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「素材をつくる」だけでなく、「将来も使い続けられる状態をつくる」

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ブリヂストンの主力製品であるタイヤ。このタイヤにはさまざまな素材が使われていますが、優れた素材ができても、必要な量を持続的に安定して確保できなければ、製品をつくって世の中へ届け続けることはできません。

さらに現在では、性能や価格だけでなく、多様な観点への配慮が求められています。将来にわたり持続的に素材を使い続けられるよう、ブリヂストンがどのようなことに取り組んでいるのか、調達を担当する松本さんと、サステナビリティを担当する伊東さんにお話を伺いました。
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(株)ブリヂストン
調達・内製事業統括部門 調達戦略企画部長

松本 慎也さん

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(株)ブリヂストン
サステナビリティ戦略統括部門 ソーシャルバリュー・エンゲージメント企画部長

伊東 亜弥子さん

求められるのは性能やコストだけではない

松本さん 調達のミッションは、必要な原材料を確保することだけではありません。お客様に選ばれる製品を将来にわたって提供し続けるために、品質、コスト、供給をバランスよく保ち、お客様に価値を提供する役割の一端も担っています。加えて、将来の製品や技術の方向を早い段階で理解し、必要となる原材料の供給量や量産設備、物流までを見据えながら、事業として成立させる道筋をつくることも重要な役割です。近年は、こうした判断の中で、従来の品質やコスト、供給に加え、新たな視点も欠かせない要素となっています。

伊東さん それが、CO₂排出量や資源循環の観点、自然への影響や人権といった視点ですね。ブリヂストンは、2050年に100%サステナブルマテリアル化、2030年までに使用原材料に占める再生資源・再生可能資源比率40%を目指しています。環境負荷を抑えながら、製品の性能や安定供給、コストの抑制も成立させる。それら全てを1つの条件として考えることが重要です。

松本さん 調達の立場でも、まさにその「同時成立」が大きなテーマです。例えば、CO₂排出量が少ない素材でも、必要な量を確保できなければ、継続して使うことはできません。また、十分な量があってもタイヤの生産性に影響が出るようであれば、採用には課題が残ります。だからこそ、開発、製造、調達だけでなく、伊東さんのサステナビリティ戦略統括部門も一緒になって、どの素材を、どの製品から、どの順序で切り替えるかを考えています。

伊東さん 将来にわたって社会へ価値を届け続けられる状態をつくることが、私たちに求められているサステナビリティです。ステークホルダーからの質問も、「会社全体でCO₂排出量をどれだけ減らしたか」というものに加え、「この製品には何が使われ、その素材はどこで、どのようにつくられたか」という内容にまで広がってきています。今や、素材の選択そのものが、信頼や選ばれる理由につながっているのです。

伊東さん

未来の供給を、パートナーと一緒に設計していく

松本さん 新しい素材を量産するためには、供給元のパートナーにおいても研究開発や設備投資、人財育成が必要です。ブリヂストンが将来、どの方向へ進み、どの素材を、どれくらい必要とするのかが見えれば、相手も先を見据えて投資を判断できます。そこで現在は、仕様・量・価格に加え、なぜその素材が必要なのか、どの製品や事業へつなげたいのか、中期的にどの程度の需要を見込むのかまで、共有できる範囲で早めに伝えています。

伊東さん 再生資源・再生可能資源を用いた素材への転換も、早い段階からの共有と共創が鍵になります。他にも使用済タイヤを再びタイヤの原材料に戻す技術など、実現にはさまざまな領域のパートナーとの連携が不可欠です。ブリヂストンの目標を伝えるとともに、相手の技術や事業計画、抱えている課題を理解し、双方が継続できる形を一緒につくる必要があります。

松本さん 例えば、パートナーが素材を生産する拠点や製造工程、輸送方法についてもブリヂストンが一緒になって見直すことで生産性が高められ、CO₂排出量とコストの双方を抑えることができる場合もあります。相手の利益を削るのではなく、バリューチェーン全体の無駄を減らし、双方に利点が生まれる方法を探す。調達の役割は、条件を交渉する仕事から、パートナーと共に将来の安定供給を設計する仕事へと広がっています。

素材の現場を知っているブリヂストンだから、具体的な対話ができる

松本さん パートナーと具体的な方法を考える上で活きているのが、ブリヂストン自身も素材を扱ってきた経験です。代表的な例が天然ゴムです。ブリヂストンは、自社農園や天然ゴム加工の現場を通じて、ゴムの木の育成や樹液の採取、品質管理など、現場が抱える難しさを経験してきました。だからこそ、こちらから一方的に確認を求めるのではなく、現地の方々と一緒に最適な方法を考えることができます。例えば、木を傷めにくい適切な採取方法を現地の農家さんにも共有し、1本の木から長く安定して樹液を採れるよう支援しています。ブリヂストンにとっての安定調達だけでなく、森林の保全や、農家の皆さんの生産性の改善、そしてそれによる生活面での向上も目指しています。

伊東さん こうした現場の知見を持ち寄る関係は、他の素材でも同じです。ブリヂストンは、それぞれの素材がどこで、どう使われ、性能や品質にどのように影響するかを知っています。一方、パートナーは、素材の製造方法や、ブリヂストンの製品以外の分野で培った知見を持っています。2つの視点が重なることで、一方からは見えなかった改善案が生まれます。

松本さん その改善案を調達が受け取り、開発や製造へ伝え、ブリヂストン側のやり方も変えていく。品質を保ちながら、無駄なプロセスやエネルギー消費量を減らせる可能性が広がっています。

松本さん

信頼の積み重ねが、次の共創を支える

松本さん 素材の安定供給は、契約だけでなく、日頃から積み重ねてきた信頼関係によって支えられています。災害や国際情勢の変化といった予期せぬ事態で供給が難しくなった際にも、互いに情報を共有し合い、代替案を考え、最後まで責任を持って対応できるのは、日常的にお互いが約束を守り、相手だけに負担を強いず、困ったときには一緒に解決策を考えてきたからです。こうした信頼の積み重ねが、次の共創へと踏み込む土台になります。

伊東さん 確かな信頼関係があるからこそ、実現のハードルが高い新しい素材開発や、サステナビリティ、人権、トレーサビリティといった難しいテーマにも踏み込んで話し合うことができます。社会課題が複雑化するなか、早い段階から方向性や課題を共有し、パートナーの知見を採り入れることが、解決への選択肢を広げます。内製で培った技術力と、パートナーの皆さんと育ててきた絆。その両方が、共創の質を高めています。

素材の向こう側を想像し、より良い方向へ変えていく

伊東さん ブリヂストンが年間に扱う原材料は、300万トンを超える膨大な量です。規模が大きいので、例えばそのうちの1%を、サステナブルなものや環境負荷の小さいものへ変えるだけで、大きなインパクトになります。

松本さん ブリヂストンが使うたくさんの原材料の向こう側には、多くの人と現場があります。研究所で素材を生み出す人、工場で生産する人、世界各地から原材料を確保する人、素材の由来を確かめる人、そして素材を供給するパートナー。その全てがつながり、ブリヂストンの製品が生まれます。素材の向こう側まで想像し、より良い方法へ変えていくことが、これからのモノづくりには必要です。

伊東さん ただ「素材をつくる」だけでなく、「将来も使い続けられる状態をつくる」。内製を通じて蓄積した素材への理解と、社内外のパートナーとの信頼関係を活かし、社会価値と顧客価値を1つにつないでいきます。素材から魅力をつくり、素材から未来を変える。その力を、ブリヂストン全体の競争力へ育てていきたいと考えています。

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