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困りごとを自分たちで改善し成長していく タイヤ工場の小集団活動

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ブリヂストンは、事業戦略と連動した付加価値創造により、企業価値向上を図るとともに、個人の成功・自信の波及を通じて、多様な人財が輝けるようになることを人財戦略の軸としています。「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」の実現、24MBPの最優先課題である「経営・業務品質の向上」には、ブリヂストンのDNAに共感し、体現する「ブリヂストンらしい人財」が必要であり、一人ひとりの生産性・創造性の向上が不可欠です。会社の成長と従業員一人ひとりの成長の実現が両輪となるよう、さまざまな職場で取り組みを進めています。

小集団活動で職場の改善と仲間の成長を実現

(株)ブリヂストンのタイヤ工場では、現場から挙がった困りごとや改善提案の声を基に、スルラク生産を目指し、小集団やCFTでの継続的な改善活動を進めています。さらに、近年のカルチャーチェンジの取り組みの1つとして、“現場で裁量をもった予算を持ち、自分たちの職場の困りごとを自分たちで改善する”といった改善活性化に取り組んでいます。改善の楽しさを知り、挑戦・成長する機会を通じて、生産性・創造性の向上を図っています。

今回お話を伺ったのは、北九州工場の鉱山・建設車両用の大型・超大型タイヤ(ORタイヤ)の製造工程。ここでは小集団による職場改善活動や、それらを通じた若手の成長支援が進められています。どのように取り組みが進められているのでしょうか。
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(株)ブリヂストン
北九州工場 製造課
妻﨑 達也さん

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(株)ブリヂストン
北九州工場 製造課
菊池 翔太さん

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(株)ブリヂストン
北九州工場 製造課
原 哲文さん

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(株)ブリヂストン
北九州工場 製造課
足立 和也さん

大きな困りごとだった「身体的な負荷」 小集団での改善を目指して

ORタイヤを生産している北九州工場で、荒生地やトレッドを生産する材料工程の皆さん。工程メンバー約25名から、複数の小集団がつくられています。

2009年の工場稼働直後から小集団活動は進められてきましたが、今に続く取り組みが活性化するきっかけとなったのは2021年頃。「ORタイヤの需要増に伴い、工場としても増産対応を続けていましたが、退職者が増えていたことが大きな課題でした」とA班の職長を務める妻﨑さんは当時を振り返ります。ある従業員に退職の理由を尋ねたところ、「身体的な負荷」が挙がったことから、工程内でアンケートを実施した結果、同様の意見が多く寄せられました。これを契機に、自分たちの困りごとや改善希望箇所のヒアリングを継続しながら、小集団活動による改善を積み重ねてきました。

改善事例1 自動袋セット装置のチョコ停改善でスルラクに!

精練工程では、ゴムと配合する薬品を入れる缶にビニールの袋をかける作業があります。この作業を自動化するための設備を導入しましたが、チョコ停が頻繁に発生している状況でした。

ノズルの位置が悪いと、うまくビニール袋を吸着できない。試行錯誤を繰り返して吸着NGの原因を解消

「ひどい時は1直の間に10回以上停まってしまい、担当者の大きな負担になっていました」と小集団活動のリーダーを務める菊池さん。小集団の全員が現物現場で調査を進め、原因を探った結果、袋を吸着して膨らませるノズルに、ビニールがうまく吸着されていなかったことが判明。家庭用の掃除機を使って吸着力を確認したり、ノズルの位置を検証したり、細かいシミュレーションを重ね、問題を解決することができました。

 「袋がけ作業は、機械を使わず手作業に戻してしまう『逃げ道』もあったなかで、目を背けずに改善に取り組んだみんなが素晴らしいと思います」とメンバーを称える妻﨑さん。菊池さんも「他の班のメンバーからもとても喜んでもらえました。また、2024年5月に九州北部地区で行われた、社外開催の『KAIZEN活動発表大会』で銀賞を獲得できたのも自信につながりました」と話しています。

改善事例2 重労働だった20kgのバケツ運び……、機械の力で負荷軽減!

原さんと足立さんが取り組んだのは、トレッド押出工程におけるセメント運搬の工程改善です。従来は薬品の入った約20kgのバケツを、1階からセメントタンクのある2階の建屋まで、手で運ぶ必要がありました。「女性の技能員も2人いるなかで、この工程はとても大きい身体的な負荷がかかっていました。省力化の観点から優先して取り組むべき課題として提案しました」と原さんは説明します。みんなでさまざまな案を出し合いましたが、そのうちの1つ、「クレーンによる運搬」というアイデアについて検討を進めることに。クレーンの設置場所や設備の選定、作業の標準化を経て、無事に導入が完了。人力に頼らない、機械を活用した作業負荷の軽減を実現しました。

重いバケツもクレーンを利用して吊り上げ運搬。機械の力を活用し、作業負荷の軽減を実現

バケツを吊り上げる様子

改善班として、工場全体の改善に携わる足立さんは、「各小集団から多くのアイデアが挙がっており、その数は大小合わせて年間20〜30件に及びます。今回のクレーン運搬についても原さんたち現場の意見を尊重し、働きやすさの実現を目指した結果です」と話しています。

困りごとを自分たちで改善する意識の浸透、小集団活動で一人ひとりのさらなる成長へ

からくり機構を活用し、自由な発想で自ら改善する

困りごとを自分たちで改善できるツールとして2019年からスタートした「からくり機構」による改善は、北九州工場の特色の1つとなっています。

この改善は、アルミフレームを活用し、テコ、滑車などのからくり機構を自分たちで組み立て、現場での作業性や安全性向上などを実現していくものです。自由な発想で、自分たちで組み立てながら改善の楽しさを実感することで、自ら困りごとを改善する意識がさらに強化されています。また、社外にも事例の発表ができるまでレベルが向上してきたことや、他のタイヤ工場へ活動を紹介することで各メンバーの活躍の場の創出や、自信と誇りの醸成につながっています。

精練工程 薬品投入のからくり改善

個人の知見を共有し、みんなで成長する

小集団活動において、職場改善活動と共に重要なテーマと位置づけているのが若手の成長支援です。各小集団では、ベテラン、中堅、若手がバランス良く配置され、複数のメンバーで若手をサポートすることも。若手にとっては、先輩が改善に取り組む姿を見て、真似をすることが第一歩。時間をかけて改善に対する考え方を身につけていきます。中堅やベテランは、職場全体を俯瞰し、より大きな改善や、先進的な取り組みの推進を担います。「1対1での支援では、どうしても属人的なやり方になってしまうことがあります。一方でチームとしてサポートを行うと、サポートされた側だけでなく、チーム全体の成長につながりやすいと考えています」と妻﨑さんは話します。個人の経験やスキルに頼るのでなく、共通知として教えていくことが全体のレベルの底上げや成長スピードの向上にもつながっているようです。「後輩が1つずつ学んで独り立ちしていく姿を頼もしく思います」(菊池さん)、「小集団で一緒だった若手が、上級改善提案を挙げるまでに成長してくれたのがうれしかったです」(原さん)、「ベテランの方には聞きにくいことでも、身近な先輩であれば聞きやすい。『みんなが見ていてくれる』という心理的安全性も生み出しています」(足立さん)。後輩を育てる意識が自然と職場に根付いています。

チーム全体で若手をサポート

最後に、皆さんに今後の意気込みをお伺いしました!
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みんなの一つひとつの意見を大切にして、全ての課題を解決できるよう、今後も職長として全力で取り組んでいきます!

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自分自身も仲間も業務がラクになって、互いの考えもより伝えやすくなりました。自分から発信する気持ちを大切にしていきます。

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自分の担当である口金の設計の自動化も、みんなのアイデアを借りて実現させていきたいですし、機器を操作する方たちの困りごともどんどん改善していきます。

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改善に至るプロセスの中で生まれた良い空気感を大切にするとともに、成果を社内外に広く発信することで改善風土のさらなる醸成にもつなげていきたいです。

職場の改善と一人ひとりの成長を 実現するためのポイント

挙がってきた情報やアイデアは大切に!
現場から出てくるいろんなアイデアは大歓迎。「できない」ではなく、できる方法を一緒に考えれば、1人では思いつかなかった改善方法が見えてくるかも……!

必要な費用はちゃんとかけよう!
職場を改善するための費用はしっかりと活用! 費用をかけずに改善を進めていく視点も大切ですが、それだけではできることも限られます。費用対効果の観点も持ちながら、必要な費用は有効に活用し、目に見える成果を上げることで達成感につながります。

数字と共に満足度を追求しよう! 
定量的な効果を見ることももちろん重要。一方でそれだけではなく、自分たちで“スルラク” を実感していくことも大切。多くのメンバーが改善を進め、身体的・心理的負荷の低減を実感することが、次の改善にもつながっていきます。

みんなからのコメント待ってるよ!
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コメント(1)

Bマークさん

工場の現場でこのようなボトムアップでの取り組みがあることに驚き、刺激を受けました。

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