樹脂配管の水平リサイクル:資源が循環する流れを構築
主に住宅の床下等で給水・給湯用のパイプとして用いられるブリヂストンの樹脂配管。住宅業界のリーディングカンパニーである積水ハウス株式会社(以下、積水ハウス様)との共創により、この樹脂配管の水平リサイクルを実現した皆さんにお話を伺いました。

(株)ブリヂストン
建築ソリューション事業企画部 配管事業企画課 主任部員
堀尾 国男さん
樹脂配管の販売企画担当として、ハウスメーカーへの営業促進をサポート。積水ハウス様との窓口を約15年にわたり担当。

(株)ブリヂストン
建築ソリューション事業企画部 配管事業企画課
伊勢野 康秀さん
堀尾さんと同じく販売企画部門で生産と販売の調整、物流の手配などを手掛ける。本案件では製品の開発部署との調整を担当。

ブリヂストン化工品ジャパン(株)
住宅開発営業部 住宅開発広域営業課
渡邉 亮憲さん
ハウスメーカー向け営業活動に従事。積水ハウス様の支店や水道工事店など、さまざまな関連会社の窓口対応や工事店向けの施工講習も実施。
施工現場で発生した端材が次の商品へ生まれ変わる
Arrow編集部 今回の取り組みの概要について教えてください。
堀尾さん 日本の住宅業界をリードする積水ハウス様との共創により、業界で初めて樹脂配管のマテリアルリサイクルを実現した取り組みです。ブリヂストンは、ハウスメーカー向けにポリブテン製パイプ「らく楽パイプ」と、差し込むだけで接続できるワンタッチ継手から成る給水給湯樹脂配管システム「プッシュマスター」を展開しており、お風呂やトイレ、台所や洗面所などの住宅設備に水・湯を運ぶ樹脂製の配管システムとして使われています。ブリヂストンは、この領域で大きなシェアを持っており、お客様からもご好評を頂いております。このらく楽パイプを、ウレタンフォームとコルゲート管という蛇腹(じゃばら)状の外皮で被覆した「らく楽コルゲートパイプ」が、今回の主役です。
堀尾さん 日本の住宅業界をリードする積水ハウス様との共創により、業界で初めて樹脂配管のマテリアルリサイクルを実現した取り組みです。ブリヂストンは、ハウスメーカー向けにポリブテン製パイプ「らく楽パイプ」と、差し込むだけで接続できるワンタッチ継手から成る給水給湯樹脂配管システム「プッシュマスター」を展開しており、お風呂やトイレ、台所や洗面所などの住宅設備に水・湯を運ぶ樹脂製の配管システムとして使われています。ブリヂストンは、この領域で大きなシェアを持っており、お客様からもご好評を頂いております。このらく楽パイプを、ウレタンフォームとコルゲート管という蛇腹(じゃばら)状の外皮で被覆した「らく楽コルゲートパイプ」が、今回の主役です。
伊勢野さん 一般的に、給水・給湯用のパイプの内管には、ポリブテンと架橋ポリエチレンという2種類の樹脂が主に用いられています。ポリブテンは、架橋ポリエチレンと比べて曲げやすく、加えて、らく楽パイプはブリヂストン独自の製法によりロールのクセがつきにくいことから施工性に優れ、高付加価値製品として広く支持されています。加えて、現状はほぼサーマルリカバリー(燃料利用)しかリサイクル方法がない架橋ポリエチレンに対し、ポリブテンはペレット状(粒状)に再加工した後、材料として再利用できる特長を有しています。しかし、一度出荷したものは汚れや異物混入などの品質的な観点からリサイクルが難しく、従来は(株)ブリヂストンの関工場内で製造時に発生する端材のみを再活用する程度にとどまっていました。
渡邉さん 積水ハウス様は、施工現場で発生する廃棄物を回収後、自社の「資源循環センター」にて分別、それらを100%リサイクルし、次の住宅の資源として循環させる「循環する家」というコンセプトを掲げ、2050年までに住宅に使っている全ての資材のリサイクルを目指しています。ブリヂストンの開発担当が積水ハウス様の資源循環センターのことを知り、2022年の9月に同所を見学。「この仕組みがあればポリブテンパイプのマテリアルリサイクルが実現できるのでは?」と考えたのがきっかけです。
渡邉さん 積水ハウス様は、施工現場で発生する廃棄物を回収後、自社の「資源循環センター」にて分別、それらを100%リサイクルし、次の住宅の資源として循環させる「循環する家」というコンセプトを掲げ、2050年までに住宅に使っている全ての資材のリサイクルを目指しています。ブリヂストンの開発担当が積水ハウス様の資源循環センターのことを知り、2022年の9月に同所を見学。「この仕組みがあればポリブテンパイプのマテリアルリサイクルが実現できるのでは?」と考えたのがきっかけです。
Arrow編集部 マテリアルリサイクルの実現に向け、どのような仕組みを構築されたのでしょうか。
堀尾さん 関工場で製造されたパイプなどの商品は出荷後、協力会社が積水ハウス様の施工現場向けに、必要な分だけをあらかじめ加工し、パッケージ化して配送します。施工時に出た端材は、積水ハウス様の資源循環センターで分別された後、再生ペレットメーカー様でペレット加工され、関工場で再度、原材料として利用されます。この一連の流れを構築しました。
伊勢野さん 仕組みを描くことは簡単ですが、それを実現させるまでは本当に大変で。協力企業の選定から品質保証面での対応、端材の回収エリアやコストまで、検討・調整しなければならないことが多々ありました。今回の取り組みは積水ハウス様とブリヂストンが課題意識を共有し、パートナーとして一つひとつ課題を解決してきたからこその成果です。
堀尾さん 関工場で製造されたパイプなどの商品は出荷後、協力会社が積水ハウス様の施工現場向けに、必要な分だけをあらかじめ加工し、パッケージ化して配送します。施工時に出た端材は、積水ハウス様の資源循環センターで分別された後、再生ペレットメーカー様でペレット加工され、関工場で再度、原材料として利用されます。この一連の流れを構築しました。
伊勢野さん 仕組みを描くことは簡単ですが、それを実現させるまでは本当に大変で。協力企業の選定から品質保証面での対応、端材の回収エリアやコストまで、検討・調整しなければならないことが多々ありました。今回の取り組みは積水ハウス様とブリヂストンが課題意識を共有し、パートナーとして一つひとつ課題を解決してきたからこその成果です。
渡邉さん 現状、再生ペレットは外皮のコルゲート管に一定割合混入する形で再利用しています。2022年から試作、サンプル提供をはじめ、積水ハウス様の開発部門からの承認を頂き、2024年4月からは実際に供給が始まっています。
一歩を踏み出す行動力が想いを現実にする
Arrow編集部 実際に運用が始まって1年が経ちました。これまでの手応えを教えてください。
堀尾さん 具体的な環境負荷低減の効果を試算できるのはこれからですが、確かな手応えを感じています。また、積水ハウス様が資源循環センターを訪問されるお客様やお取引先様に、リサイクル部材の説明をする際、ブリヂストンのらく楽コルゲートパイプを好事例として挙げてくださっているそうで、担当者様からは「ブリヂストンさんから宣伝費用をもらわないと(笑)」といった声も聞こえる程です。
堀尾さん 具体的な環境負荷低減の効果を試算できるのはこれからですが、確かな手応えを感じています。また、積水ハウス様が資源循環センターを訪問されるお客様やお取引先様に、リサイクル部材の説明をする際、ブリヂストンのらく楽コルゲートパイプを好事例として挙げてくださっているそうで、担当者様からは「ブリヂストンさんから宣伝費用をもらわないと(笑)」といった声も聞こえる程です。
渡邉さん 積水ハウス様が施工を担当される現場からは、端材もきちんと分別された状態で戻ってきます。ブリヂストンの製品を実際に施行していただく方々のこうした誠実な姿勢が持続的なリサイクルの実現を支えていく原動力なのだと思っています。
Arrow編集部 BGAを受賞して感じたことや、今後の意気込みをお聞かせください。
堀尾さん 積水ハウス様も含め、樹脂配管事業に携わるメンバーは「廃棄されるプラスチックのリサイクルによって環境価値を高めたい」という強い思いを持ち続けていて、今回の取り組みを実現する過程で後ろ向きな人は1人もいませんでした。この想いを社内外の皆さんと具現化できたことで、積極的に挑戦し続ける姿勢、課題解決に向けて協力し合うことの大切さを改めて実感しました。また、問題意識を持っているだけでは物事は前に進みません。この取り組みは、開発メンバーが資源循環センターに「見学させてください!」と直接打診をして、現物現場で情報を集めたことがスタートにつながりました。一歩踏み出す行動力が大事だと感じましたね。
伊勢野さん 住宅業界のリーディングカンパニーである積水ハウス様は、環境面においても自社のみならず、業界全体を巻き込んだ先進的な取り組みを進めています。我々もサプライヤーとして引き続きサポートさせていただきたいです。
渡邉さん 今回は「Bridgestone E8 Commitment」の「Ecology」に直接貢献する取り組みを実現できました。また、積水ハウス様の「循環する家」というコンセプトと、ブリヂストンが目指す姿が合致して、お客様にも我々にもメリットが生まれ、共創が実現できたことに満足しています。今後も現場の施工省力化など、さらなる価値を提供し続け、積水ハウス様と伴走していけたらと思います。
堀尾さん 積水ハウス様も含め、樹脂配管事業に携わるメンバーは「廃棄されるプラスチックのリサイクルによって環境価値を高めたい」という強い思いを持ち続けていて、今回の取り組みを実現する過程で後ろ向きな人は1人もいませんでした。この想いを社内外の皆さんと具現化できたことで、積極的に挑戦し続ける姿勢、課題解決に向けて協力し合うことの大切さを改めて実感しました。また、問題意識を持っているだけでは物事は前に進みません。この取り組みは、開発メンバーが資源循環センターに「見学させてください!」と直接打診をして、現物現場で情報を集めたことがスタートにつながりました。一歩踏み出す行動力が大事だと感じましたね。
伊勢野さん 住宅業界のリーディングカンパニーである積水ハウス様は、環境面においても自社のみならず、業界全体を巻き込んだ先進的な取り組みを進めています。我々もサプライヤーとして引き続きサポートさせていただきたいです。
渡邉さん 今回は「Bridgestone E8 Commitment」の「Ecology」に直接貢献する取り組みを実現できました。また、積水ハウス様の「循環する家」というコンセプトと、ブリヂストンが目指す姿が合致して、お客様にも我々にもメリットが生まれ、共創が実現できたことに満足しています。今後も現場の施工省力化など、さらなる価値を提供し続け、積水ハウス様と伴走していけたらと思います。
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