世界No.1に返り咲く

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2026年1月1日付でGlobal CEOに就任した森田 泰博さん。
より大きく、より美しく。2025年10月23日の交代会見の場で掲げたこの言葉には、これまでブリヂストンを築いてきてくださった先輩方の想いを受け継ぎ、もう一度世界No.1に返り咲きたいという想いが込められています。
前任の石橋さんからバトンを託された森田さんに、ご自身のこと、そしてブリヂストンへの想いを伺いました。
本インタビューは前編・後編の全2本でお届けします。(前編はこちら

初心に帰れる大切なもの

入社直後の工場実習で使っていた「工場実習ファイル」は、今も大切にしている宝物。研修中、毎日気づいたことや反省点を書き込んだそのファイルには、現場の先輩方のアドバイスが赤ペンでびっしり書き込まれています。忙しいなかでも丁寧にコメントをくださった先輩方の言葉からブリヂストンが大事にしている価値観が強く伝わってきます。いつ読み返しても初心に戻ることができるものです。
そして、もう1つの宝物が若手の頃にアジア各国でタイヤ販売を担当していた時に使用していた「GUIDE FOR TIRE DAMAGE INSPECTION」です。タイヤの故障事例とその原因・対応方法が記載されたこのマニュアルは、現場に常時携行する必需品です。入社後、マレーシアやベトナムの他、アジアのさまざまな国でタイヤを販売してきましたが、常に技術サービスの方と同行できることはなく、営業担当も技術知識が必要です。あの頃の東南アジアは重荷重で走行している車も多く、お客様の使用状況は無数にあり、その数だけトラブルもある。タイヤの故障の種類も多種多様で、その一つひとつの原因や対応方法が、この1冊に記載されています。
タイヤの故障状況・使用状況を自分の目で見て確認し、お客様に使用環境などをお聞きしながらこの本と照らし合わせ、技術サービスの方と相談しながら改善案をご提案する。無数のパズルを組み合わせるように、納得いただける最善のご提案をすることで、お客様に喜んでいただける。また、お客様が求める性能を実現するテストタイヤが想定通り走った時の喜びなど、かけがえのないやりがいでした。
この本は、こうした経験と成長をもたらしてくれた、私にとって大切な宝物です。

ベトナムのトラックドライバーが教えてくれた“仕事の重さ”

特に印象に残っている国の1つがベトナムです。輸送業界に関わる個人事業主たちにとってトラックは生命線。当時トラック用タイヤを6本交換することは、半年分の給料に相当しました。1本でもバーストすれ
ば1カ月分の給与が吹き飛ぶ。だからこそ、ドライバーの目は驚く程シビアです。少しでもタイヤに問題があれば、そのうわさはすぐに業界全体に広がり、シェアが一気に落ちることもある。逆に良いと認められれば、一気にシェアが跳ね上がることもある。それ程、現場は真剣勝負です。開発・生産・物流・技術・営業といったチームでドライバーの足元を支えていますが、営業という立場でお客様と直接やりとりできることに、この上ないやりがいを感じていました。
そして、長い海外経験で何度も感じたのは、国や文化が違えば考え方も人それぞれだということ。相手の悪いところを見つけ批判するのではなく、互いの良いところを探し合い、「相手の良いところ」と「自分の良いところ」を掛け合わせることで、より大きな力にする。そうすることで最強のチームになれるのだと身をもって実感しました。高校生の頃、まともに英語を話せなかった私が友人たちに受け入れてもらえたのは、「誰よりも車に詳しいやつがいるらしい」と、私の個性や強みに関心を持ってくれたから。私は、“You or Me”ではなく“You and Me”という関係づくりを非常に大切にしています。

BRIDGESTONE TIRE SALES KOREA Ltd.でのタウンホールミーティング

ブリヂストンの仕事は面白いことしかない

私は、ブリヂストンの仕事は面白いことしかないと思っています。まず、私たちはメーカーであり、その根底にはモノづくりがあります。タイヤの出発点は、ゴムの木から樹液を採取する農業です。それに熱を加え、性質を変えるのは化学。そして、工場でゴムを練り上げ、さまざまな部材を組み合わせて形をつくり、加硫してタイヤとして仕上げていくのは工業です。一本のタイヤの裏側に、農業×化学×工業という世界がぎゅっと詰まっている。まずここが、たまらなく面白いところです。
そこに、さらに物流の世界が重なります。工場でつくったタイヤを、どう世界中のお客様のもとに届けるか。例えば、私がまだ就活生だった頃に人事の方から聞いた話ですが、湾岸戦争の際、航路が封鎖され、中近東にタイヤが運べなくなってしまったそうです。そのとき、「港がダメならシベリア鉄道で運ぼうじゃないか」とルートを切り替えて対応した、という話を今でも印象深く覚えています。「海がダメなら、今度は大陸を横断して運ぶ」。そのダイナミックさとスケールの大きさに、心底ワクワクしました。メーカーでありながら、状況に応じて商社のような動きもできる。世界中を舞台に、創る・運ぶ・売るまでを一気通貫で考える。タイヤという黒くて丸いものの中に、これだけ多くの人の知恵と情熱が詰まっている。その一員として働けることを、私は心から楽しんでいます。

より大きく、より美しく

交代会見の場でお話しした、「より大きく、より美しく」という言葉に込めた想いをお伝えしたいと思います。この言葉を初めて口にしたのは、2025年4月の社友会でのこと。
OB・OGの方々からたくさんの温かいお言葉と激励のお言葉を頂き、今いる私たちは大先輩方からどれだけ多くのものを受け取り、継承しているのかを身に染みて実感しました。
先輩方が世界中でNo.1のポジションを築いてこられた一方で、中国のトラック・バス用タイヤ事業など、私自身が関わりながらも成長させられず、撤退という苦渋の決断を迫られた領域もあります。そんな現状への悔しさと申し訳なさに対し、もう一度No.1にして、次の世代につなぎたいという想いを、この言葉に込めました。
「大きく」は、規模もありますが、社会に対する安心感や存在感、「この会社なら安心だ」と思っていただける、どっしりと頼られる器の大きさです。
「美しく」は、品質の良さやかっこよさによって、商品や仕事に美しさがあり、人々が集まってくる状態です。アーティゾン美術館の名画はどれも美しく引き寄せられますが、そのようなイメージです。美しさ故に商品を買いたい、入社したい、一緒に仕事がしたい、と思ってもらえるような会社を目指します。
先輩たちが築き上げ、受け取ったバトンをより大きく、より美しくして、次の世代に渡す。そんな純粋な想いを込めています。

質を伴った成長へ

2031年、ブリヂストン創立100周年に、タイヤ・ゴム業界で世界No.1に返り咲く。
この目標に向けて、中期事業計画(2024-2026)の最終年度である2026年は、まずは質を伴った成長へと確実に移行することが重要です。この達成なくしてNo.1奪回はありません。慌てて、焦って、無理な成長を志向すれば、また再構築フェーズへ後戻りです。その成長に向けた戦略は今までと変わりませんが、3つの重要な要素は次のとおりです。
①魅力的な商品とモノづくり
魅力的な商品を企画し、迅速に開発し、それを競争力のあるコストで生産・提供すること。メーカーとして当たり前のことを当たり前に行うことこそが、成長の原動力です。地道な生産性向上と自動化を含む製造技術向上の両輪で、世界中で戦える原価を目指します。
②グローバルポートフォリオ
地域の軸、財の軸に加え、サステナビリティとバリューチェーンの軸を組み合わせていく。サステナビリティビジネスモデルを中核に据え、創って売る・使う・戻すという、バリューチェーン全体でコア事業、成長事業、探索事業、それぞれの事業を展開し、それらを世界中で最適な組み合わせで成長させていきたいと思います。
③ブランド
私たちの製品は、黒くて丸いものが多く、タイヤはもちろん、ホース断面や免震ゴムも黒くて円筒状です。色や形では差別化しづらいため、ブランドが非常に重要です。今年からフォーミュラEをプラットフォームとして、ブランドを強化します。

共に成長していく

これらを成しえる真の要は人財です。従業員一人ひとりが充実した人生を送ってこそ、ブリヂストンも持続的な成長をすることができます。想像力に富み、活力に溢れる多様な人財と共に成長していくことで、
No.1奪回への歩みを進めていきましょう。

「最高の品質で社会に貢献」

創業者が社是として制定し、現在ブリヂストンの使命として掲げられている「最高の品質で社会に貢献」。この使命を果たすために、4つの心構え「誠実協調」「進取独創」「現物現場」「熟慮断行」を意識して実践することが最も重要です。また、「安全宣言」「品質宣言」「環境宣言」といった企業理念体系を徹底することで、より良い社会づくりに貢献できるブリヂストンであり続けましょう。そして、「最高の品質で社会に貢献」は、その時代に社会から求められていることに応えていくことです。お客様、社会が何を求めているのか、何に困っているのかを常に考えながら、グローバルOne Teamで取り組んでいきましょう。

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コメント(8)

で君さん

You and Meは私も心に響きました

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ふーはさん

早速の組織改革も公報で出ましたね。今後が楽しみです!

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頭のカレーは食べられないさん

10/23の「TOP交代に関するお知らせ(動画配信)」を見させて頂いた時に、力強く「再びNo1になる」と宣言されましたが、BS社員の一員として非常に嬉しく頼もしく思うと共に、私たちもその覚悟が必要だと身が引き締まる思いでした。森田さんが仰る、No1、そして大きくて美しいブリヂストンに向けて私たちを導いて頂き、私たちも必死についていくことで、後輩たちに素晴らしいブリヂストンを残せるように励みたいと思います。

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ひょうさん

とても共感できるお話ばかりでした。これからの変化を楽しみながら持ち場に取り組んでいきたいです。

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たっかーさん

アジア販売時代のお話が印象的でした。新しいものが必ず良いわけでなく、古くても良いもの、美しいものはあるということと思います。
当社が創業以来、大切にしているものを取り戻すことで、”No.1”が実現しているのかと思いました。

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シンチャオさん

是非、動画もよろしくお願いします!生の声を聞けると嬉しいです!

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経理さん

交代式を拝見してから、No.1とは何かと自分なりに色々考えてみましたが、結局は利益(付加価値)ではないかと思います。利益はお客様がブリヂストンのサービスに対して支払ってくださった対価から、ブリヂストンがかけたコストを差し引いた金額であり、私たちの働きの付加価値そのものです。利益が増えれば次への投資も強くできますし、社員、株主に対して還元する原資にもなります。
倫理的に外れたことをしない限り、高利益率のビジネスを追求する事が、私たちをNo.1たらしめるのではないかと思います。
前CEOの石橋さんは事業の整理を断行されました。これは会社全体にとって、難しく辛い決断だったかと思いますが、これも結局出せる利益(付加価値)の問題かと思います。「ブリヂストン」に残った私たちは、同じ事を起こさないようにする責任がありますが、結局のところそれも、高利益のビジネスを追求していくことに尽きるように思います。
具体的にはキーとなるのは以下2つかと思っています。
・既存のビジネスでどこまでお客様のニーズを掴んだ製品、サービスを提供し感動を生み、高収益に繋げる。
→販売現場でお客様のニーズを吸い上げ、高付加価値(お客様が高い対価を払ってよいと思える)となる製品サービスの実現を目指す
・新しくブリヂストンの技術や強みを生かした製品、サービスを収益性の高い分野で提供する。
→医療・半導体・新技術など、社会が高いお金を払ってでも欲しくなるような付加価値の高い分野にブリヂストンの技術を活かせるビジネスのタネを発掘しにいく

販売現場と技術陣がニーズを拾ってきたものを、小粒なプロジェクトとしていくつか立ち上げ、そのプロジェクトに興味のある各分野のメンバーをアサインして小さく進め、少しづつ大きくしていってはどうでしょうか。新体制のもと、One Teamとなって会社の利益を追求できたらいいな、と思います。

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昇龍裂破さん

「“You or Me”ではなく“You and Me”」
心に響きました。僕もこの言葉を胸に仕事していきます!

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