【師匠と弟子】半年間の集中指導で伝えた匠の意識 日本モールド工業(株)
「半年間」という限られた時間での全力指導
長岡くんが入社したのは2024年の春だったね。当時は自分と同じ工程に配属されて師弟関係になったわけだけど、昔から自動車が好きだったんだよね?
そうなんです!大好きな車に関係する仕事がしたいと思って入社しました。ただ…最初は現場で覚えることが多くて、永傳さんから指導を受ける時はいつも緊張していました(笑)。
そうだったの?(笑)実は、当時「自分もそろそろ他部署へ異動になるかも」と予感がしていたんだよ。だから「限られた時間で精いっぱい教えなければ」という気持ちがあったんだ。新しく入社した人なら、本来であれば育てるのに1~2年間掛けるんだけど、それよりも短い時間でぎゅっと凝縮して指導しなきゃって。少し厳しく感じる場面もあったかもしれないけど、自分の知識や技術を余すことなく伝えられたと思ってるよ。長岡くんが諦めずに付いてきてくれたからこそだけどね。
うちでは、乗用車用から鉱山・建設車両用まで、さまざまなモールドを製造しているよね。いくつか工程があるけど、一緒に仕事をしていた「マシニング工程」は、専用の機械がコンピュータ制御で切削加工するプロセス。ただ、その機械に正確な指示を出すのは人だから、入力する数値の計算など、精密さと正確さが求められる仕事だよね。
初めは工具の名前も分からないし、数字も苦手で…。難解な計算式に頭がパンクしそうでした(笑)。怒られるのが嫌で、理解しきれてないのに「分かりました」って言ってしまったこともありましたよね。
あの時は、「分からないことを正直に言う方が大事だよ」って伝えたかったんだ。分からないまま進めることが、一番危ないからね。うちは10トンを超える重量物を扱う現場。わずかな油断が大きな事故につながる可能性がある。だから、安全に関わることは徹底して伝えたいと思っていたんだ。
永傳さんは、ただ厳しく言うだけではなくて、僕が分かるように説明してくれましたよね。
そう言ってもらえるとうれしいな(笑)。自分も指導方法は試行錯誤だったからさ。専門用語をそのまま伝えても難しいから、長岡くんが好きな車の運転に例えながら説明したよね。
加工位置を調整するとモールドの仕上がりにどう影響するか、車のハンドルを切った時のタイヤの動きに例えていただいたことを覚えています。自分の好きな車のことに置き換えていただき、それ以降は作業のイメージがしやすくなりました。それに、仕事中に「ダラダラ歩くな」って指導されたときは、最初は「歩き方まで?」と驚きました。
歩き方ひとつとっても、仕事への意識は表れるし、周りの人も意外とそういう姿をよく見てる。せっかく技術を身につけても、基本の姿勢が甘かったら、現場では信頼される仕事にはつながらないからね。
「やらされている仕事にするな。お客様は隣にいる」も、永傳さんの口癖でしたよね。
そうそう。自分の持ち場だけに目を向けるんじゃなくて、次の工程に関わる人や、モールドを納品するブリヂストンのタイヤ工場のことまで意識してほしかったんだ。自分がこれを言えるのは、マシニング以外の工程も経験してきたから。それぞれの工程の仕事を知ることで、自分の作業が次にどうつながるのかが分かるようになったんだよね。
その言葉にハッとさせられました。「自分が精度の高い仕事をすることで、次の工程の負担を減らせるし、最終的にはお客様によりよい製品を提供できる」。そう意識するようになってから、機械の前に立つ気持ちが変わりました。
師匠の背中を追いかけ、現場を支える存在に
結婚して、子どもが生まれてからは「顔付きが変わった」よね。責任感がぐっと出てきた。
子どもの顔を見ていたら、「もっと自分がしっかりしなきゃ」と思うようになりました。守らなければいけないものができて、仕事への向き合い方も変わったと思います。
今では自分が頼りたいくらいだよ(笑)。
仕事でも、先のことを考えて動けるようになってきた、と感じます。他の人の作業が進んでいなかったら率先して手伝いに行く。重量物を扱う作業でも、仲間が困っていれば、できる範囲で動く。永傳さんが現在の部署に異動されてからは、安全活動で指導いただく機会も増えましたね。
職場の安全活動でもマンネリ化しないようにリードしてくれているよね。最年少ながら、積極的に3SやKYの活動を引っ張ってくれているのは本当に頼もしいよ。現場の安全を支える一人として、存在感が増していると思ってる。
永傳さんが、そうしてきてくれたからです。周りへの目配りや、気づいたらすぐ動く姿勢は、今も見習っています。まだまだ学ぶことは多いですが、現場の安全や働きやすさに少しでも貢献できるよう、自分から動いていきたいです。
一昨年、ブリヂストングループの「内製保全技能競技大会 溶接部門」で準優勝されましたよね。業務が忙しく、限られた練習時間しかないのに結果を出されて、本当にすごいなと思いました。永傳さんの背中を見て、自分も挑戦したいという気持ちが湧いてきたんです。まずは溶接の免許を取って、同じ大会に出場したいと考えています。
ブリヂストンの佐賀工場で開催された大会で、海外からも参加者が来る大舞台。あの時は悔しかったよ。長岡くんの目標は、ずばり…?
自分の目標はもちろん優勝です!永傳さんに成長した姿を見せたいです。
頼もしい!楽しみにしているよ。免許が取れたら、今度は溶接でも一緒に練習しよう。将来は改善の意識ももって、品質向上にも貢献してほしいな。もちろん安全第一でね。鉱山・建設車両用のモールドは完成まで約40週間かかるものもある。品質を保ちながらいかにリードタイムを縮めるか。それが自分たちの永遠のテーマなんだ。長岡くんには、技術も安全意識も磨きながら、日本モールド工業を支える存在になってほしいと思ってるよ。
はい。早く技術を習得して、今以上に現場に貢献できるようになりたいです。これまで、永傳さんが妥協せずに指導してくれたからこそ、今の自分があると思っています。将来、自分にも弟子ができたら、永傳さんのように熱意をもって向き合いたいです。これからもよろしくお願いします!
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