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いつもの「改善」を、次はデジタルで。

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多くの会社や組織が取り組んでいる「DX推進」。ブリヂストンでもこれを強く進めていますが、エキスパートの古山さんに、推進のポイントや大切にしたい視点を伺いました。
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(株)ブリヂストン
デジタルソリューションAI・IoT企画開発部門 デジタルAI・IoT開発部

古山 祐 さん

Arrow編集部 まずは古山さんの所属部署の役割と担当業務について教えてください。

古山さん 私が所属するデジタルソリューションAI・IoT企画開発部門は、デジタル技術を活用し、社内業務の効率化とソリューションビジネスの推進をサポートしています。加えて、DX人財の「育成」も大切な役割です。従業員を対象とした「デジタル100日研修」などを企画・実施しています。

私個人の役割としては、別の部署から相談いただいた困りごとに対し、デジタルを活用して解決に向けたサポートをすることです。今は(株)ブリヂストンの法務・コンプライアンス・リスク管理部門、知的財産部門、人的創造性向上部門の皆さんや、ブリヂストンタイヤソリューションジャパン(株)の方々と一緒に、課題解決に向けて取り組んでいます。
Arrow編集部 古山さんご自身は今年、社外のデータ分析の大会で好成績を収めたと伺いました。どういう大会だったのでしょうか?

古山さん 私が参加したのは「自動車関連業界対抗データサイエンスチャレンジ」という、データ分析の技術を競う大会で、自動車業界から10社、計約300人が参加した大会です。「ビギナーズカップ」と「エキスパートカップ」があり、それぞれに「団体部門」と「個人部門」があります。ブリヂストンはエキスパートカップの団体部門で1位に※1。私自身もエキスパートカップの個人部門で優勝することができました。

出された課題は、「自分の乗っている車の速度と車載カメラの映像から、前を走る車の速度を予測する」というもの。雨が降ったり、夜間であったり、条件によってカメラの映像も変わりますが、そういったさまざまな条件でも安定して速度を予測できるようにAIを活用しました。私はそれまで、動画データを扱ったことがなく、経験を積むつもりで出場したのですが、思わぬ良い結果を残せました。また、社内外のデジタル人財を身近に感じる貴重な機会となりましたね。

※1 個人部門の出場者一人ひとりの順位に応じて所属企業に得点が加算され、総得点で企業ランキングが決定
【自動車関連業界対抗データサイエンスチャレンジ2025の詳細はこちら】
イベント概要 開催レポート
Arrow編集部 社外の専門家も出場された大会で優勝!すごいことですね…。古山さんは学生時代からこの分野を専攻されていたのですか?

古山さん いえ、大学では化学を専攻していたので、データサイエンスは専門外だったんです。新卒で入った会社はIT系の会社で、必要なことは業務を通して学びました。その後、ブリヂストンにキャリア入社してIT部門で勤務していたのですが、上司の勧めもあり、アシスタントデータサイエンティスト研修(現:デジタル100日研修)を受講し、東北大学と産学連携で行っているデジタル人財育成プロジェクトに参画しました。そこでデータサイエンスに興味を持ち、約2年前に部署を異動して今に至ります。この分野については社会に出てから勉強してきたんですよ。

「社会人になってからデータサイエンスを学びました」と語る古山さん

Arrow編集部 社会人になってからデータサイエンスを学ばれて、今ではエキスパートになられたんですね。そんな古山さんから見て、ブリヂストンにおけるDX推進の進捗はいかがですか?

古山さん DXを進める上では、大きく次の3つのフェーズがあります。紙や書類などの物理的なアナログ情報をデジタルデータに変換するフェーズ1、手作業で行っていた業務などをデータ活用で効率化するフェーズ2、そして、ビジネスモデルや組織の文化をデジタル技術で変革するフェーズ3です※2。既に鉱山ソリューションや航空ソリューションの分野ではDXでビジネスモデルを変革し、お客様に価値を提供できています。その他、社内のあらゆる部署では、まさにデジタル技術を活用した業務効率化の最中であったり、これから計画・検討に入ったりする事例が増えています。

※2 一般的にフェーズ1が「デジタイゼーション(Digitization)」、フェーズ2が「デジタライゼーション(Digitalization)」、フェーズ3が「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation, DX)」と言われている
Arrow編集部 これまでに古山さんが支援してきた具体的な事例を教えていただけますか?

古山さん 分かりやすい事例をいくつか挙げると、1つ目は従業員の安否確認システムの改善です。組織変更や人事異動に伴い、都度、データベースもアップデートが必要になりますが、これを自動化しています。他には、従業員向けのアンケート集計の効率化と結果の見える化なども行っています。直近では知的財産部門の皆さんと一緒に、特許情報のデータベース化に取り組んでいます。こうした仕事の困りごとをデジタル技術を活用して解決するなかで、デジタル人財の成長や、有用なデータの蓄積、リソースの確保、デジタルを活用する文化の醸成が徐々に進み、最終的には顧客体験の最大化につながっていくと思います。そのために私たちも引き続き皆さんをサポートしていきます。
Arrow編集部 部署や自分の仕事の困りごとを解決するために、デジタルを活用したい仲間たちがたくさんいると思いますが、何から始めるのがお勧めでしょうか?

古山さん まずは初心者の方向けの「デジタル100日研修」の受講をお勧めします。もちろん研修を受けるためには一時的に時間を割く必要がありますが、その負担を補って余りあるほどの実りがあると思っています。もしも意欲のある方がチームにいるようでしたら、マネージャーの方も、そのチャレンジを後押ししてあげてほしいと思います。間違いなく、未来への良い投資になるはずです。
Arrow編集部 まずは「デジタル100日研修」から、ということですね。一方で、「デジタル」や「DX」という言葉から、なんとなく敬遠している人もいると思います。何かアドバイスはありますか?

古山さん 「DXを進めなければいけない」と、変にプレッシャーを感じる必要はありません。ブリヂストンはそもそも、さまざまな現場で「改善」の文化がしっかり根付いている会社です。「改善を進める選択肢の1つにデジタルを加えるだけ」と考えてもらえればと思います。例えば、インターネットで検索してみて、理解できなかったことを改めてAIチャットに質問してみるなど、簡単なことから試してみていただきたいです。「なんとなく難しそう…」という先入観さえ取り除ければ、誰もが必ず前進できると思います。
Arrow編集部 最後に、読者であるブリヂストンの従業員の皆さんにメッセージをお願いします。

古山さん 昔はなかったパソコンやスマートフォンが現代の生活に欠かせなくなったように、デジタルを活用して仕事をすることが「当たり前」になりつつあります。ブリヂストンで働く皆さんがスムーズに時代の流れに乗って、会社としても競争力を維持できるように、必要な研修を行い、皆さんに伴走しながら支援をするのが私たちの部門の使命です。普段の困りごとは、データの活用で解決できるかもしれませんし、もしかしたら想像以上の大きな価値の創出につながるかもしれません。課題の解決に向けて悩んでいる方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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コメント(6)

よりポイントを抑えた改善をさん

全員の底上げをはかるのも大切な普及活動ではありますが、大きな効果が見込まれるアイディア・トピックスについては、改善のポイントを抑えた人に、色んな現場で短期集中的にプロジェクトに取り組ませる必要があるのではないでしょうか。個人的には、改善のポイントは以下3つかな、と。
①新技術の利点/欠点を理解する能力
(単なる新しい物好きだと現場の仕事を増やすだけになる)
②現場での課題の本質を掴む
(技術導入はすればいいというものではなく、現場の課題を解決してなんぼ)
③そのメリットを自分自身が一番理解し、現場にそれを伝えられる粘り強さ
(結局、現場の人がそのメリットを感じて使わなければ意味がない)

この中のどのポイントが抜けても、改善は一時的な「イベント」になってあまり効果がないように思います。掲示板とかでアイディア募って、良いアイディアが出たら、集中して取り組めるような組織になるといいですよね。

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技能員さんも積極的に活用し始めてますよ!さん

古山さんの下記が本当に入門として大切だと同感です!

「例えば、インターネットで検索してみて、理解できなかったことを改めてAIチャットに質問してみるなど、簡単なことから試してみていただきたいです」

現場の技能員さんも提出物や課内TQM資料作成や調査で社内aIを活用し始めています。
またそれを他技能員へヨコテン(横展開)している光景をよく見聞きする様になりました!
スタッフも現場に負けない様に活用していきたいです。

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工場でもがき苦しむIT職能さん

素晴らしい取り組みですが、製造現場という環境で働く私にはまさに夢の空想世界です。データを集計しても現場は活用しない(そもそも見てもいない)、それ以前に必要なデータが存在しない、データ収集のための仕組みを立案しても予算がつかない。できればもう少しブリヂストンの基本となる生産現場へ目を向けてもらえると嬉しいです。

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デジタルソリューションAI・IoT企画開発部門さん

コメントありがとうございます。5400部門でもサポートできることがあるかもしれませんので、データ活用に関する困りごとがあれば、お気軽にご相談ください。

【お問い合わせ先】
digital.contact.bsj@bridgestone.com

DX推進万歳!さん

素晴らしい取り組み紹介をありがとうございました! 

DX推進は「デジタル技術を使った改善」から「組織・ビジネスの根本変革」へと進化していると感じます。
BSの現状は着実にステップを踏んでいます。 仰る通り“デジタル×組織文化×個人の創造性”を掛け合わせることで、全く新しい価値創造が可能だと考えます。
DXは「一部の専門部署」だけでなく、「全社員の自律的な挑戦・学び」が鍵だと思いますので
デジタル技術を“使う”だけでなく、“組織の在り方そのもの”をデジタルで再設計する発想が重要ですね。

例えば、メタバースやDAO、AIコーチなど、従来の枠を超えた仕組み導入で、DX推進の“加速度”と“広がり”を劇的に高められないでしょうか。
「改善」の次は「デジタルで組織と人を進化させる」
ぜひ、BSのDXを“世界のモデル”にする挑戦を期待します。  

【構想例】※素人の思いつきで恐縮です
・メタバース:仮想空間でのコミュニケーションや業務
・DAO:みんなで自律的に運営する新しい組織
・AIコーチ:AIによる個別最適化されたサポート

 1. 「社内DXメタバース」構想の提案
従来の業務効率化やデータ活用を超え、社内のコミュニケーション・ナレッジ共有・課題解決を
「3D仮想空間」で実現するDXの新潮流を提案します。

【具体案】
社員一人ひとりが“アバター”として社内メタバース空間に参加。
部署横断の“仮想オフィス”で、DX課題相談・ナレッジ共有・即時コラボレーションが可能。
DX研修やデジタル人財育成も、ゲーミフィケーション要素を加えたメタバース内で実施。
実際の業務データやリアルタイムKPIが空間内に可視化され、誰もが自分の貢献や課題を直感的に把握。

【期待効果】
部署間の壁・物理的距離を超えた“共創”と“スピード感”が生まれる。
DXへの心理的ハードルを、ゲーム感覚で下げる。
若手~ベテランまで、デジタルリテラシーの差を自然に埋める。

2. 「DXアイデアDAO」:社員発のDXを自律分散型組織で加速
ブロックチェーン技術を活用し、DXアイデアや改善案をDAO(分散型自律組織)形式で管理・実行。

【具体案】
社員全員がDXアイデアを“提案・投票・実行”できるプラットフォームを社内展開。
ブロックチェーンにより、提案・評価・進捗が透明化。
アイデア採用・貢献度に応じて“社内トークン”や報酬を付与。
DX推進を“トップダウン”から“ボトムアップ”へ、社員の創造性を最大化。

【期待効果】
現場発のリアルなDXが加速。
社員一人ひとりが“DX推進者”になる文化醸成。
アイデアの質・量が飛躍的に向上。

3. 「AIパーソナルDXコーチ」の全社員配布
AIを活用し、全社員に“個別最適化されたDX学習・業務改善サポート”を提供。
【具体案】
社員ごとにAIが業務データ・スキル・課題を分析し、
「今あなたに最適なDX活用法」「おすすめのデジタルツール」「学習コンテンツ」などを毎日レコメンド。
業務の中で困ったことがあれば、AIチャットで即時相談・解決策提示。
DX推進部門の人的リソースを補完し、全社員が“DXの伴走者”を持つ状態に。

【期待効果】
DXへの“個別最適化”された支援が可能。
学びと実践がシームレスに繋がり、定着率・成果が向上。
DX推進が“全社規模で同時並行”に進む。

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かいぜんくんさん

自身も現場のDX化を推進しようと日々奮闘中ですが、様々な障壁がある中で、古山さんのキャリア形成や今回の素晴らしいご活躍を目の当たりにして、一ブリヂストン社員として非常に誇らしく、また勝手ながら自身の今後の業務内容に光明をもたらして頂けたような気持ちになりました。
本記事中の古山さんコメントを参考、励みに、今後も自身の価値創出に繋げていきたいと強く思いました。ありがとうございました!!

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