【こんにちはアローです!】同じゴールに向かって仲間たちと「ONE TEAM」で

今回は (株)ブリヂストン 常務役員 グローバルモータスポーツ管掌の今井さんにお話を伺います。
「こんにちは今井さん、今日はよろしくお願いします!」
(株)ブリヂストン
常務役員
グローバルモータースポーツ管掌
今井 弘さん
神奈川県出身。1990年に(株)ブリヂストンに入社、日本・欧州にて完成車メーカー向けタイヤ開発に従事した後、2003年よりFormula 1Ⓡのタイヤをはじめとしたモータースポーツタイヤの開発やレースオペレーションに携わる。2009年にMcLaren Racing Ltd.(以下、マクラーレン)に入社し、タイヤエンジニアからチーフレースエンジニアなどを歴任。2025年の2月末に(株)ブリヂストンに再入社。3月から常務役員 モータースポーツ管掌に任命。7月より現職。
- 趣味・特技
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Formula 1Ⓡのタイヤのコンパウンドを嗅ぎ分け種類を当てること
マクラーレンに入社して3年後、レースタイヤのコンパウンドを嗅ぎ分けて種類を当てることができるようになっていました。同僚からは、「おかしな日本人だ」と思われていましたね(笑)。
- 幼少時代の将来の夢
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「鳥になりたい」
小学生の頃に書いた作文を読み返してみると、「鳥になりたい」と書いてありました。空を飛びたいという憧れは、その後、世界を飛び回って仕事をする形で実現したのかもしれません。
- 青年時代夢中になっていたこと
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車の運転
大学では自動車部に所属しており、車の運転と競技に熱中していました。副社長の森田さんとは自動車部つながりで話をすることも多いですね。
- 自身の未来像
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チームで何かを成し遂げる経験をしたい
ブリヂストンは、チームで何かに取り組む意識が高い従業員が非常に多く、「ONE TEAM」という言葉がしっくりくる集団だと思います。皆さんのさまざまな視点を活かしながら、価値観を共有し、社内外のチームワークをより強固にしていくことが成果につながると考えています。その場で私も皆さんと一緒に達成感を味わうことができればとてもうれしく思います。
- リフレッシュ方法
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自炊
化学の実験をしているみたいで楽しいです。イギリスにいる時はパンを焼いたり、タコスを作ったり。でも、やはり日本食が好きです。日本から長く離れている時は、和菓子が食べたくなります。特に川崎大師の名物、くず餅が好きです。
お仕事で愛用しているものを教えてください。
日常的に使うからこそ、メモ帳とボールペンは使い心地の良いものにこだわっています。マクラーレンで働いていた頃は同僚にプレゼントすることもあったので、スペアも持ち歩くようにしていました。日本製は高品質で人気ですからね。もう1つは、エンジニアとしての原点をつくってくれた関数電卓。大学生の頃に購入したのですがまだまだ現役です。机の横に置いておくと、まるでお守りのようで安心します。

今までのキャリアにおいて、印象に残っている「失敗」のエピソードを教えてください。
新人の頃、タイヤモールドの図面の作製時に計算と作図を間違えてしまったことです。提出期限まで残りわずかというタイミングで気づきましたが、当時、図面は手書きでしたので、修正にかかる工数と時間を考え、とてつもない量の冷や汗をかきました。後のプロセスで修正することも可能でしたが、設計をあるべき形にしていないことは、「最高の品質」に向き合っているとは言えないのではないかと自問自答しました。結局、一緒に仕事をしていた先輩に頭を下げ、大急ぎで修正をしました。「手を抜かずに正しいことをきちんとやること」ができるか、今となっては自分にとっての試験だったように思います。
ご自身の人生におけるターニングポイントを教えてください。
実は、モータースポーツ部門で働けるチャンスを自ら手放そうとしたことがあります。入社当時、まだブリヂストンがFormula 1Ⓡに携わっていない頃から、私は周囲に「将来、Formula 1Ⓡの仕事をします!」と宣言していました。同期入社の仲間たちは「変なやつがいるな」と思っていたでしょうね(笑)。その後、モータースポーツに関わる機会に恵まれず、転職した方が良いのではないかと思い悩むこともあったのですが、そんな折、ローマの技術センター(TCE)へ赴任する機会をいただきました。TCEでは完成車メーカー向けタイヤの開発業務にのめり込み、さまざまな国から来たチームメイトとの仕事も楽しくてしょうがなくなっていきました。その後、何年か経ってモータースポーツ部門への異動を命じられたのですが、「TCEでの仕事が面白いので、内示を取り消してくれませんか?」と、あれ程希望していたFormula 1Ⓡに携われる仕事を断ろうとしました。結局、上層部の説得もあり、異動することになりましたが、この時は「面倒くさいやつだな」と思われていたと思います(笑)。
その後、Formula 1Ⓡの仕事に関わるわけですが、本当に自分の気持ちに火がついたのは、異動直後の2003年のハンガリーGPで、ブリヂストンのタイヤ供給チームが、他社のタイヤを履いているチームに大負けするのを見た時でした。そこからは「ブリヂストンのタイヤで勝たせるんだ!」と心に誓い、タイヤの開発に没頭していきました。翌年、チームの力で勝利を収めることができて本当にうれしかったのを覚えています。

マクラーレンで学んだこと・印象に残っていることを教えてください。
ブリヂストンでタイヤ開発の仕事をするうちに、「タイヤからクルマを見る」のではなく、「クルマからタイヤを見る」ことで、どんな景色が見えるか、ということへの興味が大きくなっていきました。実際、マクラーレンに入社し、レースチーム側から求められるタイヤを突き詰めていくと、同じデータを見ていても着眼点やデータの解釈が違うことが分かりました。あくまで目標はチームの勝利ですが、そのために、クルマ全体があり、その一部としてタイヤがある。ブリヂストンで働いていた頃には全く知らない世界でした。
特に印象深かったのは2011年のカナダGPです。降雨の影響で路面のコンディションを読むのが難しいレースでした。途中で中断もあり、一時、チームは最下位に。この状況を打破すべく、自分の経験とロジックを信じて、タイヤの使い方の大幅な変更をチームに強く提案し、実行しました。その変更の効果に加え、ドライバーの奮闘もあり、最終ラップの残り半周の局面でトップを奪って優勝するという劇的な展開になりました。「自分の提案が優勝に結びついて良かった」とホッとすると同時に、「Formula 1Ⓡの世界でもやっていける」と自信がついた瞬間でもありました。
2024年には年間で最も多くのポイントを獲得したチームに与えられる「コンストラクターズチャンピオン」を獲得することができたのですが、これが私のマクラーレンでの集大成です。続けて2連覇を狙うという選択肢もありましたが、また次の新しいチャレンジをしたいと思い、ブリヂストンへの復帰を決めました。「タイヤからクルマを見る」と「クルマからタイヤを見る」を両方経験した自分なら、「ブリヂストンの仲間と新しい世界を見ることができるのではないか」と思い、それを確かめてみたいと思ったのです。
業務の中で大切にされていることを教えてください。
「ONE TEAM」で、仲間たちと同じゴールに向かって楽しく仕事をすることです。ブリヂストンのあらゆるチームがそうなってほしいと期待しています。まずは自分の部門から徐々にこの輪を広げていき、最終的にはブリヂストングループの12万人の仲間たちまで広げていくのが私の夢の1つです。では、どうすればそれが実現できるのか。その答えは「最高の品質で社会に貢献」することにあると思います。皆さんの立場や持ち場はそれぞれ異なりますが、企業理念の使命を共有し、同じゴールに向かっていくことはできると考えています。私の経験や知見を皆さんと共有していきたいですし、皆さんにも一人ひとりが持っている力や知識を最大活用していただくことで、ブリヂストンはもっと大きなことが成し遂げられると信じています。

最後に従業員の皆さんへのメッセージをお願いします。
皆さんもご存じのとおり、ブリヂストンは、サステナブルなグローバルモータースポーツ活動を強化しています。原材料調達からリサイクルまで、タイヤを「創る」「使う」、原材料に「戻す」というバリューチェーン全体のサステナブル化について、モータースポーツから推進し、会社全体への波及を目指していますが、この実現に向け、メンバーと一緒に議論を重ねています。モータースポーツ関係者のみならず、さまざまなステークホルダーからのブリヂストンに対する期待は非常に大きいものです。この期待に応え、さらにその期待を超えられるものを提供していくことがブリヂストンに課せられた使命だと思っています。

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