樹脂配管の水平リサイクル:課題を乗り越え、新しい風を
ブリヂストンがハウスメーカー向けに展開する、ポリブテン製パイプ「らく楽パイプ」と、差し込むだけで接続できるワンタッチ継手から成る給水給湯樹脂配管システム「プッシュマスター」。住宅のお風呂やトイレ、台所や洗面所などで水やお湯を運ぶこれらの商品について、住宅業界のリーディングカンパニーである積水ハウス株式会社(以下、積水ハウス様)との共創により、樹脂配管の水平リサイクルを実現していますが、開発・製造の面からこの取り組みに貢献した皆さんにお話を伺いました。

(株)ブリヂストン
配管開発部 配管開発第1課
間﨑 卓明さん
入社以来、17年にわたり樹脂配管の開発に携わり、現在は横浜の化工品技術センターにて、パイプ外被材の設計開発に取り組む。水平リサイクルの実現に向けては、仕様検討・試作検証などを担当し、関工場と連携してプロジェクトを推進。

(株)ブリヂストン
関工場 技術課
石井 雄也さん
横浜の化工品技術センターで開発に携わった後、2021年からは関工場の技術課にて製造時の条件設定や不具合発生時の対応といった、標準の策定を主に担当。

(株)ブリヂストン
関工場 製造課 製造第2係
畠山 裕之さん
入社以来、樹脂配管の製造に携わる。現場で培った視点や知見を活かし、技術課と製造課をつなぐ懸け橋としての役割を担当。
一度社外に出たものを原材料として用いるというチャレンジ
Arrow編集部 積水ハウス様との共創が決まった際に、皆さんは最初にどのように思いましたか。
間﨑さん 積水ハウス様や再生ペレットメーカー様と、再生材の循環を試行する話がまとまり、関工場側で試作検討を進める段階になったのが2022年の年末でした。以前から、関工場でのパイプ製造時に発生した端材は、すぐに工場内で粉砕して、再びパイプの原材料として用いるリサイクルを行っていましたが、今回は一度出荷され、お客様の現場から戻ってきたものをリサイクルする取り組みです。未使用の端材が対象とはいえ、再生ペレットとしてまた製品に用いることへの不安は小さくありませんでした。
石井さん 一般的にも「環境を大事にしよう」「持続可能な社会を」と言われてから長い年月が経ちましたが、世の中的にも実現できていることは限られていると思います。自分たちの事業を通じて環境に貢献できるかもしれない、理想が現実に変わるかもしれない、と思いましたね。一方で、特にさまざまな要件が求められる製品については、従来は原材料にリサイクル由来のものを用いてこなかったので、不安な気持ちもありました。また、間﨑さんが言われたとおり、一度社外に出たものを原材料として使うことで、品質や性能に影響は出ないのかという懸念もありました。
畠山さん 私や製造課の他のメンバーも、「リサイクルの新しい風が吹いてほしい」という気持ちはずっと持っていました。今回の取り組みは時代のニーズとも合致するので、きちんと軌道に乗せたいという思いが強かったです。ただ、「実現まで忙しくなるな…」という不安な気持ちも大きかったですね(笑)。
間﨑さん 積水ハウス様や再生ペレットメーカー様と、再生材の循環を試行する話がまとまり、関工場側で試作検討を進める段階になったのが2022年の年末でした。以前から、関工場でのパイプ製造時に発生した端材は、すぐに工場内で粉砕して、再びパイプの原材料として用いるリサイクルを行っていましたが、今回は一度出荷され、お客様の現場から戻ってきたものをリサイクルする取り組みです。未使用の端材が対象とはいえ、再生ペレットとしてまた製品に用いることへの不安は小さくありませんでした。
石井さん 一般的にも「環境を大事にしよう」「持続可能な社会を」と言われてから長い年月が経ちましたが、世の中的にも実現できていることは限られていると思います。自分たちの事業を通じて環境に貢献できるかもしれない、理想が現実に変わるかもしれない、と思いましたね。一方で、特にさまざまな要件が求められる製品については、従来は原材料にリサイクル由来のものを用いてこなかったので、不安な気持ちもありました。また、間﨑さんが言われたとおり、一度社外に出たものを原材料として使うことで、品質や性能に影響は出ないのかという懸念もありました。
畠山さん 私や製造課の他のメンバーも、「リサイクルの新しい風が吹いてほしい」という気持ちはずっと持っていました。今回の取り組みは時代のニーズとも合致するので、きちんと軌道に乗せたいという思いが強かったです。ただ、「実現まで忙しくなるな…」という不安な気持ちも大きかったですね(笑)。
取り組みを軌道に乗せるために立ちはだかったいくつものハードル
Arrow編集部 活動の中で印象に残っていること、苦労されたことは。
間﨑さん 私自身が関わって苦労したのは、再生ペレットメーカー様の選定です。ブリヂストンの厳密な基準をクリアしたメーカーでなければ、ペレットの製造をお願いできません。環境に関する企業展示会に足を運び、名刺を交換した会社1社1社にコンタクトを取り、社内で求められる基準を満たすメーカーを探しました。2023年の末に、ようやく私たちの希望に合致するパートナーを見つけることができ、取り組みをスタートすることができました。
間﨑さん 私自身が関わって苦労したのは、再生ペレットメーカー様の選定です。ブリヂストンの厳密な基準をクリアしたメーカーでなければ、ペレットの製造をお願いできません。環境に関する企業展示会に足を運び、名刺を交換した会社1社1社にコンタクトを取り、社内で求められる基準を満たすメーカーを探しました。2023年の末に、ようやく私たちの希望に合致するパートナーを見つけることができ、取り組みをスタートすることができました。
石井さん ポリブテンパイプの端材をリサイクルし、外皮のコルゲート管の原材料の一部として使うわけですが、しばらくの間は、社外から回収できるパイプの量が安定しないことを見越し、別の種類の樹脂も混ぜて検討をスタート。ただ、その樹脂はポリブテンよりも固まりやすい性質があり、外皮の肉厚が不均等になって穴が開いてしまうことが多々ありました。
畠山さん 外皮を蛇腹(じゃばら)状に成型するためには、真空状態で外皮を吸着する必要があるのですが、小さな穴が1つでもあれば、その吸着自体がうまくいきません。製造工程でどう解決していくか頭を悩ませました。温度や原材料の配合量を変え、適切な製造条件を試行錯誤しながら探っていったのですが、間﨑さんにも毎週のように横浜から関工場に足を運んでいただいて、一緒に対応していきました。
間﨑さん 2024年秋からリサイクルされた樹脂を原材料に用いたパイプの供給を開始していますが、今のところはトラブルもなく、手応えを感じています。今後、回収できるパイプの量が安定化すれば、生産の方も軌道に乗るものと期待しています。
畠山さん 外皮を蛇腹(じゃばら)状に成型するためには、真空状態で外皮を吸着する必要があるのですが、小さな穴が1つでもあれば、その吸着自体がうまくいきません。製造工程でどう解決していくか頭を悩ませました。温度や原材料の配合量を変え、適切な製造条件を試行錯誤しながら探っていったのですが、間﨑さんにも毎週のように横浜から関工場に足を運んでいただいて、一緒に対応していきました。
間﨑さん 2024年秋からリサイクルされた樹脂を原材料に用いたパイプの供給を開始していますが、今のところはトラブルもなく、手応えを感じています。今後、回収できるパイプの量が安定化すれば、生産の方も軌道に乗るものと期待しています。
配管事業を社内外に強くアピールし、盛り上げていきたい
Arrow編集部 BGAを受賞して感じたことや、グループの皆さんへのメッセージをお願いします。
石井さん ブリヂストンはタイヤ事業の割合が大きい会社ですが、ゴムを使わない配管事業も住宅業界では確固たるポジションにいることを知っていただけるきっかけになればうれしいです。「らく楽パイプ」は2010年の発売以来、施工性の良さが評価され、いまだに代替の製品が出てこない素晴らしい商品です。もしかしたら、皆さんのご自宅でも使われているかもしれませんよ。
石井さん ブリヂストンはタイヤ事業の割合が大きい会社ですが、ゴムを使わない配管事業も住宅業界では確固たるポジションにいることを知っていただけるきっかけになればうれしいです。「らく楽パイプ」は2010年の発売以来、施工性の良さが評価され、いまだに代替の製品が出てこない素晴らしい商品です。もしかしたら、皆さんのご自宅でも使われているかもしれませんよ。
畠山さん 積水ハウス様と共創して一緒に仕組みをつくり上げたことは、本当に価値のあることだと思いますし、社内外の関係者の皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。これからもこの取り組みをしっかりと継続していきたいと思います。
間﨑さん 積水ハウス様や再生ペレットメーカー様とはこれからも密に連携し、水平リサイクルを通じたサステナビリティへの貢献を続けていきます。また、仲間たちと一緒に、配管事業ももっと盛り上げていきたいと思っています。これからも期待してください!
間﨑さん 積水ハウス様や再生ペレットメーカー様とはこれからも密に連携し、水平リサイクルを通じたサステナビリティへの貢献を続けていきます。また、仲間たちと一緒に、配管事業ももっと盛り上げていきたいと思っています。これからも期待してください!
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