「ORタイヤを感じる会」より良いタイヤ創りに拘るために

この会は、鉱山・建設車両用タイヤ(以下、ORタイヤ)の開発、設計、技術サービスに携わる皆さんが、建設車両を運転してタイヤの性能を肌で感じることで、「タイヤへの感度を上げ、徹底的に『より良いタイヤ創りに拘る』こと」を目的に開催されました。
新しい価値を生み出すために

(株)ブリヂストン タイヤ開発第2部門 鉱山・産業・建機タイヤ設計第4課長
千代田 明さん
千代田さん そうなんです。この会は、「最高の品質で社会に貢献」するために、タイヤの性能を肌で感じることでタイヤへの感度を上げ、徹底的に「より良いタイヤ創りに拘る」取り組みの1つとして開催しました。私たちは、お客様が思いもしなかった価値を生み出し、「断トツ商品」で喜んでいただく、歓喜(WOW)していただけるような新たな価値提供に取り組んでいます。
この価値提供の実現のためには、私たち自身が従来の発想にとらわれない新しい取り組みを行う必要があると考え、新たな着想を得るための取り組みの1つとして、今回「ORタイヤを感じる会」を企画しました。
Arrow編集部 新しい価値を生み出すための取り組みなんですね。
千代田さん 皆さんご存じないかもしれませんが、中小型建設車両は一人乗りなので、大型・超大型ダンプトラックなどの大型建設車両などと違って、同乗しタイヤ性能を体感することができなかったんです。
そのため、タイヤの性能だけでなく、建設車両を体感することもできませんでしたが、2025年の製品・生産技術 開発管掌の基本方針として掲げるWinner’s Culture(できなかった理由を述べるのではなく、うまくいくにはどうすべきかを、みんなで徹底的に考える)に基づき、従来の常識では不可能と思われることを可能にすべく、みんなで徹底的に考えました。その結果、より良いタイヤ創りに拘り、「断トツ商品」でお客様に歓喜(WOW)していただくための新たな着想を得るためには、オペレーターがどのように感じているかなど、情報やデータでは測ることのできない“感覚”を理解する必要があるという結論に至ったんです。
そしてこれを一人の技術者だけでなく、組織として取り組むことで、市場・お客様が想像できなかった市場価値・顧客価値への気づきや発想のブレークスルーを起こすことができると考えました。組織として取り組むにあたっては、(株)ブリヂストン タイヤ開発第2部門長の伊藤 貴弘さんの強い後押しもあり、全員で大型特殊免許※を取得するに至りました。
また、建設車両の重量に耐えうる強度の高いコンクリート路面のテストコースは非常に少なく、かつ100メートル以上の直線路を有したテストコースは全国でも希少です。さらに建設車両のレンタル交渉・契約手続きなど、これら要件を全て満たした環境の整備は容易ではありませんでしたが、根気良く、開発チーム全員でこれらを一つひとつ地道にクリアしていくことで、この会を実現しました。
※大型特殊免許:ホイールローダー、クレーン車、ブルドーザーなどの特殊な大型自動車で公道を走るための免許。 大型特殊免許を取得すると、全長12メートル以下×全幅2.5メートル以下×全高3.8メートル以下の特殊車両が運転でき、小型特殊自動車や原動機付自転車の公道運転も可能になります。
Arrow編集部 現物現場の取り組みなんですね。ぜひ皆さんが感じたタイヤ性能を教えてください!
机上のデータで測れない違いを体感
実際の作業環境の走行速度である約10km/hから、作業現場~車庫間の移動を想定した約30km/hの速度で走行し、運転した際に感じる操縦安定性能や振動性能を評価しました。
千代田さんにカメラを装着してもらい、振動の感じ方を解説していただきました。(装着タイヤ:VJT)
※安全を最優先し、両手が塞がらない状態でカメラを装着し撮影しています。

(株)ブリヂストン タイヤ開発第2部門 鉱山・産業・建機タイヤ設計第4課長
千代田 明さん
今回試乗したタイヤ4種の性能差はもちろんですが、オペレーターにとって振動がどれだけ負担に感じるのかなど、実際に体感することでしか理解できない情報をたくさん得ることができました。タイヤ設計にダイレクトに参考になる、これ以上ない機会となりました。

(株)ブリヂストン タイヤ開発第2部門 鉱山・産業・建機タイヤ設計第4課
藤原 慎之輔さん
タイヤは路面と車両をつなぐ唯一の接点ですが、ほんの数メートル走行しただけで、速度による振動性能や室内音の感じ方の違いをはっきり理解することができ、タイヤ性能に対する感度がさらに上がりました。新たな気づきや視点を得ることで今後は開発の質をさらに高め、「断トツ」のタイヤ開発につなげていきたいです。

(株)ブリヂストン 鉱山・産業・建機タイヤ開発第2部
吉田 幸代さん
以前トラック・バス用タイヤを担当していた際はタイヤ性能を体感する機会はありましたが、中小型建設車両では叶わないと思っていたので、自分で操縦して体感できたことが感慨深いです。「下から突き上げる感覚」「ガタガタする感覚」など、データからでは読み取ることができない、乗ってみないと理解することのできない振動の違いを感じることができました。

(株)ブリヂストン 鉱山・産業・建機タイヤ開発第2部
萩原 由紀恵さん
中小型建設車両が一人乗りということもあって「乗ることはできない」、「タイヤの性能を実際に体感することはできない」と思っていました。今回開発チーム全員の取り組みとして免許取得の話を頂いたときは、これまでにない喜びを感じました。自分が携わるタイヤの性能を肌で感じることができ感動しました。
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