年間50,000件の「見えない負担」をゼロに BSFIのシェアードサービス企画部
ブリヂストングループを支えるブリヂストンファイナンス(以下、BSFI)。お金の動きを記録・報告する「会計」業務や、資金を融通する「金融」業務、給与や福利厚生に関係する「人事労務」業務など、担当分野は多岐にわたる。今回は国内グループ数社の一般会計業務を担当する会計シェアードサービス企画部のメンバーに、部署が果たしている役割や、直近で成し遂げた「現金払い廃止」の取り組みについて話を聞いた。
ブリヂストンファイナンス株式会社 会計シェアードサービス企画部 IC
池田 大樹さん
ブリヂストンファイナンス株式会社 会計シェアードサービス企画部
二宮 健さん
ブリヂストンファイナンス株式会社 会計シェアードサービス企画部
大友 麻衣さん
経費の現金払いをゼロにする挑戦
BSFIの会計シェアードサービス企画部は、国内グループ複数社の一般会計や支払い業務および、決算業務と税務申告の一部を受託しているが、単にそれらの仕事を請け負って対応しているだけではない。
二宮さんは語る。「私たちの使命は『適正な会計処理』、そして『標準化・効率化の推進』です。受託元であるグループ会社の共通業務を効率的に回す標準をつくり、運用する。ここまでを役割として担っています」。
標準化・効率化の面でもグループへ貢献する会計シェアードサービス企画部。そんな彼らが近年取り組んだ大きなプロジェクトが「営業所の現金払い廃止」だ。
池田さんは振り返る。「私たちの委託元の1つであるブリヂストンタイヤソリューションジャパン株式会社(以下、BTSJ)には全国に数多くの営業所がありますが、経費の一部を現金で支払う仕組みが残っていました。過去に現金払い廃止を試みたこともあったのですが、全営業所での廃止実現は難しく、2023年時点で約250拠点、年間約50,000件の現金払いが発生していたのです」。
大友さんも語る。「現金払い自体が悪いわけではないのですが、お金そのものを管理する必要があり、紛失や盗難などのリスクを伴います。加えて、管理・運用面のさまざまな負荷が生じますので、効率化という観点で、キャッシュレスへの切り替えが必要と考えました」。
二宮さんは語る。「私たちの使命は『適正な会計処理』、そして『標準化・効率化の推進』です。受託元であるグループ会社の共通業務を効率的に回す標準をつくり、運用する。ここまでを役割として担っています」。
標準化・効率化の面でもグループへ貢献する会計シェアードサービス企画部。そんな彼らが近年取り組んだ大きなプロジェクトが「営業所の現金払い廃止」だ。
池田さんは振り返る。「私たちの委託元の1つであるブリヂストンタイヤソリューションジャパン株式会社(以下、BTSJ)には全国に数多くの営業所がありますが、経費の一部を現金で支払う仕組みが残っていました。過去に現金払い廃止を試みたこともあったのですが、全営業所での廃止実現は難しく、2023年時点で約250拠点、年間約50,000件の現金払いが発生していたのです」。
大友さんも語る。「現金払い自体が悪いわけではないのですが、お金そのものを管理する必要があり、紛失や盗難などのリスクを伴います。加えて、管理・運用面のさまざまな負荷が生じますので、効率化という観点で、キャッシュレスへの切り替えが必要と考えました」。
かくして、「BTSJ営業所における経費の現金払いをなくす」という目標に向け、会計シェアードサービス企画部の挑戦が始まった。
「現場ファースト」を意識しつつ短期決戦でやり切る
何をいつまでに達成するべきか?プロジェクトのゴールを設定した当時について、メンバーは振り返る。
「約250の営業所における現金払いの件数はもちろん、そのための預金残高と口座の数、全てを『ゼロ』にすると決めました。仮に現金払いの件数をゼロにできても、口座などが残ったままでは、名義人の変更対応といった『見えない負債』となる業務が残り続けます。ガバナンス面のリスクをなくす意味でも、全てをゼロにすることにこだわりました」(二宮さん)。
「大がかりなプロジェクトではあるものの、2024年初のスタート後、2025年末の2年間で全てを終わらせることもポイントでした。ダラダラと時間をかけると、担当者の入れ替わりや、取り組みへのモチベーション低下といったマイナスの面も出てきてしまいます。大変ですが、短期決戦でやり切るんだと決めました」(池田さん)。
「約250の営業所における現金払いの件数はもちろん、そのための預金残高と口座の数、全てを『ゼロ』にすると決めました。仮に現金払いの件数をゼロにできても、口座などが残ったままでは、名義人の変更対応といった『見えない負債』となる業務が残り続けます。ガバナンス面のリスクをなくす意味でも、全てをゼロにすることにこだわりました」(二宮さん)。
「大がかりなプロジェクトではあるものの、2024年初のスタート後、2025年末の2年間で全てを終わらせることもポイントでした。ダラダラと時間をかけると、担当者の入れ替わりや、取り組みへのモチベーション低下といったマイナスの面も出てきてしまいます。大変ですが、短期決戦でやり切るんだと決めました」(池田さん)。
「一方で、強引に取り組みを進めて、営業所の皆さんに負担が残る結果になることは絶対にNGです。限られた時間で、現場の負担を抑え、現場の目線で考えて、フォロー体制を整える。『現場ファースト』をキーワードに進めていきました」(大友さん)。
良いシステムを着実に浸透させるために
2025年末のプロジェクト完了に向け、まずは対応項目の洗い出しと、推進体制の構築を進めていったメンバー。やるべきことは数多くあったが「現場ファースト」を意識し、1つずつ進めていった。
「現金払い廃止の実現に必要なのが、立替精算をするためのシステムです。負担分の経費を現金で手渡しするのではなく、ご本人の口座へ振り込むためのものですが、現場の皆さんが混乱する煩雑なものは許されません。現場が使い慣れているシステムをベースにしつつ、立替精算に加え、仮払いにも対応できるような改良も加えました」(二宮さん)。
「加えて、たとえ良いシステムであっても、各現場へ浸透させなければ意味がありません。『わかりやすいマニュアル』と『幅広い周知』の2点は特に重要と考え、注力して取り組みました。前者については、システム操作画面を見せつつ、それを解説する音声を加えました。利用者である皆さんが好きな時に、何度でも操作方法を確認できる点が好評でした。また、後者については、BTSJの社内ポータルサイト内に、目を引くバナーで特設サイトを設置。それをクリックした後に表示される説明ページも、直感的に理解しやすい構成にし、新システムの浸透を図りました」(大友さん)。
「現金払い廃止の実現に必要なのが、立替精算をするためのシステムです。負担分の経費を現金で手渡しするのではなく、ご本人の口座へ振り込むためのものですが、現場の皆さんが混乱する煩雑なものは許されません。現場が使い慣れているシステムをベースにしつつ、立替精算に加え、仮払いにも対応できるような改良も加えました」(二宮さん)。
「加えて、たとえ良いシステムであっても、各現場へ浸透させなければ意味がありません。『わかりやすいマニュアル』と『幅広い周知』の2点は特に重要と考え、注力して取り組みました。前者については、システム操作画面を見せつつ、それを解説する音声を加えました。利用者である皆さんが好きな時に、何度でも操作方法を確認できる点が好評でした。また、後者については、BTSJの社内ポータルサイト内に、目を引くバナーで特設サイトを設置。それをクリックした後に表示される説明ページも、直感的に理解しやすい構成にし、新システムの浸透を図りました」(大友さん)。
各営業所の利用者へ新システムを浸透させるため、「現場ファースト」を体現し、取り組みを進めていったメンバー。一方、その裏側で別のハードルにも直面していた。
プロジェクト終盤のハードルも、諦めない姿勢で乗り越える
従来、経費の立替が行われていた項目は多岐にわたっていたが、請求書払いや口座振替への切り替えが可能な支払については個別に対応し、現金払いを1件1件削減していった。一方で、一部の「公共料金」については、キャッシュレスへの切り替えが難しかったという。
「各営業所でさまざまなケースがありますが、請求書払いや、地場の地銀口座でしか口座振替できない公共料金も数多くあり、現金払い廃止への大きなハードルでした。そこで注目したのが『ゆうちょ口座』の活用です」(二宮さん)。
「『ゆうちょ口座』であれば、それらの公共料金への口座振替ができることがわかったのです。しかし、口座の紐づけだけでは経理処理するための情報収集が困難であり、適正な会計処理ができなくなる懸念がありました。そこで、各営業所と私たち本社が直接やり取りできる「Teams」と、データ集計に強みのある「Forms」を組み合わせ、新たなスキームを構築。工数を抑えながらも会計処理の精度を維持し、各営業所が個別に振替できない公共料金についても対応することができました」(池田さん)。
かくして現金で立て替えていた項目について、全てキャッシュレスへ切り替えることに成功。そして最後の仕上げとして残ったのが、各営業所の口座解約だ。
「各営業所で管理している立替用の口座の数まで『ゼロ』にすることがゴールでしたが、ここにも難点がありました。営業所によっては、メガバンクではなく、地場の地銀口座を利用していたのですが、解約時に来店を求められる銀行が多くあったのです。洗い出しを行った結果、来店解約が前提の口座数は100以上。2025年末のプロジェクト完了に向けて、これが最後のハードルでした」(大友さん)。
「プロジェクトのゴールを伸ばす訳にはいきません。諦めず、各地方銀行に個別に問い合わせ、粘り強く交渉した結果、9割以上の口座は、来店せずに郵送等の手続きなどで解約する調整ができました。前提条件を鵜吞みにせず、『現場ファースト』を意識することで、この課題もクリアできたと思っています」(二宮さん)。
「各営業所でさまざまなケースがありますが、請求書払いや、地場の地銀口座でしか口座振替できない公共料金も数多くあり、現金払い廃止への大きなハードルでした。そこで注目したのが『ゆうちょ口座』の活用です」(二宮さん)。
「『ゆうちょ口座』であれば、それらの公共料金への口座振替ができることがわかったのです。しかし、口座の紐づけだけでは経理処理するための情報収集が困難であり、適正な会計処理ができなくなる懸念がありました。そこで、各営業所と私たち本社が直接やり取りできる「Teams」と、データ集計に強みのある「Forms」を組み合わせ、新たなスキームを構築。工数を抑えながらも会計処理の精度を維持し、各営業所が個別に振替できない公共料金についても対応することができました」(池田さん)。
かくして現金で立て替えていた項目について、全てキャッシュレスへ切り替えることに成功。そして最後の仕上げとして残ったのが、各営業所の口座解約だ。
「各営業所で管理している立替用の口座の数まで『ゼロ』にすることがゴールでしたが、ここにも難点がありました。営業所によっては、メガバンクではなく、地場の地銀口座を利用していたのですが、解約時に来店を求められる銀行が多くあったのです。洗い出しを行った結果、来店解約が前提の口座数は100以上。2025年末のプロジェクト完了に向けて、これが最後のハードルでした」(大友さん)。
「プロジェクトのゴールを伸ばす訳にはいきません。諦めず、各地方銀行に個別に問い合わせ、粘り強く交渉した結果、9割以上の口座は、来店せずに郵送等の手続きなどで解約する調整ができました。前提条件を鵜吞みにせず、『現場ファースト』を意識することで、この課題もクリアできたと思っています」(二宮さん)。
これからも業務の「見えない負担」を仕組みで解決していく
最初に設定した2025年末のプロジェクト完了を見事に成し遂げた会計シェアードサービス企画部。この取り組みにより、BTSJの各営業所とBSFIを合わせて、年間のトータルで約12,000人時※1の削減を見込んでいる。そして一連の取り組みは「2026年 第27回 ブリヂストンJリージョンTQM大会」でもROIC賞※2を受賞。偉業を成し遂げたメンバーは誇らしげに語る。
※1 工数を表す単位。1人で1時間かかる作業工数=1人時
※2 「稼ぐ力」を示すROICの向上に特に卓越した成果が見られ事例が選出される
「このプロジェクトを完遂できたのは、各営業所の皆様にご協力いただいたおかげです。この場を借りて御礼申し上げます。引き続き『現場ファースト』の気持ちを忘れずに、皆さんと一緒に、改善を進めていければと思います」(大友さん)。
「今回の取り組みで削減できた時間を活用し、次の標準化・効率化に取り組むことができると思っています。これからもブリヂストングループに貢献していけるよう、頑張りたいです」(二宮さん)。
「業務の『見えない負担』を仕組みで解決するのが私たちの重要な役割です。引き続き優先順位をつけながら、目の前のことに一つずつ取り組んでいきたいと思います」(池田さん)。
※1 工数を表す単位。1人で1時間かかる作業工数=1人時
※2 「稼ぐ力」を示すROICの向上に特に卓越した成果が見られ事例が選出される
「このプロジェクトを完遂できたのは、各営業所の皆様にご協力いただいたおかげです。この場を借りて御礼申し上げます。引き続き『現場ファースト』の気持ちを忘れずに、皆さんと一緒に、改善を進めていければと思います」(大友さん)。
「今回の取り組みで削減できた時間を活用し、次の標準化・効率化に取り組むことができると思っています。これからもブリヂストングループに貢献していけるよう、頑張りたいです」(二宮さん)。
「業務の『見えない負担』を仕組みで解決するのが私たちの重要な役割です。引き続き優先順位をつけながら、目の前のことに一つずつ取り組んでいきたいと思います」(池田さん)。
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