天然ゴムを、未来につなぐために 私たちができること
天然ゴムを安定して調達し続けるためには、農園の管理や品質保持の工夫に加え、さまざまな国や地域の法律や慣習への対応、そして農園で働く人々の暮らしを守ることが不可欠です。
ブリヂストンは、天然ゴムのサプライチェーンにおけるサステナビリティを意識し、自社農園の運営や周辺農家と協働をしています。調達と農園運営の最前線に立つ皆さんにその取り組みを伺いました。
ブリヂストンは、天然ゴムのサプライチェーンにおけるサステナビリティを意識し、自社農園の運営や周辺農家と協働をしています。調達と農園運営の最前線に立つ皆さんにその取り組みを伺いました。
Bridgestone Singapore Pte Ltd
Manager, Strategic Planning
八重垣 里菜さん
天然ゴム調達およびサプライチェーンマネジメントを担当
PT Bridgestone Sumatra Rubber Estate(BSRE)
President Director
伊藤 喜章さん
主にTSR(Technically Specified Rubber)を生産するBSREの運営を統括
PT. Bridgestone Kalimantan Plantation(BSKP)
President Director
﨏田 恒久さん
RSS(Ribbed Smoked Sheet)を生産するBSKPの運営を統括
「自社農園」が、品質を育てていく
Arrow編集部 自社農園を保有している背景や強みについて教えてください。
八重垣さん ブリヂストンはタイヤを主力製品とするメーカーです。より良い製品づくりのために、天然ゴムについてもっと深く知るべきだという判断のもと、1990年代後半から、自社農園の保有を進めていきました。今では、グローバルで4つの拠点を運営し、質の高い天然ゴムを確保するとともに、天然ゴムそのものの研究も行っています。
﨏田さん 自社農園を持つ最大の強みは、タッピング(樹液採取)の段階から品質をコントロールできる点にあります。私が運営するBSKPでは、高品質なタイヤに欠かせないRSSを生産していますが、これはゴムの採取の段階から異物混入を抑え、農園から直接工場へゴムを届けられることで、初めてつくることができる原材料です。
伊藤さん 安定的な天然ゴムの供給を目指し、﨏田さんも私もマネジメントをしています。例えば私が運営するBSREでは、広大な敷地を約700のエリアに分け、エリアごとにパラゴムノキの品種や、植え替え時期をずらして管理しています。一方で、天然ゴムは「農作物」でさまざまなリスクもあります。その1つが「根腐れ病」。この病気にかかると木は腐り、他の木にも感染が広がっていきます。BSREでは、農園内に研究施設も併設しており、この病気の早期発見や予防についても研究しています。農園を自社で保有しているからこそ、こういった研究サイクルも速く回すことができるのです。
八重垣さん ブリヂストンはタイヤを主力製品とするメーカーです。より良い製品づくりのために、天然ゴムについてもっと深く知るべきだという判断のもと、1990年代後半から、自社農園の保有を進めていきました。今では、グローバルで4つの拠点を運営し、質の高い天然ゴムを確保するとともに、天然ゴムそのものの研究も行っています。
﨏田さん 自社農園を持つ最大の強みは、タッピング(樹液採取)の段階から品質をコントロールできる点にあります。私が運営するBSKPでは、高品質なタイヤに欠かせないRSSを生産していますが、これはゴムの採取の段階から異物混入を抑え、農園から直接工場へゴムを届けられることで、初めてつくることができる原材料です。
伊藤さん 安定的な天然ゴムの供給を目指し、﨏田さんも私もマネジメントをしています。例えば私が運営するBSREでは、広大な敷地を約700のエリアに分け、エリアごとにパラゴムノキの品種や、植え替え時期をずらして管理しています。一方で、天然ゴムは「農作物」でさまざまなリスクもあります。その1つが「根腐れ病」。この病気にかかると木は腐り、他の木にも感染が広がっていきます。BSREでは、農園内に研究施設も併設しており、この病気の早期発見や予防についても研究しています。農園を自社で保有しているからこそ、こういった研究サイクルも速く回すことができるのです。
Arrow編集部 天然ゴム調達における課題や対策についてはいかがでしょうか?
﨏田さん 天然ゴム生産は、自然の影響と向き合いながら、対応する必要がある「農業」です。例えば、雨が降れば樹皮が濡れ良質なラテックスが採れないため、タッピングはできません。そのため、雨の日が続けば、ラテックスを全く採ることができず、天然ゴムの供給ができません。そうした場合は、近隣農家からの調達を検討する必要もあります。
伊藤さん 加えて、インドネシアでは、宗教上の礼拝の時間を軸に1日の生活リズムが組み立てられており、農園での仕事のスケジュールも、それを考慮したものにする必要があります。
八重垣さん 世界各国でサステナビリティに対する要求が強まるなか、天然ゴム調達においても「透明性」が重要なテーマになっています。一般的な流通では、農家から天然ゴムを加工する工場に届くまでに複数の仲買人が介在するため、複雑な流通履歴を追っていく必要があります。しかし、自社農園では、ラテックスがどのエリアから採取されたものなのか容易に把握することが可能です。この仕組みは、EU域内および世界で取引・消費される製品が、森林破壊や森林劣化に寄与しないようにすることを目的として定められた欧州森林破壊防止規則(EUDR)への対応においても大きな意味を持ちます。
﨏田さん 天然ゴム生産は、自然の影響と向き合いながら、対応する必要がある「農業」です。例えば、雨が降れば樹皮が濡れ良質なラテックスが採れないため、タッピングはできません。そのため、雨の日が続けば、ラテックスを全く採ることができず、天然ゴムの供給ができません。そうした場合は、近隣農家からの調達を検討する必要もあります。
伊藤さん 加えて、インドネシアでは、宗教上の礼拝の時間を軸に1日の生活リズムが組み立てられており、農園での仕事のスケジュールも、それを考慮したものにする必要があります。
八重垣さん 世界各国でサステナビリティに対する要求が強まるなか、天然ゴム調達においても「透明性」が重要なテーマになっています。一般的な流通では、農家から天然ゴムを加工する工場に届くまでに複数の仲買人が介在するため、複雑な流通履歴を追っていく必要があります。しかし、自社農園では、ラテックスがどのエリアから採取されたものなのか容易に把握することが可能です。この仕組みは、EU域内および世界で取引・消費される製品が、森林破壊や森林劣化に寄与しないようにすることを目的として定められた欧州森林破壊防止規則(EUDR)への対応においても大きな意味を持ちます。
Arrow編集部 ブリヂストンが使う天然ゴムのうち、自社農園による供給では一部しか賄えていないと伺いました。安定的に天然ゴムを調達するための取り組みについてはいかがですか?
八重垣さん おっしゃるとおり、ブリヂストンが製品の原材料として使う天然ゴムの多くは小規模農家様によって生産されたものです。しかし、天然ゴムの価格変動や、労働負担の大きさを背景に、より収益性の良いパーム油などへの転作※1や、日本と同様に、農家の後継者不足も課題です。
※1 同じ農地で違う作物を育てること
伊藤さん ブリヂストンは、自社農園の運営にとどまらず、周辺の小規模農家様を支える取り組みを行っています。効率的なタッピング技術、病害への対応、適切な施肥方法——蓄積した知見の共有や苗木を提供することで、農家の生産性と収益性の向上を後押ししています。こういった積み重ねが、安定した天然ゴム調達と品質を支え、サプライチェーン全体の持続可能性につながると考えています。
八重垣さん おっしゃるとおり、ブリヂストンが製品の原材料として使う天然ゴムの多くは小規模農家様によって生産されたものです。しかし、天然ゴムの価格変動や、労働負担の大きさを背景に、より収益性の良いパーム油などへの転作※1や、日本と同様に、農家の後継者不足も課題です。
※1 同じ農地で違う作物を育てること
伊藤さん ブリヂストンは、自社農園の運営にとどまらず、周辺の小規模農家様を支える取り組みを行っています。効率的なタッピング技術、病害への対応、適切な施肥方法——蓄積した知見の共有や苗木を提供することで、農家の生産性と収益性の向上を後押ししています。こういった積み重ねが、安定した天然ゴム調達と品質を支え、サプライチェーン全体の持続可能性につながると考えています。
Arrow編集部 Arrowの読者の皆様へメッセージをお願いします。
伊藤さん モノづくりの原材料として多くの天然ゴムを使用するブリヂストンは、天然ゴム産業に対して大きな影響力を持っています。天然ゴムの生産は農家を始めとした数多くの方々に支えられています。だからこそ、私たちには、天然ゴムに関わる皆さんの未来を支える責任があります。
﨏田さん 日本では「蛇口をひねればキレイな水が出る」のが当たり前ですが、その水も多くの人の手を介して、私たちが安心して使えるものとなっています。天然ゴムも同様で、当たり前に調達できるものではありません。ブリヂストンのモノづくりも、多くの方々の支えがあってこそ成り立っていることを知っていただけたらうれしいですね。
伊藤さん モノづくりの原材料として多くの天然ゴムを使用するブリヂストンは、天然ゴム産業に対して大きな影響力を持っています。天然ゴムの生産は農家を始めとした数多くの方々に支えられています。だからこそ、私たちには、天然ゴムに関わる皆さんの未来を支える責任があります。
﨏田さん 日本では「蛇口をひねればキレイな水が出る」のが当たり前ですが、その水も多くの人の手を介して、私たちが安心して使えるものとなっています。天然ゴムも同様で、当たり前に調達できるものではありません。ブリヂストンのモノづくりも、多くの方々の支えがあってこそ成り立っていることを知っていただけたらうれしいですね。
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