• TOP
  • 記事
  • 工場の未来は「人」がつくる―関工場の取り組み―

工場の未来は「人」がつくる―関工場の取り組み―

画像
従業員一人ひとりが心身共に健康で、安全に働ける環境――それは、「衛生管理」という仕事によって支えられています。衛生管理とは、従業員を病気や災害から守るために必要な措置を講じること。
この度、(株)ブリヂストン 関工場の取り組みが全国的にも優れていることが認められ、令和7年度「安全衛生に係る優良事業場に対する厚生労働大臣表彰」優良賞を受賞しました。今回は、そんな名誉ある賞を受賞した、関工場の衛生担当をされている池戸さんにお話を伺いました。
画像

(株)ブリヂストン 関工場 総務・環境保全課 保健師

池戸 亜紀さん

2011年に入社以来、関工場の保健師・衛生担当として、従業員の心と体の健康を守る活動に従事。「工場の先輩たちが私を受け入れ、支え、育ててくれた」という感謝を胸に、現場に寄り添い続けている。

法令基準値の確認から表情チェックまで。働く人たちを守る日々の仕事

Arrow編集部 改めて、令和7年度「安全衛生に係る優良事業場に対する厚生労働大臣表彰」優良賞の受賞、おめでとうございます!まずは、普段どのような仕事をしているのか教えていただけますか。

池戸さん ありがとうございます!大変名誉ある賞をいただきました。
衛生担当の主な仕事は、働く人たちに健康被害が及ばないように、また、より健康に働けるように環境を整えることです。その基本は、「作業環境管理」「作業管理」「健康管理」の3つです。1つ目の「作業環境管理」は、職場環境が法令基準を満たしているか、化学物質の濃度や騒音レベル、職場の明るさ、温度などを測定し、確認すること、そして、有害な蒸気などを吸い込まないようにするための局所排気装置が正しく機能しているか、従業員が保護具を適切に使用できているかなどを定期的にチェックすることです。 2つ目の「作業管理」は、「どのようなスペースで、どのような動き方をしているのか」「作業姿勢が腰などに負担をかけていないか」といった、従業員の作業姿勢や手順、使用機器などをチェックすることです。そして、最後の「健康管理」には、健康診断の実施などが含まれます。

Arrow編集部 なるほど、職場自体の環境や、働いている方の作業内容のチェックなど、さまざまな仕事があるんですね。

池戸さん はい。ですが、私たちは環境や設備だけを見ている訳ではありません。そこで働く「人」にも細やかに目を配っています。例えば、すれ違う従業員の表情を観察して、心身の状態を把握するようにしています。朝出勤する時間に、夜勤明けの従業員と駐車場でばったり会うこともあるのですが、たわいのない会話のなかで、その人が元気かどうか、困りごとはないか気にかけるようにしています。
このように、環境だけでなく、働く人たちのコンディションにも配慮して「心と体の健康を守ること」。それが私たち衛生担当の仕事です。
Arrow編集部 従業員の皆さんの表情までチェックされているんですね!今まで衛生管理を担当されてきたなかで、印象に残っているエピソードはあるでしょうか。

池戸さん 入社して間もない頃、粉じんが発生する工程で着用するマスクを一斉に変えた時のことです。当時、粉じん教育の中でマスクの付け方を周知しようと、講習会を開きました。その講習会で、普段皆さんが着用されている方法で粉じんがどのくらい浸入しているのか、侵入率を測定できる機器を用いて測定したところ、マスクをしていないのとほぼ変わらないくらい、粉じんを吸い込んでいたことが判明しました。すると、ある技能員の方が「前からなんかおかしいなと思っていたんだよ。講習会を開いてくれたおかげで、自分の違和感を確認できた」とおっしゃいました。
当時使用していたマスクは、もちろん国家検定の合格印があるもの。ですが、海外製だったため、日本人の骨格にあまり合っていませんでした。そのため、粉じんが入り込みやすくなっていたのです。すぐに基準を満たす国産のマスクを5、6種類入手しました。さらに、現場の皆さんに実際に着用してもらって侵入率を測定するのはもちろん、着け心地についても皆さんの意見を聞き取りました。日々使うものだからこそ、ストレスなく着用できるものを選定したくて。こうして、現場の皆さんが安心・安全に働けるマスクに変更することができました。
それ以来、感覚ではなく客観的なデータで物事を示すこと、従業員の声に耳を傾けることの重要性を強く意識するようになりました。今でも、現場の皆さんが些細なことでも相談しやすいように、一人ひとりと何でも言い合える関係性を築くことを心掛けています。

ゴールはない。衛生面から守る、関工場のモノづくりと「人」

Arrow編集部 今後の課題や取り組みたいことを教えてください。

池戸さん 企業にとって、「人」は本当に大きな財産だと思っています。その大きな財産を、衛生面からしっかりと守っていかなくてはいけない。働く人たちが健康で、心も体も元気であることがすごく大事です。それが良いモノづくりに繋がります。
今後、特に取り組みたいと思っているのは「騒音」対策です。可能であれば、生産設備を設計する段階から積極的に関わることで、騒音が少ない、働く人にとってより快適な工場づくりに挑戦したいと思っています。既設の設備から発生する音を小さくすることは、なかなか厳しいのが現状ですが、これから導入される設備は、設計段階で騒音を抑える工夫ができます。また、法的な基準を満たしていても、基準値ギリギリでは「やかましい」と感じる人もいるかもしれません。法定基準の遵守だけでなく、そこで働く人たちがさらに快適だと感じられる環境づくりを常に模索しています。これからも、仕組みや技術といったハード面を整えつつ、従業員の皆さんを思いやる気持ちを持ち続けて、諦めずにチャレンジしていきたいです。
そして、関工場の皆さんに、工場で働いている間だけでなく、退職された後の「第2の人生」でも、健康で長く人生を謳歌してほしい――そういう思いで取り組んでいます。この仕事にゴールはありません。

令和7年度「安全衛生に係る優良事業場に対する厚生労働大臣表彰」優良賞 受賞のポイント

今回受賞した優良賞は、全国で13事業場のみが受賞。そのうち、健康・有害物分野では、(株)ブリヂストン 関工場を含む2事業場のみが受賞しました。優良賞の健康・有害物分野では、有害物質をいかにコントロールできていたかという点が評価されます。
関工場では、取り扱っている有機溶剤などの有害物質について、別の材料への切り替えや設備の見直しを行い、有機溶剤を使用しない工程へと改善を進めてきました。この取り組みは、池戸さんをはじめとする衛生担当や総務・環境保全課、製造課、設備課、技術課、そして現場で働く技能員の皆さんが一丸となって実現したものです。

アンケートへのご協力をお願いいたします。ご回答内容は今後の記事制作に活用させていただきます。


みんなからのコメント待ってるよ!
コメントする

※「コメントする」を押してもすぐにはコメントは反映されません。
管理者にて確認の上、反映されます。コメント掲載基準については こちら をご覧ください。
尚、投稿者につきましては、管理者でも特定できない仕様になっております。

コメント(6)

ガイトまんさん

岐阜出身の者として関工場が記事にピックアップされたことをうれしく思っています。
自分も仕事頑張ろうって思えました!

返信する

関 akiさん

コメント ありがとうございます。
岐阜出身なのですね!! 
岐阜県の人達にブリヂストンの工場がある事をもっと知ってもらえるように、
さらに精進していきます。
コメント、こちらも励みになりました。

Tさん

 記事には触れられていませんが、関工場では健診でピロリ菌検査もしていただけました。私の場合は菌が発見され、除去の対応をとることができました。大変感謝しております。

返信する

関 akiさん

コメントありがとうございます!!
関工場での出来事をいつまでも覚えていてくださり、嬉しいです。
1つしかない心と体を健康でいられるように、ご自愛くださいね。
遠くから、応援しています。

筋肉を裏切らないさん

働く人、一人ひとりへの目配りに感銘を受けました。それがおせっかいや決まりだからといった強制でなく、人を守りたい、よりよい生活ができるようにサポートしたい、結果として会社に貢献するといったお気持ちがよくわかりました。

返信する

関 akiさん

コメントありがとうございます!!
人は大きな財産ですね。
1人1人が安心して働き、穏やかで素敵な人生を送れるよう見守りつつ・・・
関工場が人に優しい工場であり続けるように、見守りたいと思います。

ページトップへ戻る