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「魅力的な商品とモノづくり」を実現する「素材」

2031年、ブリヂストン創立100周年までに、タイヤ・ゴム業界で世界No.1に返り咲く。
——この実現に向けた重要な課題の1つが、「魅力的な商品とモノづくり」。

今回は、その出発点となる「素材」について、(株)ブリヂストン 執行役 CIO (Chief Innovation Officer)の草野 智弘さんにお話を伺いました。
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(株)ブリヂストン 
執行役 CIO(Chief Innovation Officer)

草野 智弘さん

素材の選定から量産条件までを一貫して考える

CIOとして私が担うのは、「素材」を中心に先端技術開発からイノベーションを創出し、次の「魅力的な商品」を生み出し続けることです。タイヤが路面に接する面積は、乗用車用タイヤ1本当たりでわずか手のひら程度。その限られた接地面で「支える」「止まる」「曲がる」というタイヤの基本性能である安心・安全とともに、グリップ・低燃費・耐摩耗といった魅力的性能を実現しています。こうした狙った性能をお客様の使用環境に応じて発揮させるため、素材の選定や設計から、配合、加工、そして量産条件までを一貫して考えることが不可欠です。

設計者の「意思」を込めた素材で、狙った性能を実現する

タイヤはさまざまな素材からつくられています。ここでいう「素材」とは、単なる「原材料」とは異なります。「原材料」は一般的に手に入るものですが、「素材」は設計者の思いや性能へのこだわりが込められた、タイヤのために最適化されたものです。ブリヂストンでは、こうした素材を生み出し、使いこなすことで狙った性能を実現しています。

例えば、一般的な乗用車用タイヤの場合、重量比で見ると、天然ゴム・合成ゴムなどのポリマーがおよそ半分を占めています。次いで、カーボンブラックやシリカといったフィラー(充填剤)と他の薬品類が3割程、残りの約2割が鋼材や有機繊維です。ブリヂストンでは、タイヤで実現したい性能から逆算し、それぞれの素材に必要な機能を持たせています。

既存の原材料を選んで組み合わせるだけでは、狙う性能に届かないこともあります。その場合はポリマーなどを分子レベルから新たに設計したり、フィラーや薬品類との組み合わせや配合量、混ぜ方などを調整したりすることで、狙った性能へつなげていきます。

また、忘れてはいけないのが、ある素材が優れた物性を示したとしても、それを用いるだけでは「魅力的な商品」にはならないということ。お客様の使用環境で、タイヤとして狙い通りの性能を発揮することはもちろん必要ですが、製造段階において、工場で安定して生産できることも大切です。素材だけでなく、製品になるまでのプロセスを考えることが重要です。

長年の素材開発で培ってきた「見る」「解く」「操る」技術

世の中にない素材を生み出し、タイヤ性能の差別化につなげる。そのために必要な技術を、私たちは「見る」「解く」「操る」という3つの言葉で捉えています。まず、素材の中で何が起きているのかを分析する「見る」技術です。そこで見えた現象を、計算やシミュレーション、経験などを基にメカニズムに落とし込むのが「解く」技術。そして、得られた知見を具現化し、実際のモノにするのが「操る」技術です。外部パートナーと連携しながら、これら3つの技術を駆使して素材を開発し、タイヤに搭載することで差別化を図っています。

この技術力を支えているのは、天然ゴム、合成ゴム、カーボンブラック、スチールコードなど、素材そのものを長年にわたり扱い、内製してきた歴史です。素材がどのようにつくられるのかを自ら理解しているからこそ、コンセプトや分子設計の段階からパートナーと議論し、実現に向けて共に取り組むことができます。素材の中で起きていることを「見て」、そのメカニズムを「解き」、素材として具現化し、タイヤへの搭載まで「操る」。この3つの確かな技術が、ブリヂストンの素材開発における競争優位性だと考えています。

パートナーとの共創で、Win-Winの関係をつくり上げる

一方で、私たちが扱う素材の9割以上は、外部のパートナーから供給いただいているので、パートナーとの関係なくして私たちの事業は成り立ちません。なかでも、タイヤ性能の差別化につながる新しい素材は、パートナーと一緒につくり上げていく必要があります。私たちは素材のつくり方やそれらがタイヤの内部でどう機能するかに加え、素材そのものを安定生産する難しさも知っています。そのため、パートナーへ仕様を伝えて待つだけでなく、狙う機能やメカニズムを共有し、「こう設計すれば、次の性能向上へ近付けるのではないか」とブリヂストン側からも提案しています。

良い素材を競争力のあるコストで供給していただき、それを多くの製品へ展開することで、パートナーの事業にも成果を還元していく。ブリヂストンと取り組むことでパートナーにも学びや成長の機会が生まれ、双方の競争力が高まるWin-Winの関係をつくることが、今後一層重要になります。

領域を越えた視点で素材や技術の可能性を探り続ける

私たちは「環境宣言」の方針のもと、2050年までに、事業で使用する原材料を100%サステナブルマテリアル化するという環境長期目標を掲げています。しかし、単に「サステナブルである」というだけでは、お客様にご購入いただくことはできません。環境性能も1つの価値ですが、他の性能やコストも含め、お客様にとって「魅力的な商品」でなければならないのです。

そして、素材の可能性を製品へつなげるのは、素材を開発する部門だけの仕事ではありません。素材をどのように使い、設計し、生産し、調達するのか。素材という視点から、それぞれの仕事を改めて見つめることで、新しい可能性が見えてくるはずです。タイヤという領域だけにとらわれず、「何が世の中の役に立つか」という視点で、素材や技術の可能性を広く探ってほしいと思います。

その探索はイノベーションであり、うまくいかないことも当然あります。ただ、お客様に届く商品そのものの品質に対しては絶対に失敗が許されませんが、技術を検討している段階では、いくら失敗してもよいのです。皆さんには、失敗を恐れず挑戦してほしいと思います。一緒に頑張っていきましょう。

アンケートへのご協力をお願いいたします。ご回答内容は今後の記事制作に活用させていただきます。


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