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EVERTIRE INITIATIVE タイヤの価値が「循環」し続ける未来へ

2022年に開始した、「タイヤがタイヤに生まれ変わる」未来に向けた活動“EVERTIRE INITIATIVE”。2050年までに、タイヤが循環し続ける社会をつくるため、社内外で技術開発を進めています。“EVERTIRE INITIATIVE”の主幹部署である(株)ブリヂストン リサイクル事業準備室の皆さんに、目指すビジョンや取り組みについてお話を伺いました。
精密熱分解は、使用済タイヤを細かく砕いたタイヤチップを無酸素状態で加熱し、分解油やカーボンブラックを抽出するプロセスを指します。ENEOS株式会社様(以下、ENEOS様)や東海カーボン株式会社様(以下、東海カーボン様)などの共創パートナーと、これらの抽出物を再びタイヤの原材料として用いる、ケミカルリサイクルの社会実装に向けて協働しています。
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(株)ブリヂストン
リサイクル事業準備室 リサイクル事業準備課主幹

友森 康彰さん

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(株)ブリヂストン
リサイクル事業準備室 リサイクル事業準備課  

山下 大祐さん

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(株)ブリヂストン
リサイクル事業準備室 リサイクル事業準備課  

島田 真紀子さん

多くの共創パートナーと一緒に

Arrow編集部 改めて“EVERTIRE INITIATIVE”の概要と、皆さんの取り組みについて教えてください。

友森さん タイヤを「創って売る」「使う」、原材料に「戻す」という、ブリヂストンのサステナビリティビジネスモデルの確立に向け、タイヤの水平リサイクル実現を目指すプロジェクトが“EVERTIRE INITIATIVE”です。「タイヤがタイヤに生まれ変わる」こと、これがずっと続いていくように“EVER(いつまでも)”という言葉が入っています。

友森さん

島田さん 私たちの部署は、共創パートナーとの連携における旗振り役を担っています。現在は、ENEOS様や東海カーボン様とそれぞれのプロジェクトを推進していますが、私は東海カーボン様との共創において、プロジェクトへの参画に至るまでのプロセスを担いました。今後は、ブリヂストンのリサイクル事業の全体像を考えながら、事業という観点での利益やメリットも見据えて共創活動を推進していきます。

山下さん 私は「訴求・PR」を担当しています。関連部署と協力し、社内外への情報発信や、各種イベントや勉強会の開催などを通じて、このプロジェクトの周知や理解の促進に取り組んでいます。タイヤをタイヤに生まれ変わらせることは、まだどの企業も実現していません。そのため、ブリヂストンの社内だけでなく、社外のステークホルダーにも活動の意義を理解していただくことが必要です。世界的には今後、人口増加によってタイヤの需要が伸びることが予想されており、それに伴って石油由来の原材料需要も高まると見込まれます。一方で、脱炭素・脱化石燃料への転換の流れが進む現代社会では、タイヤの原材料においても再生可能資源へのシフトが求められています。使用済タイヤからタイヤの原材料をつくり出すことは、持続可能な原材料調達という観点でも大きな意味があることを訴求していきたいです。

山下さん

友森さん 私は「タイヤ回収」のテーマに取り組んでいます。具体的には、リサイクルに用いるタイヤチップの物量を確保すべく、チップ状に処理する業者様などとの連携・調整を担当しています。現在、使用済タイヤはチップ状になった後、サーマルリカバリー(燃料利用)されることが多いのですが、活用先が限られているのも事実です。このプロジェクトを通じて、タイヤが原材料として生まれ変わるのであれば、処理業者様にとっても活用先が増えるので、歓迎する声は多いですね。

取り組みの価値を正しく伝えていくことが大切

Arrow編集部 このプロジェクトの難しい点やこれからのハードルについて教えてください。

山下さん 「タイヤから生まれ変わったタイヤ」がまだ実現していないなかで、この活動をどのように訴求していくか。ブリヂストンが目指す将来の姿から逆算して、「今、何を訴求・PRすべきか」を考えなければならない難しさを感じています。

島田さん そもそもタイヤには、タイヤとしての性能を発揮するためにさまざまな素材や薬品が使われており、これらを分離してリサイクルすること自体がとても困難なことです。そのため、使用済タイヤを原材料に戻すには、多くのプロセスが必要です。どうしてもその分のコストが商品の価格に反映されることになりますが、事業面の活動においてはこの取り組みの価値をお客様に正しく伝え、ご理解いただくことも大切だと思います。

島田さん

友森さん ENEOS様、そして東海カーボン様と進めている2つのプロジェクトは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に採択された実証事業の研究開発テーマとして、国から助成金を頂いて取り組んでいるものです。それぞれのプロジェクトで異なりますが、いずれも数年後に迎える採択期間までに、目標とするレベルを達成し、「全てのバリューチェーンで実証」できている必要があります。今は目指すべき姿に向け、NEDOと合意した達成目標をクリアできていますが、未来の社会情勢や規制の状況などは不透明です。引き続きアンテナを高く張り、取り組みを続けていく必要があります。

みんなで一緒に未来をつくっていくために

Arrow編集部 ブリヂストンの皆さんへのメッセージをお願いします。

島田さん リサイクル活動は社内外のさまざまな方からのご協力がなくては進められません。今も多くの関連部署や共創パートナーと一緒に取り組んでいますが、このArrowの記事を読んでご理解くださった方には、ぜひリサイクルの視点も加えて業務を推進していただきたいです。また、「自分にも何かできることがあるかも?」と思った方は、ぜひ、手を挙げてアイデアをください。ご連絡をお待ちしています!

山下さん 特にお客様との接点となる、販売に携わる皆さんにもこの取り組みを知っていただきたいです。これからの時代はタイヤを買ってくださるお客様に、タイヤの性能や、ブリヂストンのサービスだけでなく、このような活動の価値もご理解いただき、タイヤの購入につなげていただくことが必要です。少しずつでも構いませんので、“EVERTIRE INITIATIVE”の取り組みについて知っていただければと思います。もしも「もっと詳しい話を聞かせて」というご要望がありましたらご一報ください。すぐに説明に伺います!

友森さん 今後はタイヤの「リサイクルのしやすさ」という視点も重要になってくるはずです。バリューチェーン全体で取り組まなくてはいけないプロジェクトだと考えています。また、この取り組みは“共創”なくして“競争”できない分野です。今はブリヂストンが業界の先陣を切っていますが、ブリヂストンだけが良い思いをすることが目指すゴールではありません。みんなで一緒に未来をつくっていくこと。この想いに共感いただけたらうれしいですね。
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コメント(5)

環境ビジネスを主力にする勢いでさん

環境への取り組みってとても意義あると思うんですけど、消費者に訴求し辛いと思います。「うちのタイヤは環境に優しいです」と言っても大抵のお客さんはタイヤ一本買うときに環境のことは考えてないと思います。再利用の技術を確立した暁には、こういうテーマはむしろ政治に訴えかけて、タイヤはこういう処分をしなければならない、というルールを作ってもらってブリヂストンがその処分を一社独占で請け負い、他社をその優位性で打ち負かすくらいの積りで進めていってほしいです。単なる「環境配慮」のイメージ戦略で終わってほしくないです。

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リサイクル事業準備室さん

貴重なご意見ありがとうございます。
おっしゃる通り、現段階では環境への取組みに共感してタイヤを購入するケースは少ないと思います。
一方で、将来の地球環境や資源循環のことを考えると、使用済タイヤをリサイクルする取組みは業界全体でやらなければならないことだと考えています。
その中で、当社が業界をリードしてリサイクル技術を確立し、行政などと連携して業界全体に影響を与えるルールを作ることは、持続可能なビジネスモデルを構築する上で重要です。
1社独占とすることは難しいかもしれませんが、これによって当社は単に環境配慮をアピールするだけでなく、社会価値を提供しながら当社の優位性を獲得していきたいと考えています。
将来に実現に繋がる取組みにするためにも、今回のようにご意見を頂けることは非常に嬉しく思います。今後とも、お力添え頂けたら幸いです。

環境ビジネスを主力にする勢いでさん

リサイクル事業準備室さま
わざわざコメント頂きありがとうございます。
同業に限らず、他企業の環境に関する対応を見ていると、単なるイメージ戦略でしかないように見受けられる取り組みが多い気がしてます。ここでブリヂストンが実益も本質も伴う骨太な環境ビジネスを確立できたら、創業者の事業観も相まって頭一つ抜けた会社になるのでは、と期待しております。困難なことかとは思われますが、ぜひよろしくお願いいたします。私も現在の自分の立場でできることを色々考えて応援しております。

ひろさんさん

困難な取り組みと思いましたが、社会的な意義が大きいと感じました。
こうした、実験的な取り組みや、社外との協創によって、インパクトある成果が出せればと考え、応援したい気持ちがわいてきました。

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応援しています!さん

まさに探索事業のチャレンジがここにありますね!

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