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現物現場で原因を探る SCMの改善を目指す挑戦

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ブリヂストンには創業期から困難なことに「挑戦」し、「品質にこだわり」、「現物現場」で「お客様の困りごとに寄り添う」というDNAが受け継がれ、さまざまな立場や持ち場で日々、挑戦を続ける多くの仲間達がいます。(株)ブリヂストンでは、挑戦意欲のある従業員の皆さんに挑戦の機会を提供したいという思いから、自分で選んだテーマに対し、課題や仮説の現場での検証、改善、解決に100日間取り組める人事制度「現場100日チャレンジプログラム」(以下、現場100日チャレンジ)が2023年より始まりました。今回は、「北米冬タイヤ販売の在庫・オーダー管理プロセス調査と改善」に取り組んだ、GタイヤSCMロジスティクス部 BSAM・BSAPICタイヤ輸出課の土岐 三冬さんにお話を伺いました。

正確な情報を関連部署につなぐことで調整がスムーズに

Arrow編集部 現場100日チャレンジに参加された当時の、土岐さんの担当業務について教えてください。

土岐さん グローバルでのタイヤサプライチェーンマネジメント(以下、SCM)業務です。海外のお客様からタイヤのオーダーを受け、日本国内の工場にそのオーダーをつなぎ、タイヤを生産、輸出、納品し、代金を頂くまでのプロセスのマネジメントに携わっています。商品がお客様のもとへ届いたか、費用は受領できたかといった各プロセスでのフォローや確認、価格設定や採算確認なども行う、営業に近い役割です。

Arrow編集部 海外のお客様からのオーダー受領から納品まで、見る範囲の広いお仕事ですね。現場100日チャレンジに挑戦したいと考えたきっかけは何だったのでしょうか?

土岐さん 当時、私は主にアメリカとカナダ向けの輸出を担当していましたが、日本国内の生産や物流を担当している部署に、現地の景気や需要などの情報を接続しながら調整を行う必要がありました。その中で北米向けの冬タイヤについては、BRIDGESTONE AMERICAS TIRE OPERATIONS, LLC(以下、BATO)からオーダーを受けていますが、突発かつ大量のオーダーがしばしば発生するものの、その詳細な背景がわからず、関連部署へ事情を説明しきれないことが大きな困りごとでした。理由がわからないままでは、関連部署の皆さんも腹落ちして対応することができません。現物現場で詳細を調べたいと思ったことがきっかけです。

土岐さん

Face to Faceと現物現場で見えてきた現地の事情

Arrow編集部 北米からの冬タイヤの突発発注について、その背景を正しく理解したいと考えたんですね。実際に現地ではどのようなことに取り組まれたのでしょうか?

土岐さん 渡米後は、主にナッシュビルのオフィスで、BATOやBRIDGESTONE CANADA INC. (以下、BSCA)の物流や販売の担当者などにお時間を頂き、ヒアリングを中心とした情報収集とその整理を進めました。日本からリモートでコミュニケーションをする場合とは異なり、時差を気にせず同じ場所での会話を通じてFace to Faceの重要性を肌で感じることができました。密なコミュニケーションを取ることにより現地の状況を正確に把握することができました。また、現地の皆さんの計らいで、製品倉庫や小売店へ訪問する機会も頂き、現物現場で実情を見聞きできたことは大きな経験です。

注文~納品までのフロー。土岐さんは現場100日チャレンジ中、BATOやBSCAの関係者とのコミュニケーションに加え、製品倉庫や小売店にも訪問

土岐さんが訪問したカナダ オンタリオ州トロントにあるBATOの倉庫(左)と小売店(右)

Arrow編集部 Face to Faceでの密なコミュニケーションや現物現場での確認を通じ、当初想定していた調査を進めていったんですね。収穫はいかがでしたか?

土岐さん まず、日本に送付されるオーダーがどのようにつくられるか、その全体像を理解することができました。また、訪米する前に問題と認識していた冬タイヤの突発発注については、日頃やりとりのない販売担当者ともコミュニケーションを取って冬タイヤの販売スケジュールを調査し、北米側での販売計画の振れがどのタイミングで起こりやすいのかを明らかにすることができました。これによって、日本へのオーダーの量やトレンドが変化するタイミングを事前に予測できるようになり、帰国後には関連部署にもそれらの背景を接続することで調整は格段にスムーズになりました。このように、北米での販売を含めた全体の状況を理解し、さらにはSCMの肝である適正な在庫管理に向けて、BATO側と冬タイヤの在庫情報見える化などの仕組みを強化できたことが収穫です。

文化や考え方を学ぶだけでなく、現地のニーズにも対応する機会に

Arrow編集部 仕組みの面でも改善を図ることができたんですね。他にチャレンジ期間中に得られた学びや気づきなどはありますか?

土岐さん 実は私にとって、海外渡航はプライベートも含めて今回の現場100日チャレンジが初めてでした。まさにパスポートを取得することからのスタートだったのですが、アメリカに行って、現地の文化や考え方など、たくさんの気づきを得ることができました。特に印象に残っているのは、アメリカでの役割分担の意識の高さです。現地の皆さんは、物事の目的を理解して、納得してくれれば、本当によく協力してくれます。これに気づいてからは、ミーティングごとに「開催する目的」、「双方で合意したいこと」をしっかりと事前共有したうえで、コミュニケーションをするように心掛けました。

Arrow編集部 ご自身の人生初の海外渡航が現場100日チャレンジだったんですね…!まさに大きなチャレンジになりましたが、文化や考え方の違いを学ぶ貴重な機会になったということですね。

土岐さん 思い切って手を挙げてよかったです。他にも日本側の困りごとだけではなく、アメリカ側のニーズに対応する機会にもなりました。BATOでは兼ねてから、日本からの輸入品を、彼らの倉庫を経由せずに、お客様の倉庫に直送する、「直送トライアル」を構想していたのですが、現場100日チャレンジがきっかけとなり、私がBATOとの調整役を担うことになりました。この施策が実現できれば輸送費用や倉庫での管理コストの削減にもつながります。ビジネスコストダウンと価値創造を両立するグローバルサプライチェーン物流改革「B-Direct」を体現する施策です。2024年の春からトライアルをスタートし、今まさに効果の見極めを進めています。

土岐さんがBSAMと調整を行いスタートした「直送トライアル」

学んだことを生かし SCMのプロフェッショナルを目指したい

Arrow編集部 アメリカ側のニーズにも対応されたんですね。とても有意義なチャレンジとなったようですが、最後に読者の皆さんに伝えたいことや今後の抱負などがあればお願いします。

土岐さん まずは、今回の現場100日チャレンジに協力してくれた全ての皆さんにこの場をお借りして御礼申し上げます。特に送り出してくださった上司には感謝の気持ちしかありません。初めての海外で不安が大きかったのですが、毎日、進捗フォローのミーティングを設けていただき、業務の面だけではなく、精神面でも大きな支えとなりました。また、基本的なことですが、問題に対する原因を仮定し、現物現場でそれを特定し、改善を目指していく。このプロセスの重要性を再認識できた100日間でした。
今回のチャレンジのさまざまな学びを将来に生かし、ゆくゆくは世界各国の拠点のニーズを理解したうえで最適なSCMの提案を行うことができる、SCMのプロフェッショナルを目指していきたいです!

Arrow編集部 SCMのプロフェッショナルを目指す土岐さんの挑戦、これからも応援しています!
【(株)ブリヂストン HRXカルチャーチェンジ・DE&I推進部より】
(株)ブリヂストンでは 2023年4月以降、計22名の開発企画職の皆さんが、海外含むさまざまな現場での100日チャレンジに取り組んでいます。普段から自分のやりたいこと、いっしょに働く仲間がやりたいと考えていることを職場内で共有し合い、さまざまな階層で現物現場での挑戦が生まれるようにしていくためにも、普段から、挑戦しようとしている仲間を後押しする気持ちを持つことが大切だと考えています。日々の業務において認識はしているものの、なかなか打破できないと感じている課題をお持ちの方も多くいらっしゃると思います。100日間、現場で集中して課題や仮説の現場での検証、改善、解決させたいという熱い想いをお持ちの方、ぜひ奮ってご応募ください!次回のプログラム募集開始は今春(3~4月頃)を予定しています! 

みんなからのコメント待ってるよ!
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コメント(3)

Earthenwareさん

緻密なプランニング、丁寧なコミュニケーション、きめ細かなフォローをはじめとした業務品質の高さを示すことで、BSAMに対してもBSJ HQから来た日本人としてのValueを見せていただいたものと思料します。私もビジネス体質の強化に向けて様々な施策に取り組んでいこうと思います。

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nipponia nipponさん

初めての海外で不安も大きかったと思いますが、自ら手を挙げて挑戦し、しっかりと結果を残している姿に感動しました。私も色々なことに挑戦していきたいと思います。

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Burton74さん

グローバルな困りごとをグローバルで解決していく発想が、素晴らしいです。国内も改善頑張らねば・・・・。

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