REGNO GR-XⅢ:顧客価値と社会価値の両立
商品設計基盤技術「ENLITEN®」を日本国内で初めて市販用タイヤに搭載した「REGNO GR-XⅢ」。多くのチームメイトと一体となって顧客価値と社会価値との両立に取り組みました。今回は商品企画、設計に携わった皆さんにお話を伺いました。

ブリヂストンタイヤソリューションジャパン(株)
商品企画本部 消費財商品企画部
野上 紗緒里さん
乗用車用市販用タイヤの商品企画を担当。市場のニーズを分析し、新商品のコンセプトを検討。
市場への導入プラン検討やプロモーション活動も推進。

(株)ブリヂストン
ENLITEN製品企画部門 PSタイヤ製品企画第1部
石渡 勝也さん
消費財商品企画部が練り上げたコンセプトに技術的な観点から製品の形にしていく役割を担う。

(株)ブリヂストン
タイヤ開発第3部門 PSタイヤモジュール 設計第1部
後藤 史也さん
設計部門として、量産工場と連携し、製造するタイヤが目標のスペックを満たしているかの検証
と改善を担当。
空間品質と走行性能、 環境性能を高次元で両立
Arrow編集部 2024年2月の発売以降、「REGNO GR-XⅢ」の販売状況を教えてください。
野上さん 「REGNO GR-XⅢ」( 以下、「GR-XIII」)は2024年2月に発売されましたが、売れ行きは好調です。販売サイトではお客様から多くの口コミが寄せられ、ご好評を頂いています。「REGNO」は、静かで乗り心地が良いブランドとして、ブリヂストンの乗用車用タイヤのなかでも市場の評価がひときわ高いタイヤです。ラテン語で王者を意味する「REGNO」は、1981年の発売以来、グレートバランスという普遍の設計思想のもと、タイヤに求められる全ての要件を満たし、完全であり続けることを目指しています。
そして今回、新商品となった「GR-XⅢ」は、商品設計基盤技術ENLITENを搭載することで、従来品の「GR-XⅡ」から全ての性能を拡張。静粛性はもちろん、ハンドリング性を大幅に向上させることで「REGNO」らしい空間品質と走行性能を実現しました。これがREGNO FEELINGです。さらに環境性能も高めることで新たな「THE GREAT BALANCE®」を完成させました。
野上さん 「REGNO GR-XⅢ」( 以下、「GR-XIII」)は2024年2月に発売されましたが、売れ行きは好調です。販売サイトではお客様から多くの口コミが寄せられ、ご好評を頂いています。「REGNO」は、静かで乗り心地が良いブランドとして、ブリヂストンの乗用車用タイヤのなかでも市場の評価がひときわ高いタイヤです。ラテン語で王者を意味する「REGNO」は、1981年の発売以来、グレートバランスという普遍の設計思想のもと、タイヤに求められる全ての要件を満たし、完全であり続けることを目指しています。
そして今回、新商品となった「GR-XⅢ」は、商品設計基盤技術ENLITENを搭載することで、従来品の「GR-XⅡ」から全ての性能を拡張。静粛性はもちろん、ハンドリング性を大幅に向上させることで「REGNO」らしい空間品質と走行性能を実現しました。これがREGNO FEELINGです。さらに環境性能も高めることで新たな「THE GREAT BALANCE®」を完成させました。
Arrow編集部 開発に当たって、どのようなコンセプト検討を行ったのでしょうか。
野上さん 「GR-XⅡ」は、上質な静粛性能と優雅な乗り心地で、お客様や販売店からの満足度が非常に高い商品です。後継商品となる「GR-XⅢ」の開発に当たっては、これまで受け継がれてきた「REGNOらしさ」を追求しつつ、新たに顧客ターゲットに設定した、欧州プレミアム車種やEVユーザーの方々にも購入いただける商品にするためにはどうすればいいのか検討することから始まりました。
石渡さん 検討を進めるなかで、プレミアムタイヤ事業として“新たなプレミアム”を創造するために、顧客価値と社会価値を両立したコンセプトを掲げることになりました。そして、顧客価値と社会価値、この2つの価値を具現化し、両立するのがENLITENです。ENLITENは「走る・止まる・曲がる」などさまざまな使われ方を想定してタイヤの基本性能を全方向で向上させ、より求められている性能をさらに向上、エッジを効かせることで、「究極のカスタマイズ」を実現する商品設計基盤技術です。
このENLITENをコンセプトに取り込むことによって、タイヤに求められる価値の変化に合わせ、省資源や環境負荷低減を実現することで社会価値を、さらに「REGNOらしさ」である「THE GREAT BALANCE」を追求しつつ、
空間品質・走行性能を向上させることで顧客価値を提供する。これらの点を軸にコンセプトの検討をしました。
野上さん 「GR-XⅡ」は、上質な静粛性能と優雅な乗り心地で、お客様や販売店からの満足度が非常に高い商品です。後継商品となる「GR-XⅢ」の開発に当たっては、これまで受け継がれてきた「REGNOらしさ」を追求しつつ、新たに顧客ターゲットに設定した、欧州プレミアム車種やEVユーザーの方々にも購入いただける商品にするためにはどうすればいいのか検討することから始まりました。
石渡さん 検討を進めるなかで、プレミアムタイヤ事業として“新たなプレミアム”を創造するために、顧客価値と社会価値を両立したコンセプトを掲げることになりました。そして、顧客価値と社会価値、この2つの価値を具現化し、両立するのがENLITENです。ENLITENは「走る・止まる・曲がる」などさまざまな使われ方を想定してタイヤの基本性能を全方向で向上させ、より求められている性能をさらに向上、エッジを効かせることで、「究極のカスタマイズ」を実現する商品設計基盤技術です。
このENLITENをコンセプトに取り込むことによって、タイヤに求められる価値の変化に合わせ、省資源や環境負荷低減を実現することで社会価値を、さらに「REGNOらしさ」である「THE GREAT BALANCE」を追求しつつ、
空間品質・走行性能を向上させることで顧客価値を提供する。これらの点を軸にコンセプトの検討をしました。
Arrow編集部 ENLITENを搭載したタイヤの開発は、従来のタイヤ開発と比較して考え方や手法に変化はありましたか。
石渡さん はい。ENLITENを搭載した「GR-XⅢ」の開発では、従来と根本的に考え方を変えています。従来のタイヤ開発では、何かの性能を上げるためには、技術や材料を継ぎ足す発想でしたが、サステナブルなソリューションカンパニーを目指す我々は、商品設計基盤技術であるENLITENによって「薄く・軽く・円く」で省資源、高付加価値なタイヤを実現するために、本当に必要なものだけを残して洗練していく必要がありました。
後藤さん 石渡さんも言われたとおり、足し算から引き算へと考え方を180度変えたことです。例えば従来の足し算の考え方であれば、部材を足し、重くすることでタイヤの剛性が増し、しっかりした乗り味が実現できます。しかし、ENLITENで「薄く・軽く・円く」を追求するためにはその手法は許されないわけです。この前提でREGNOらしい乗り味を追求していくのは非常に困難でした。設計で最後の最後まで苦戦したのがREGNOらしい空間品質と走行性能を高い次元で両立することでした。
「GR-XⅡ」よりも全ての性能円で優れていることは絶対条件ですが、何か1つの性能をとがらせると必ずどこか別の性能がへこんでしまう。とがらせた性能はキープしたままで、別の性能をへこませることなく、どれだけ性能円を全方位で大きくできるか。従来のように足し算の発想はできないなかでの最後の調整は本当に難しかったです。
石渡さん はい。ENLITENを搭載した「GR-XⅢ」の開発では、従来と根本的に考え方を変えています。従来のタイヤ開発では、何かの性能を上げるためには、技術や材料を継ぎ足す発想でしたが、サステナブルなソリューションカンパニーを目指す我々は、商品設計基盤技術であるENLITENによって「薄く・軽く・円く」で省資源、高付加価値なタイヤを実現するために、本当に必要なものだけを残して洗練していく必要がありました。
後藤さん 石渡さんも言われたとおり、足し算から引き算へと考え方を180度変えたことです。例えば従来の足し算の考え方であれば、部材を足し、重くすることでタイヤの剛性が増し、しっかりした乗り味が実現できます。しかし、ENLITENで「薄く・軽く・円く」を追求するためにはその手法は許されないわけです。この前提でREGNOらしい乗り味を追求していくのは非常に困難でした。設計で最後の最後まで苦戦したのがREGNOらしい空間品質と走行性能を高い次元で両立することでした。
「GR-XⅡ」よりも全ての性能円で優れていることは絶対条件ですが、何か1つの性能をとがらせると必ずどこか別の性能がへこんでしまう。とがらせた性能はキープしたままで、別の性能をへこませることなく、どれだけ性能円を全方位で大きくできるか。従来のように足し算の発想はできないなかでの最後の調整は本当に難しかったです。
石渡さん また、サステナビリティを経営の中核としているなかで、「GR-XⅢ」の開発においても環境性能をどう追求していくか検討を重ねてきました。ENLITENの考え方に基づき、部材の使用量を減らすことで、省資源化を実現しています。さらに、タイヤ単体の重量が軽くなることで、生産や輸送におけるCO2排出量を削減することができています。
加えて、再生資源・再生可能資源を使用することで、資源循環性を高め、社会価値も両立した商品になりました。
加えて、再生資源・再生可能資源を使用することで、資源循環性を高め、社会価値も両立した商品になりました。
REGNOらしい乗り味の実現
Arrow編集部 「GR-XⅢ」で深みを増した「空間品質」とは具体的にどのようなものなのでしょうか。
後藤さん まず1 つ目が乗り心地です。「GR- XⅢ」を履いた車に乗った瞬間に劇的に改善されたと感じ取れない方もいらっしゃるかもしれませんが、長時間のドライブの後に、「なんか疲れていない」「酔わなかった」という感覚は多くの方に感じていただけると思います。
2つ目が静粛性です。静粛性については多くの方に実感していただけると思いますが、本当に静かです。REGNOらしい乗り心地や深みを増した空間品質によって、「Bridgestone E8 Commitment」の「Ease」と「Emotion」に貢献した性能を実現することができました。
後藤さん まず1 つ目が乗り心地です。「GR- XⅢ」を履いた車に乗った瞬間に劇的に改善されたと感じ取れない方もいらっしゃるかもしれませんが、長時間のドライブの後に、「なんか疲れていない」「酔わなかった」という感覚は多くの方に感じていただけると思います。
2つ目が静粛性です。静粛性については多くの方に実感していただけると思いますが、本当に静かです。REGNOらしい乗り心地や深みを増した空間品質によって、「Bridgestone E8 Commitment」の「Ease」と「Emotion」に貢献した性能を実現することができました。
石渡さん 私も自分の車を「GR-XⅢ」に履き替えた後、車内で流す音楽の音量が元のままだとうるさく感じる程した。個人の感想ですが、一度「GR-XⅢ」を体験してしまうと、次のタイヤにも同じくらいの快適さを求めてしまうくらい静粛性が高いと思います。
野上さん 実際にお客様からも「今まで使っていたオーディオのボリュームを下げた」「後ろに座る家族と会話がしやすくなった」といった声を頂きましたね。ドライブの質が上がったとご評価いただけてうれしく思います。
後藤 実際にタイヤを変えたことで、自動車そのものの性能が上がったように感じられている方も多いようですね。
Arrow編集部 実現に当たってはさまざまな部署の方の協力があったと聞きました。
石渡さん 最初は「実現できない」と思われていたことも徐々に乗り越え、最終的にはできるようになったことがたくさんあります。特に製造の皆さんの方が苦労されたはず。感謝の気持ちしかありません。
石渡さん 最初は「実現できない」と思われていたことも徐々に乗り越え、最終的にはできるようになったことがたくさんあります。特に製造の皆さんの方が苦労されたはず。感謝の気持ちしかありません。
後藤さん そうですね。ENLITENによる「究極のカスタマイズ」を支えているのが、モノづくり基盤技術「BCMA」です。「GR-XⅢ」はBCMAの親商品として、子商品の要求性能までも考慮したモジュールを具現化すべく開発を進めました。このモジュールを量産工場で確実に立ち上げていくに当たっては、シミュレーションや機械学習などのデジタルツールを活用したモノづくりの進化に大きく支えられました。この場を借りて製造技術開発や量産工場の方々に改めてお礼を申し上げたいです。
野上さん 販売店の方々とも何度もコミュニケーションを重ねました。「GR-XⅢ」は「GR-XⅡ」の同サイズのタイヤと比べて1kg程の軽量化に成功していますが、販売店の方からは軽くなったことに対する不安の声もありました。「GR- X Ⅲ」のコンセプトである、軽量化しても性能が従来品を上回っていることをご説明し、新たなターゲットである欧州プレミアム車種やEV車など重量のある車両でも問題ないことをご理解いただきました。販売店向けの試乗会にはお2人にも協力いただきましたね。
後藤さん これまでに10回くらい開催しましたね。我々としても、生の声を伺う貴重な機会になっていますし、関係部門との連携がより深まったと思っています。
野上さん 販売店の方々とも何度もコミュニケーションを重ねました。「GR-XⅢ」は「GR-XⅡ」の同サイズのタイヤと比べて1kg程の軽量化に成功していますが、販売店の方からは軽くなったことに対する不安の声もありました。「GR- X Ⅲ」のコンセプトである、軽量化しても性能が従来品を上回っていることをご説明し、新たなターゲットである欧州プレミアム車種やEV車など重量のある車両でも問題ないことをご理解いただきました。販売店向けの試乗会にはお2人にも協力いただきましたね。
後藤さん これまでに10回くらい開催しましたね。我々としても、生の声を伺う貴重な機会になっていますし、関係部門との連携がより深まったと思っています。
Arrow編集部 最後に、BGAを受賞した思いと皆さんへのメッセージをお願いします!
野上さん 振り返ってみると、設計、生産、物流、販売、宣伝、広報など、多くの方がOneTeamで取り組み、受け継いだバトンを販売店やお客様に届けることで、素晴らしい商品を世に広めることができたと実感しています。今後も、お客様にご満足いただけるタイヤを提供していきたいです。
石渡さん 当然私たちは次の製品づくりを進めていかなければなりませんが、正直、次の目標をどこに掲げるか困ってしまう程、「GR- X Ⅲ」は完成されたタイヤです。「GR-XⅢ」の各項目を全て上回る製品を生み出すのは、とても困難なチャレンジになると覚悟しています。ほとんどのメンバーが当初は「実現できない」と思っていた性能をクリアしたこと、国内の乗用車用タイヤとして初めてENLITENとBCMAを具現化できたことを評価いただいたのだと思います。また、受賞できたことでモチベーションも上がりました。
後藤さん そうですね。本当に多くの方に協力していただいて、我々はあくまで代表して表彰されたに過ぎません。みんなが一丸となっての挑戦が評価されたことを誇りに思います。今後、ENLITENやBCMAにひもづいた新製品がどんどん出てくることにワクワクしています。
野上さん 振り返ってみると、設計、生産、物流、販売、宣伝、広報など、多くの方がOneTeamで取り組み、受け継いだバトンを販売店やお客様に届けることで、素晴らしい商品を世に広めることができたと実感しています。今後も、お客様にご満足いただけるタイヤを提供していきたいです。
石渡さん 当然私たちは次の製品づくりを進めていかなければなりませんが、正直、次の目標をどこに掲げるか困ってしまう程、「GR- X Ⅲ」は完成されたタイヤです。「GR-XⅢ」の各項目を全て上回る製品を生み出すのは、とても困難なチャレンジになると覚悟しています。ほとんどのメンバーが当初は「実現できない」と思っていた性能をクリアしたこと、国内の乗用車用タイヤとして初めてENLITENとBCMAを具現化できたことを評価いただいたのだと思います。また、受賞できたことでモチベーションも上がりました。
後藤さん そうですね。本当に多くの方に協力していただいて、我々はあくまで代表して表彰されたに過ぎません。みんなが一丸となっての挑戦が評価されたことを誇りに思います。今後、ENLITENやBCMAにひもづいた新製品がどんどん出てくることにワクワクしています。
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