃木県那須塩原市と北海道士別市にあり、タイヤの開発に貢献しています。

今回は、先日ご紹介した『性能を測る“ものさし”をお客様と共につくるタイヤの「すり合わせ評価」』の記事で舞台となった北海道プルーピンググラウンド(以下HPG)をご紹介。凍てつくような白銀の世界でどのように施設が活用されているのでしょうか。
画像

株式会社ブリヂストン
実車試験部 主査 

北原 一弥さん

HPGならではの走行テストで雪道の安全を支える

Q. HPGはどのような施設なのでしょうか?
北海道士別市に広がるHPGは、主に「BLIZZAK」をはじめとする冬用のスタッドレスタイヤを開発するためのテストコースです。東京ドーム約50個分の敷地内にさまざまな路面を再現したコースが用意されています。

上空から見たHPG

HPGは毎年12月下旬から2月中旬の期間で稼働し、1日に約200本、1シーズンで約10,000本のタイヤをテストします。乗用車用、トラック・バス用のスタッドレスタイヤがメインですが、ほかにもバイクや、電動アシスト自転車の評価走行を実施したこともあります。過去には夏場に砂利道での評価走行をしたこともありました。
評価走行の他にも、新商品の試乗会の開催やCM撮影の会場として活用することもあります。昨年は士別市とコラボして、地域住民を対象としたテストコースの見学会も開催しました。
Q. 栃木にあるプルーピンググランドとは、どのような違いがあるのでしょうか?
栃木にあるプルーピンググラウンドでは、乗用車用タイヤからモータースポーツ用タイヤまで、あらゆるタイヤの試験を行います。主として楕円型のコースを使い、ドライ/ウェットそれぞれの状態で、耐摩耗性能や低燃費性能、静粛性能などを評価しています。

一方、HPGでは、スタッドレスタイヤなどの冬用タイヤに特化して実車試験を行っています。ここが大きな違いですね。走行路も冬の一般道を再現するような造りになっています。


Q. なぜ士別市にプルーピンググラウンドが設けられたのでしょうか?
冬用タイヤの評価を行うテストコースは、主に3つの条件が揃っていなくてはなりません。
① 走行路をつくるための十分な量の雪が降ること
② 凍った路面を再現するため、気温が氷点下に保たれること
③ 走行路づくりに豊富なノウハウがある企業が付近にあること

HPGで試験をするのは12月下旬〜2月中旬までの約45日間。この期間はできるだけコンディションを一定にする必要があります。毎年多くの雪が降り、飲み物を持って屋外に出るとすぐ凍り始めるような銀世界の士別市は、テストコースにもってこいの場所なんです。

また、他のタイヤメーカーや自動車メーカーも士別市にテストコースを持っていることが多く、それらをサポートするために走行路づくりのノウハウを持った企業が周辺地域にいくつも集まっています。その賑わいから士別市は“テストコース銀座”と呼ばれることもあるんですよ。


Q. どのような走行路があるのでしょうか?
冬の一般道を再現した、さまざまな走行路が用意されています。例えばカーブが連続するハンドリング路、ブレーキや加速性能を評価する直線路、勾配の異なる7本の登坂路、凍結した氷面を旋回する氷上旋回路などです。屋内で天気や気温に左右されずに評価走行ができる氷上ドームもあります。
こうした走行路を使用するだけではなく、時にはHPG周辺の一般道をお借りすることも。ふかふかな新雪が積もった道、照り返すほど凍った道、シャーベット状の雪で滑りやすくなった道など、雪道のさまざま状況を再現しながら評価を行っています。
Q. HPGならではの評価方法もあるのでしょうか?
特別な訓練を積んだ実車試験部のドライバーによる「官能評価」や、車体に測定器をつけてデータを収集する「計測試験」がメインですが、新商品の開発にあたっては「すり合わせ評価」と呼ばれる特徴的な評価方法を実施することがあります。

これはブリヂストンのタイヤをご使用いただいているお客様にご協力いただく評価方法です。普段使っているトラックにテストタイヤと測定器を装着し、ドライバーの方にいつも通りの運転をしていただいて、客観的かつ定量的なデータと、ドライバーさんにしか分からない感覚をすり合わせ、タイヤの性能を測る“ものさし”を一緒につくり上げていくものです。

先日もエア・ウォーター物流(株)様にご協力いただいて「すり合わせ評価​」を実施しました。その様子はこちらからご覧ください!
Q. 豪雪地帯ならではの苦労を教えてください。
走行路を造り、維持することは重要かつ大変な作業です。私たちは走行路づくりにノウハウを持つ近隣の企業と協力して、12月初旬からコースの造成を始めます。雪が降りだしたら圧雪機で固め、平らな路面を造り上げるんです。シーズン中も条件を一定にするために毎日の手入れが欠かせないのですが、昨今は温暖化の影響で北海道でも積雪量が少なくなりましたし、雪解けが早まっていることもあってコンディションを整えるのには一苦労しています。

Q. HPGでの実車試験のやりがいや今後の意気込みをお願いします!
HPGは冬タイヤのテストに特化している稀なコースです。ブリヂストンの「断トツ商品」の一つ、「BLIZZAK」もここでの試験を繰り返し、進化を続けてきました。お客様の雪道での安心・安全を守るため、そしてより良いタイヤ開発のために、HPGはこれからも貢献していきます!

みんなからのコメント待ってるよ!
コメントする

※「コメントする」を押してもすぐにはコメントは反映されません。
管理者にて確認の上、反映されます。コメント掲載基準については こちら をご覧ください。
尚、投稿者につきましては、管理者でも特定できない仕様になっております。

コメント(0)

ページトップへ戻る