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ありがとう、コンベヤベルト ~最後の1本まで「品質へのこだわり」を~

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ブリヂストンの化工品の中でも長い歴史を持つコンベヤベルト。1946年に久留米工場で量産が開始され、国内では製鉄所やセメント工場、海外では鉱山を中心にお客様の現場で活躍してきましたが、2024年末にブリヂストンはこの事業から撤退します。8月下旬には生産を終了し、9月2日に受注生産品の最終出荷が行われ、これまでの感謝の気持ちを込めて、最後のコンベヤベルトを送り出すセレモニーが行われました。
 80年近く続いたブリヂストンのコンベヤベルト事業に第一線で携わった従業員の皆さんから、これまでの印象深いエピソードや、最後の1本まで「品質へのこだわり」を持ってお客様にお届けするために取り組んできたことを伺いました。
お話を伺ったみなさん
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(株)ブリヂストン ベルト開発課 遠周 宏純さん                 

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(株)ブリヂストン 横浜工場 製造第1課 ベルト製造係 濱田 卓さん        

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(株)ブリヂストン 横浜工場 製造第1課 ベルト製造係 久保田 護さん       

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(株)ブリヂストン 横浜工場 製造第1課 ベルト製造係 宮部 隼さん        

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(株)ブリヂストン 建築/産業ソリューション生産オペレーション管理課 久保 久美子さん

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(株)ブリヂストン 海外ベルト販売課 山﨑 さやかさん               

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ブリヂストン化工品ジャパン(株) 産業Sol近畿ブロック統括 近畿支社長 川浪 勲さん 

川浪 ブリヂストンのコンベヤベルトは、骨格部分の芯体がスチールコードでできた「スチールコードコンベヤベルト」と、ポリエステルやナイロンなどの帆布でできた「帆布コンベヤベルト」があります。また、それぞれに搬送距離や強度など、お客様のご要望に合わせたオーダーメード品と、在庫を持ち即納が可能なレディメード品があります。
久保 最大重量は40トン以上、長さは1本数mから長い物では900m以上と多種多様で、納品先も大きさも千差万別。時には遠隔地にある鉱山に届けるなどハードルが高い納品先もありました。日本のケースですが、大きさの制限から道路の使用許可が降りず、高速道路で納品先に輸送する予定が、船舶輸送に切り替えて港から輸送したこともありましたね。また、お客様から「夜中にベルトが切れた」と連絡があり、お客様の稼働停止する時間を少しでも短縮しようと、急きょ製造の皆さんに割り込み生産をしてもらったこともありました。生産管理の担当者として、納品先や製造の皆さんとの密な連携のおかげで、対応することができたと思います。
山﨑 海外のお客様からオーダーメードの大型製品を発注いただいた際も、出荷に頭を悩ませたことがありました。船で出荷するのですが、特殊コンテナの横幅をわずかに超過してしまい、船会社から積載許可が降りなかったことがあったんです。どうすればコンテナに積めるかあれこれと試行錯誤をして、ベルトの向きを変えたり、コンテナを補強したりするなど、船積業者と連携することで何とか納期を守れたということもありました。お客様には「ブリヂストンから購入してよかった」と思っていただけるような対応を心掛けてきました。
遠周 オーストラリア、香港、ロシアと海外の現場でコンベヤベルト導入に携わってきましたが、ブリヂストンの強みは、お客様に真摯(しんし)に向き合う誠実なサービスと品質の高さ。「ブリヂストンのコンベヤベルトは鏡のようだね」と言われるほど、製品の表面が綺麗。海外輸送でもキズ1つ付けずお客様のもとに届ける。モノの品質もそうですが、サービスの品質もお褒めの言葉をいただきましたね。

コンベヤベルトのピカピカに反射する表面の美しさに注目!

久保田 私は44年間、コンベヤベルト一筋で製造に携わってきましたが、加硫を担当していた頃、納期が迫るなかで品質不良が発生。このまま検査に進んで再加硫となれば、納期に間に合わないと判断し、検査に進む前にその場で手直しし、再度加硫することを決断しました。なんとか納期に間に合い、お客様にご迷惑をお掛けせずに済みました。最後の1本まで気を抜かず、「最高の品質」のモノをお届けすることを心掛けてきました。
宮部 コンベヤベルトは長さがあるので、加硫はベルトをラインに載せて流しながら連続的に行うのですが、落雷の影響で成型機が一時停止してしまい、製造中のベルトの一部分が使用不可になってしまったことも。検査で使用できると判断した部分だけを切り取って、新しいものを継ぎ足し、作り直したこともありましたね。

数百メートルに及ぶゴムのシートを広げ、ズレないよう慎重にセットして加硫していく

濱田 私は職長として、仲間がけがをしないよう「安全はすべてに優先する」を徹底し、最後までお客様に納期通り・規格通りの「最高の品質」を提供できるように、日々の仕事に向き合ってきました。自分自身も仲間もけがをしない・させないことを第一に、笑顔でやり切れたと思います。
遠周 コンベヤベルトは、お客様への納品時にはシート状になっているため、現場でそのシートの端と端を接合してひとつなぎのループにする接合部材が必要となります。この部材がないとベルトは使えませんので、事業撤退を発表する前にベルトを購入済のお客様や、契約済のお客様には一定期間、部材を供給することになっています。最後の1本まで、技術を担う立場として職務を果たしていきます。
川浪 「どうにか事業継続してくれませんか?」。ご愛顧いただいた多くのお客様からいただいたお言葉です。事業撤退のお知らせから3年間、ご納得いただくために誠意を持ってお客様と向き合ってきました。最後には「ブリヂストンに任せてよかった」と言っていただけるお客様もいました。お客様に直接関わる立場として、今までお世話になった気持ちを伝えるべく、これから国内20 ~ 30箇所へお礼行脚に伺う予定です。
最終出荷を見届けるセレモニーが行われました
9月2日、最終出荷を見届けるセレモニーが行われました。これまでコンベヤベルトに携わった従業員約100名が横浜工場に集まり、最後の1本が出荷される様子を見届けました。(株)ブリヂストン 常務役員 BSDP 化工品・多角化・探索事業管掌の永德さんは、「ブリヂストンのコンベヤベルトは最高の品質で社会に貢献してきたと胸を張って言える製品です。ここに至るまでの先人たちの努力と、最後まで皆さんが最高の品質を社会に提供してくれたことを誇りに思います。私も38年間、コンベヤベルト事業を通してブリヂストンのDNAを学び、誇りを持って業務に取り組んできました。皆さんも『変化と工夫の化工品』といわれるチャレンジ精神の高い化工品メンバーとして、これからも誇りを胸に業務に取り組んでいただければと思います」と述べられました。

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コメント(6)

カリッと伊達男さん

最終出荷セレモニーの写真を拝見して見知った方々がたくさん写っており感激致しました。私自身ベルトの仕事に30年強携わり本当に最後が来たのだなと記事や写真を見て涙が出てまいりました。私の人生そのもので本当に色々なことをベルトを通じて学ばせていただきました。製造、販売に携わった皆様、本当にありがとうございました。そしてお疲れさまでした。

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覇王色の覇気さん

最後の1本まで魂を込めた生産お疲れ様でした。
実は、私も1995年に半年間だけベルト工程に所属していました。
担当工程はラバーチェーン工程でしたが、ベルトの一員として生産活動に携われたことは良かったと思います。
ベルト工程のみなさん、本当にありがとうございます!

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本社読者さん

とても良い記事で愛を感じました。こういう形で変化と工夫の歴史は伝えていってほしいです。

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X99さん

ベルト生産の最後まで見届けることができました。3年の間に仲間が減っていきました。去っていくメンバー、残るメンバー。その仲間たちの顔を見続けることになりました。しかし今はどのメンバーも笑顔でした。最後の最後まで良い製品をお客様にお届けするぞ。という気持ちを全員が持って高いモチベーションを保っていたのだと思います。今でも元ベルトのメンバーと会うと、皆さん笑顔です。残念な気持ちもありますが、それよりもやり切った気持ちが大きいのだと思います。ベルトの仲間たち。そしてそれを見守ってくださったブリヂストンのメンバーの皆様。ありがとうございました。

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感謝いたします。さん

直接的にはコンベアベルト事業と関わっておりませんでしたが、ブリヂストンの仲間のことを知る機会となり、関係者皆様の想い・これまでのご尽力を知り、また、色々と考えさせられるきっかけとなりました。

このように、Arrowにて取り上げていただいたことに感謝いたします。

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バトラッカーさん

『ベルト』で育ち、様々な事を経験させて頂きました。最後迄、生産に携われた事、今後も横浜工場
にて引き続き製造に携わる事が出来て幸せです。多くの仲間とは離れ離れになりましたが今迄の事を
糧に頑張ります!!

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