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お客様の生産性・経済価値の最大化に貢献する航空ソリューション

24MBPでは、「断トツ商品」とデジタルデータの活用を通じて、ブリヂストン流のモビリティエコシステムの構築を目指しています。ビジネスパートナーとの共創をベースに、リアルとデジタルを融合させ、価値を創造します。中でも航空ソリューションは、ソリューション事業の戦略起点という位置づけです。新品・リトレッドタイヤの提供に加えて、お客様とブリヂストンが保有するさまざまな知見とデータを活用し、航空会社におけるオペレーションの生産性・経済価値の最大化、更にはサステナビリティに貢献しています。24MBPにおける航空ソリューションの目指す姿について、バリューチェーンの各機能を担う皆さんにお話を伺いました。

(左から)
(株)ブリヂストン
航空タイヤ・ソリューション販売企画部 企画・管理課 橋本 顕さん、
航空タイヤ・ソリューション販売企画部 業務課 高津戸 理恵さん、
航空タイヤ・ソリューション推進部 企画課 松浦 陽香さん、
デジタルAI・IoT企画課 花田 龍さん、航空機タイヤ設計第2課 陳野 和貴さん、
生産財成型標準改革課長 佐々木 直さん

タイヤの摩耗予測を活用し、お客様価値の最大化を加速

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航空ソリューションビジネスの現状について教えてください。

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ブリヂストンは、世界中の200を超えるエアラインに航空機用タイヤを供給しており、約4割のシェアを占めています。航空ソリューション事業の特徴は、約8割がタイヤリースビジネスであること。タイヤを所有するブリヂストンが、高耐久で高品質な「断トツ商品」を柱に、複数回リトレッドすることにより、タイヤ1本あたりの価値を最大化する循環ビジネスモデルが既に確立されています。サステナビリティへの要求は航空業界でも例外ではなく、安心・安全は大前提の下、タイヤをしっかり使い切り、最大限リトレッドして資源を大切に使うことが求められます。

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24MBPでは、航空需要がコロナ禍から回復し更には伸長を見込むなか、単にタイヤをたくさん売るのではなく、お客様の生産性、経済価値、そして社会価値へ貢献するため「バリューチェーン全体でタイヤ1本の価値を最大化する次世代のソリューションモデル構築」に注力しています。その柱となるのが、タイヤ摩耗予測サービスの展開と複数回リトレッドの強化です。

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タイヤの摩耗予測については、2020年に日本航空(以下、JAL)様と連携し、大阪国際空港(以下、伊丹空港)を拠点に、実運用を継続しています。伊丹空港ではソリューション導入をきっかけに、非計画な交換が劇的に減少しました。現在では計画化率90%を達成しています。そのリソースを他の予防整備に充てられることで、整備起因の遅延の減少にもつながっています。また、事前にタイヤ交換の準備ができるようになり残業が減ったり、整備計画を立てる前工程の担当者が週末に在庫不足を心配することもなくなったり、働き方改革にもつながっているという現場の声をJAL様からもらっています。更に、より多くの機種や機材があり、整備作業も多岐にわたる東京国際空港(羽田空港)でも実運用を開始しました。

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なぜソリューションサービスが実現できたのでしょうか。

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一番の理由は、ブリヂストンのメンバーがしっかりと現場に入り込んで信頼関係を築き、タイヤ交換する整備士さんの目線で交換目安の基準づくりやオペレーション改革まで一緒に深掘りできたこと。並行して、トップやミドルマネジメント層の交流を通じた両社の理念やビジョンなどの相互理解や価値共創活動への共感を醸成したことだと思います。この成功事例を水平展開し、お客様のオペレーションを現場で深く理解し、ニーズに応じた価値を提供していければと考えています。

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エアライン拡大にはどのような課題があるのでしょうか。

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エアライン拡大の壁になるのがフライトデータの入手です。フライトデータによって摩耗予測の精度向上が期待できますが、機密上の観点からデータを提供いただけないエアラインもあると思います。そのことも踏まえ、フライトデータを使わなくても予測できるモデルの開発も24MBPで進めていきます。また、エアラインだけでなく、航空ソリューションのノウハウは他の財にも生かせると考えています。お客様の現場に入り込んで、その業務を理解し、業務フローを書き起こし、いつどこに誰に何を提供すれば何の貢献ができるのかを定義して、必要な技術やシステムについてお客様とトライアルしながら議論を重ねソリューションとして契約を結ぶ。この一連の流れは、他のタイヤを用いたソリューションにも役立つと思います。

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JAL様の場合は、整備現場のオペレーションが成熟しており、タイヤの溝もほぼ使い切っていたため、摩耗予測の価値も、整備の効率化が主となっています。一方で、海外エアラインの場合、タイヤが使い切れていないケースも少なくありません。このようなお客様にとっては、摩耗予測を活用し、安心して1本1本のタイヤを使い切っていただくことで、コストの抑制やサステナビリティへの貢献にもつながっていくと思います。お客様毎の価値をしっかり見極め、価値を共創していきます。

JAL様/ブリヂストンのメンバー(伊丹空港格納庫にて)

「もう1回リトレッド」のタイヤの割合を高める

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複数回リトレッドの強化とは、具体的にはどのような取り組みですか。

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24MBPでは、もう1回リトレッドできるタイヤの母数を増やしていくことに注力します。ブリヂストンの航空機用タイヤは、設計上バイアスタイヤで6回まで、ラジアルタイヤで3回までリトレッドできる仕様ですが、その複雑な構造故にわずかな製造のバラつきや使用条件の違いにより、最大限リトレッドできないタイヤもあります。リトレッド回数の向上というのは、できるだけ多くのタイヤをしっかり最大限リトレッドできるようにすることで、資源生産性の最大化によるサステナビリティ向上や、お客様のオペレーションコスト改善を図るという取り組みです。

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摩耗し使い終えたタイヤはエアラインからブリヂストンに返却され、リトレッドが可能か内部構造を検査します。例えば、ある機体用のラジアルタイヤでは、2回リトレッドができるタイヤの割合は従来2割程度でした。

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ランディングや地上走行中にタイヤ各部が繰り返し変形することで、タイヤの骨格を成す有機繊維の周辺のゴムが局所的に大きく変形して小さな亀裂が発生することがあり、リトレッドできなくなってしまう場合があります。タイヤの外面形状をはじめ、骨格材やゴムの材質、その配置を最適設計することで6〜7割のタイヤが2回リトレッドできるようになりました。ただ、リトレッド回数を増やすために、やるべきことはまだまだあります。

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今までは事業部門と設計部門で製品の性能向上を中心に改善を行ってきましたが、今回の取り組みでは、従来のモノづくりの現場で当たり前とされてきたことに改めて目を向け、改善を行ってきました。具体的にはデジタルをフルに活用して製造現場に潜在しているバラつきを見える化し、使用済タイヤの状態と紐づけることで現場改善のPDCAを加速する取り組みを行いました。その結果、製造面の改善でも、リトレッド回数の向上に貢献することができました。私たちは今回の成功事例を航空機タイヤ事業だけではなく、鉱山タイヤ事業においても応用していくことでお客様の価値最大化を進めていきたいと考えています。

バリューチェーン全体で タイヤ1本の価値を最大化

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24MBPでのソリューション拡大に向けた意気込みを聞かせてください。

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ソリューションは、お客様へのタイムリーなタイヤ供給があってこそ。工場の皆さんが作ったタイヤを戦略的かつ最適に供給し、お客様の在庫はリーンに、使い終わったタイヤは速やかに引き取ってリトレッドし、再びお客様に供給する。ここにいる皆さんはもちろん、多くの部署の方にご協力いただき、One Teamで進めていきます。

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JAL様での実運用を通じたPDCAで実感したのは、社内はもちろん、お客様にも同じ目線でオペレーション変革に取り組んでいただくことが価値共創につながるということです。全員に同じ方向を向いてもらえるよう、パートナーシップを強化しながら進めていきます。

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お客様にタイヤを長く、しっかり使い切っていただくことにこだわりたいです。航空ソリューションは、開発や生産技術、サービス、サプライチェーンなど、バリューチェーンが良い意味でコンパクトにまとまっており、各機能で連携しやすいことが強みです。この強みを生かし、実行するなかで直面する課題をPDCAで解決しながらチーム一体となってタイヤ1本の価値を最大化します!


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